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 突然死──そこに何があったんだろう。

 女神は見ていたんだろうか。

 状況ぐらい説明してくれないかな。

 説明受けて俺は納得できるのかな。


 できないだろうな。


 事故死だろうと病死だろうともしくは他殺の線はないか。

 ははは。

 知れたところでやり返すすべもないというのに。


 どれぐらいの時間経過があったのか。

 とにかく死んだ、それは間違いなく。


 もう振り返ろうとか思わない。

 思えないんだ。

 家を恋しんだって戻れないし。

 泣いたって、わめいたって現状は変わらない。

 考えようとすると力が抜けていくんだ。不思議だ。



 振り向こうとすると涙が出る寸前の、あの目の奥にジンとくる切ない感じがする。



 死なんて、あっさりと受け容れられる年齢じゃない。

 未練はあるよ。たくさんあるよ。とても悔しい。

 きっと今頃、町のやつらは笑ってるんだろうな。

 変人消えてくれて清々するとか。


 振り返るわけじゃない。

 最後だから、冥土の土産ってやつを頂いていこうかと。



 俺が街の奴らに受けてきた状況──【女神エンジン】。

 


 知りたいことが分かるんだろ、これ。映像でもいいんだった?

 俺をどんな風に見ていて、お前らは何を感じていたんだ。

 俺の目に映っていたお前たちよ、何かを語れ。



 ピピ!

 検索完了。



 いじめ。差別。偏見。マウントによるドミネーション(支配)

 格差の見せつけ。ペット化。嫉妬。



 その手のケースに見受けられる症例から、ADHD or 自閉症。可能性低め。

 対人緊張の類と見受けられる。将来的に双極性障害へ移行…可能性あり。





「う~ん。よくわからんけど、精神疾患なのかな。親が一番認めないやつだ」



 さぞ、とろくて苛立ってたんだろうな。

 薄々とは感じていたけど。

 こればかりは自分ではどうにもできない悩みだった。


 冥土の土産って、死の際で嫌な奴から屈辱的な真相を聞かされるやつだろ。

 これで心置きなく旅立てるわ。




 ◇




 俺の大好きなUFOが候補から消えた。

 次にと言われるなら印籠ぐらいだ。

 これは、模造品になるが。



 バレなきゃOKなんだろ。



 名前がこうだから、時代劇にハマッていたけど。

 さして詳しくもない。


 むしろ小難しい歴史なんて苦手だ。

 強い者は格好良くなれる、思いやりも持てる。

 人助けもしてやれる。


 そんな憧れが漠然とあった。

 けど俺にあんな強さ身に付くはずないし。


 せめて身分制度のあった徳川の印籠をひそかに抱いて、忍びに成り切って一人遊びをし、孤独を紛らわしていた哀れな身の上さ。



 遠足で覚えた道を頼りにひとりで行った映画村々。

 近くに土産物店があり、そこに40000円ほどで売っていた。

 貯めていたお年玉を使いにいったんだ。

 だれも知らない俺の宝物なんだ。


 うわぁ。


 今さらだけど、まじで取りに帰りたい。

 持って行ければ、心のお守りぐらいにはなるのになぁ。



 あ、そうだ!



 俺所有の三つ葉葵の印籠──【女神エンジン】。



 

 ピピ!

 検索中……現存確認あり。調達可能──転送します。




「お、俺の印籠だ。土産物だけど。これ洗っても剥げたりしないんだ。黒地に金色……なんて神々しいんだろう。うっとりしちゃう」


『なにかを手にしているな。持ち込むモノが決まったなら、早速出発しようか』


「忍者と印籠は不釣り合いだけど、買いだもん」



 見間違えるはずもない。

 俺の宝物が目の前にスーッと現れた。


 理屈なんてどうでもいいんだ。

 君だけは俺を裏切らないよな。


 身分の高いジョブなんか選べなかったんだし、見つからなきゃいいだけだ。


 死と眠りは似たような状態だといつか医者が言っていたな。

 これからいい夢だけを見に永遠の眠りに入るだけなんだ。




 葉っぱのマーク。


 幼い頃は呼び方も知らずに、そう呼んでいた。

 三つ葉……を見ると不思議と胸が躍るんだ。

 



 

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