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055 【神隠し】


 女神の祠。

 俺がそう呼んでいる。

 跡形もなく粉みじんに吹き飛んでしまった。


 なんてことをしてくれたんだは、俺の心の呟きだ。


 その祠の中には小さな子供なら何とか隠れられたかもしれない。

 祠としての内部を覗いて見てないから、何とも言えないけど。


 駒次郎が戦った相手は比較的小柄な人物なのだろうな。


 多分もう、この辺りには居ないだろう。


 

 それはそうと、歩行時間が三分ほどになる。

 俺が一度歩いた方向にまっすぐ進んで来た。

 駒次郎はまるで俺の足跡を辿るかのように同じ場所へ行くのだ。

 やはり、

 一向に境内らしきものが見えて来ない。


 それは知っている。


 まあ駒次郎が迷子になるわけもないだろうが。

 お前のいう神社の境内はかなり奥にあることにならないか。


 たしか俺に奥に入り過ぎるなと忠告したよな。

 なんの忠告だったんだ。


 ああ、そうだった。


 神社って、子供を隠す場所だという話だったな。


 あの時はお前があまりに俺を笑うものだから、気にも止めなかったけど。


 そんな場所だったっけ。


 そういや現代でも、迷子が出ると「神隠し」という言葉は聞くけど。

 長く消息が分からず、そのまま帰らない場合、その話題になるのは知っている。


 だけど非現実的だろ。


 神様なんてどこにもいないし。

 だれも見たことがない。

 居たとして子供を連れ去る神様なんか、だれが崇めたいんだ。


 神隠しっていったい何なの?



 神隠し──【女神エンジン】!!


 

 ピピ…。


 神隠しは喪中に神棚を白い紙や布で覆う慣わし、…か。

「神棚っちゅうのは何処にあるんだ?」。


 人間がある日忽然と消え失せる現象。

 ふむふむ。

 神域である山などで人が行方不明になったり、町から前触れも無く失踪することを神の仕業としてとらえた…ふむふむ。


 あ、そうだ!

 境内も検索するか。


 境内はどの辺ですか──【女神エンジン】。



 うん?

 外の土地と聖域を分ける境界の……え!?

 「神社の敷地」を境内という。


 じゃあ、ここも含んでいるじゃん。

 あいつは何処へいくんだよ。

 そして俺の苦労は何だったんだよ。


 てっきり何らかの建物も含んだ場所だと思い違いをしていたよ。

 それは忘れてやるとして。


 子供をさらう神様が居るとして、どこへ連れて行くんだ?

 帰って来ることもあるのだとしたら、その子供は神様に会った記憶の持ち主だ。


 普通に「すげぇ」。


 と、こんなことを今までまじまじと考えたことはない。

 警察や消防の大人がそのうち見つけ出すからな。俺は気にした記憶もない。



 まあ、考えさせられたお陰で良い勉強になった。


 そろそろだな。

 俺が面を喰らった場所に入るはずだけど。


 入るわけないか。

 ウダウダと考え事をしていたからな俺は。


 あ、

 駒次郎がおもむろに立ち止まった。


 なぜ……。

 歩行速度を落とした。

  

 キョロキョロと周囲の様子をうかがっている。

 いたって山の裏手という感じで、とくに何もないんだけど。

 その辺に地下の入り口でも隠されているのか?


 俺は彼の真後ろにとても立てない。

 そんな至近距離に居たら流石にバレるからな。

 姿が見えないわけじゃないしな。


 すこし離れた木々の陰に気配を消し、潜んでいる。


 あいつが忽然と姿を消したら、どうしよう。


 あああ、それならいっそのこと。

 いま飛び出していって、「こんなとこに居たのかよ」と合流すればいいかな。


 よし、そうと決まれば……。



「……おい、これはどういうことだ!?」



 前方で立ち止まった駒次郎が声を上げた!

 うわ、びっくりさせんなや。


 思わず、身を隠してしまった。

 条件反射で、元の木の陰に飛びこんだ。


 もう少しで、駒次郎に話しかける所だったぞ。

 彼が完全に立ち止まって、突然、声を発するものだから。


 地下の入り口が開かなかったとか……。

 いや、そうではないようだ。


 木々が割とあって彼の見つめる先がよく見えないのだが。


 何かに驚いたようだ。

 いったい何を見ているのだ。


 俺は思い切って木の上に登って観察をしてみた。



「(マジかよ!?)」

「まさかよ!?」



 俺の声がちょい先なんだが、ほぼ同時に口をついて出てしまった。


 これは、そこに見えるのは祠じゃないか。

 周囲を木材で補強されたやつだ。

 俺が屋根の上に乗っかってたやつだ。


 まったく同じだ。


 彼も一度近づいて見るが、やはり背後を向いた。

 祠に手を当てて、あちこち見回した後、自分の背後を気にしたのだ。


 あ、


 やっぱり、確認に行くみたいだ。

 その先にあのツナセ街道があるのかを。


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