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015 【女神エンジン】


 え、調べられるの。マジで!?

 あ、そうか。

 図書館とか資料館とかあるな。

 くそっ。すっかり忘れてたわ。悔しくて腹立つな。



「マジっすか。調べてもらえるんだ、女神様すごい!」


『お前は、まじでアホだの──』



 なっ。

 なんだよ、こいつ。

 ほめてやれば、すぐこれだ。まったく、女ってやつは。

 上から目線でよ。優等生の女子がこんな感じでいつも虐待感を抱えているから。

 冷めた視線がたまらなく女狐のようだ。


 プンスカプン。


 こっちが興奮すれば、またキレられるかもしれない。

 ここは落ち着いて返すのだ。



「言いたいことは分かるよ、うん。でも俺、貧乏だから本を買う金はないよ。それにだな──」



 女神の方がどこかの図書館から歴史本か文献を引っ張って来いよ。

 俺も文字は読めるから。さっきアンタがいったじゃん。

 金の勘定と文字が読めれば十分だって。


 だいたいアホはそっちだろ。

 俺は死んだから、図書館なんかに行けないだろ。

 なんのための神様なんだよ。



『──それに。死人だから現世には戻れないはずだ、とか──私がそれを念頭に置いていないとでも言いたげだな。申し訳ないの、お前に死を告げたのは誰だったか教えてはくれぬか?』



 あ、あなた様でございます。

 これは一本取られましたな。



「あっはっは……」



 ここは笑って誤魔化すのだ。



『さらに言わせてもらえば──私がお前の時代の神なら、なにもお前に訊く必要はないだろ。私は異世界から来たと伝えたはずだ。つまり本屋の場所も知らなければ、この世界の金も持っておらぬ』



 は?



「場所なら俺がいくつか知ってるよ。聞いとく?」


『私は生きている人間には接触できぬ。それに盗み見などという愚行(ぐこう)もできぬな』



 愚行……っていわれても。


 じゃあ、どうやって調べるんだよ。

 俺も行けない、アンタも行けない。


 結局、お手上げじゃないか。

 意味不明だわ。

 俺が怪訝そうに眉根を寄せていることだけは、顔に書いておこう。



『なぜそのような顔をするのだ。そのための【女神エンジン】なのだ。お前の頭の中に入れただろ? 先手を打っておいた私の聡明さに感謝しろ』


 うん?


 そういえば、なんか得体の知れないもん頂いたな。

 あ、女神の知識が全部詰まっているという……あれか。

 何だよもう、それならそうと優しく教えてくれればいいのに。


 教師には向いてないな、こいつは。

 向いてる必要もないか。

 それは単なるこっちの願望だが。



「なあんだ、そこに江戸時代の情報が入ってんのね。早く言ってくれれば良いだけじゃないっすか」


『ほう……どのタイミングで言えば良かったのだ。非常に興味深いな。ぜひとも教えてはくれぬか?」


「え、タイミングって。それ、どういう意味なの?」


『だから。私がお前に【女神エンジン】を入れた。そのあとすぐに教えるのか? 膨大な神の知識を? 言うからには()()()()()()()()()()()()?』



 なんだよ、後半の所、めちゃくちゃ語気を強めたぞ。

 斜に構えて、凄んでやがる。


 こういう時のこいつは嫌いだ。意地悪女め。

 どういう意味なんだよ。覚えれるわけないだろ。


 あんたの世界の全部なんて。



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