表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
45/120

045 【他人事】


 俺と駒次郎は芝居小屋の楽屋で再会した。


 駒次郎は俺のなにかを疑いながら、俺に接触している。

 俺の方もそれは気になっていた。

 兄の盤次郎のひとりごとがきっかけで、一気に険悪な印象を彼らに(いだ)いてしまった。


 俺だって好きで盗み聞きをした訳じゃない。

 自動的に聞こえてしまうんだから仕方ないだろ。


 盤次郎が本当に蔵破りをするのか、それとも別の意味でなのか。

 分からなさ過ぎて、つい駒次郎にぶつけてしまった。


 駒次郎は態度を急変させた。

 意味深に低い声をだしたり、背後から強い力で掴んできたりした。


 もう本当のところを聞くしかないと思った。


 彼らが何を成そうとしていても、手伝わなければポイントは得られないのだから。

 逃げようか、遠ざかろうかとも思ったけど、それは出来ないようだ。


 今回は、忍者だからな。

 正義感なんかにこだわっている場合ではないのかもしれない。


 このゲームは勇気が肝心だ。

 様子見とか、事情を探るばかりじゃ日が暮れてしまう。

 ぶつかって行くほかはないだろうな。


 そんなわけで単刀直入になってしまった。

 蔵を破ることを認めたので、俺が駒次郎の問いに答えなければならないようだ。



「コマさん、俺が忍びかどうかってそんなに重要なことですか?」

「……答えたくないというわけか」


 俺は彼の目を見つめながら、首を横に振った。


「ひとつ確実に言えることは隠密ではないということだよ」

「ほう。隠密ではないけど、忍びだということは否定しないんだな」


 なぜ、そんなに忍びにこだわるんだ。

 だけど……


「べつに否定はしないよ。さあ俺も答えたよ。蔵破りで得た金で娘さんを助け出したあとは、夜逃げでもするのかな?」

「否定しないか。こちらからもう一つ聞きたい。グンは誰の差し金でおれたちを探っているんだ?」

「な、なに……!?」


 質問に質問で切り返すのはどうかと思ったが。

 駒次郎の質問でハッとさせられた。


 いや待て。

 そうか──そうだよな。


 彼が疑っている理由があるとすれば、捜査の手という意味である。

 いわば彼らは大きな借財の返済のため、強盗をするのだから。

 二人だけの秘密の計画を第三者が知るとすれば、隠密行動によるものとなる。

 そう考えることまで、読んでいなかった。


 だが忍びの里からの派兵を心配するあたりが不思議だ。

 ここらの里は例のゴロツキか、それとも公儀のお抱えなのだろうか。


「だってそうだろよ、子供の一人旅なのに。いくら人助けをしたいからといっても、蔵を破ると知って誰にも告げず、一人で探るとか、手伝うとか。なにを調べてどこへ持って行くんだ?」


 駒次郎も、すでにとぼけなくなっている。

 聞きたいことは分かるよ。

 だけど俺は誰かの差し金で動いてなんかいないんです。


 俺が彼らのお手伝いをする理由が欲しいようだが。

 単なるお節介では納得してくれないか。


 すべてを説明できない。

 できるはずもない。

 どうする俺?


 隠密とまで言われてよ。



「コマさんが疑いたくなる気持ちは分からないでもないよ。でも、俺には主なんていないから。こればかりは信じてもらうしかないよ。俺は旅の忍びだ。気に入らないなら旅立たせてもらうだけだ。俺は忍術も持っているから、ちからずくは怪我の元だよ!」


 強気でいった。

 こちらも必死にならなきゃダメだ。

 ハッタリではあるが。


「おいおい、早まっちゃいけないよ。だけどな、泥棒の手伝いなんかしてバレちまったら、後ろに手が回るんだぜ? 知りながら協力しても何の得がおめえさんにあるんだい?」


 聞きたいのは本当にそれなのか。


 リスクをかえりみず手伝う理由はスキルのポイント稼ぎだ。

 だが断じて伏せなければならない項目であるし。

 それに関する記憶があるだけに、顔に出ないか心配ではあるが。


 え、いま何と言った。


「泥棒の手伝いなんかって、まるで他人事みたいに。だいたい、盗みを働いた金で救われたって、お里さんが悲しむだけじゃないの──」

「うん、まあ他人事なんだけどね…」

「え…」


 えええっ!


 どういうことですか。

 俺は一瞬、あっけに取られた。


 だが、すぐさま駒次郎に食い入った。

 他人事の説明プリ────ッズ!!!


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ