表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
17/120

017 【太陽の女神】


 あれには使い方があったんだな。

 しかも、たったそれだけで使いこなせるなんて。


 では、早速取り掛かってみようか。


 江戸時代の徳川光圀──【女神エンジン】。




 ピピッ!

 検索完了。





「お、目の前に薄っすらしたテレビみたいなのが映し出された。なになに……情報はこれだけ」




 水戸光圀のいた時代は1628年7月~1701年1月。

 江戸時代前期の大名。

 常陸(ひたち)水戸藩の第2代藩主。

 1690年10月14日に幕府より隠居の許可がおり、翌15日、権中納言に任じられた。



「え、前期だったのか。つまり黄門様としての物語は1690年以降か……」



 それはフィクションだったけど。いるんだよね。そこに行くと。


 などと考えていると、女神が目の前でまた右手をかざしていた。

 この道具を俺が使うと、具現化してゴーグルとして目の前に飛び出でくるんだな。


 そのゴーグルに女神の手が最初のときのように向けられていた。

 それ、何しているんだろう。



『私もいま、大体のことが分かった。そうして【女神エンジン】に入ってしまえば、私も閲覧できるのだ。お前に預けたのはコピーで、本家の本体は私自身だからな。江戸に関する資料にしても膨大だった。きっと一度には読み込めないから、お前の目の前には、知りたいことの部分しか表示されてないはず──どうだ、簡単で楽しいだろ』



 簡単で楽しいだろ、と女神の手が出会って初めて俺の身体に触れた。

 なんだか気軽で彼女のほうが楽しそうだ。


 美少女の澄んだ微笑みを浮かべている。透き通るような白い肌だ。

 髪も腰までありそうな長さで、風になびいていた。

 亜麻色の髪がきらきらと光って見えた。毛先から細かい太陽の光を発するかのように。


 光の泡がまとわりついて、胸に太陽が昇るようだった。


 女神はこの【女神エンジン】の使い方を教えてくれるために、質問をしてくれたんだと思い、それを訪ねたい。そして、ありがとうと言いたい。


 こんなものが生まれつきあったら、勉強も苦にならなかった。

 とても感動している。


 【女神エンジン】のことだけじゃない。


 お、俺なんかの身体に可愛い()が気軽に触れていて、そして温かいってことに。



『使い方のことも勿論あるが、お前は息絶えた時代……つまり生まれてからの14年間のこの時代の者たちとはもう交流ができない身だ。だから、それ以外の時間軸に飛ばなければ修行のゲームができないのだ』


 え、それじゃ。

 本当にこことは、サヨナラなのか。


『さあ、もうこれ以上もたもたしていられない。飛ぶぞ。その水戸の殿様の時代へ』


「は、はい。お願いします」


『向こうへ着いたら、神社の祠から出ることになる。いくつか注意点があるので行ってから説明をしてやるから、そう案ずることはない』


 俺が頷くと、光の泡がさらに増えていく。

 女神と俺を包んでいく。光の柱が上は、大気圏まで届いている。

 下は、地上に穴を空けたように地下へと伸びていた。


 あっという間に見慣れた街並みの方へと2人の身体ごと沈んでいく。

 紙芝居のおじさん、子供たち、俺の生まれ育った都。


 さようなら!


 どうやら過去へのトンネルは地下に向かって落ちていくようだ。

 けっこうなスピードで降下していくが、恐怖心はまったくなかった。

 女神にしっかりと抱きしめられていたからだ。


 実体があるんだな。

 柔らかくて、温かい。

 園児の頃を思い出した。

 その頃、母親に抱かれて以来だった。


 俺のことなど愛してくれる者などもういない。

 俺は死んでしまったのだから。

 母は悲しんでくれているかも知れないが、会うことは叶わない。



 だから、さよならといわせて貰った。

 そして、ありがとう。お世話になりました。



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ