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 あいつらは一体何様のつもりなのだ。

 その憤りが頂点に達してしまった。


 俺には俺の取るべき行動があるはずだ。

 あいつらにされたことがあまりに悔しくて、つい。


 女神との「出会い系」に手を出してしまった。

 


「まあいい。女神も何かを調査すると言ってたな」



 サスケの肉体探知ができないから。

 この世界の不思議に興味でも湧いたような物言いだった。

 何かを調査中なら、呼んでも現れないかも。



「それににしても。出会い系ってなんだ? 待ち合わせでもすんのかな」



 ところで、いま何時だ?

 盤次郎と別れたとき、すでに昼を過ぎていた。

 あいつらとの馴れ合いで1時間以上は過ごしたから15時ごろか。

 

 感情的になって女神の存在を明かした上に、意地になって女神と会おうだなんて。

 俺の方こそ気は確かかよ。

 これで女神が俺の前に現れたら、人助けができないじゃないか。

 スキルポイント稼ぎをどうすんだよ。


 江戸での忍者気分を満喫しようと張り切ったばかりに。

 おかしな方向に話が逸れていってやしないか。

 スキルポイント稼ぎのための人助けが最優先事項だ。

 だがお里と左内を助けるのだけは御免だよ。

 あんな胸糞の悪いやつら知るもんか。



「……となると、新たに誰かを探さねばならない」



 寺子屋の生徒が楽勝っぽいけど、ババアどもがうろついてるかもしれんし。

 弥彦も女神の存在に触れたからややこしいし。

 盤次郎はあいつらとの関連性が深いようだし。

 奉行所の牢屋のおっさんか、藤吉郎先生あたりか。



「いや、あのおっちゃんは勘弁してほしいな。藤吉郎も俺のステルスを物ともせず気配に気づいたのだ。その点を考えれば助けなど要るとは思えん」



 困ってない者に手を差し伸べても高得点に繋がらないから。

 どうしよう。



「あっ!」



 そういえば、大名にはまだ会って居なかった。

 これまでは子供の立場から大名のあるあるが怖くて近づきがたい。

 そう考えていたが。

 このままそこへ出向いて行けばいいじゃないか。


 出会い系の申請は済ませたのだ。

 そのうち女神と合流することになるなら、大名なんか怖くねぇしな。

 そいつらは金品を要求していたらしいからきっと金に困ってるに違いない。

 

 たかだか衣服に泥を跳ねたくらいで法外な金子(きんす)を要求するとか。

 どんなアホ面なのか拝んで見たくなってきた。



「よし、そうと決まれば大名の屋敷に直行するか」



 正面から乗り込んでも相手にされないだろうが。

 これでも忍者の端くれだ。

 忍び込んでやりゃあいいのさ。

 

 大名の屋敷の場所は寺子屋のお嬢さんが詳しそうだ。

 そろそろ寺子屋に戻った頃だろう。

 べつに寺子屋に立ち寄るつもりはない。



 大名行列────【女神エンジン】!!



 本来の目的は将軍への服従を示す儀式。

 藩の力と権威を誇示するために行列を大規模にする傾向があった。

 江戸から京都への行軍で所要時間は12日及ぶことも。



「まあ、今でも幾つかの地域で伝統行事として続いているのは知ってる」



 大名は本陣に泊まる。

 その家臣らは宿内の旅籠屋に分宿し、周辺の寺院も使った。

 すべての人員を収容できなければ前後の宿場に分散して泊まったとある。



「屋敷というより本陣だな。あれは公家や役人も利用するからおいそれとは近づけやしないか……」



 俺が近づく目的は高貴なやつらの助けとなる為ではない。

 あくまで情報収集だ。

 こっちへ来てみれば、盤次郎が大名行列のあるあるで困っていた。

 結局、盤次郎を助けていくことが大事なんじゃないかと思ったのだ。


 富や権力の誇示のために行列をなしているのに庶民に金品を要求するなど許してなるものか。

 乗り込んで行ってやる。



「俺のステルスは100%だ! 姿さえ見せなきゃ行ける。それに──」



 いざとなれば、弥彦の流し素麺のコピー技もある。

 たとえ死んだってログインし直してまた目の前に現れてやる。

 それぐらいの意気込みでなければ、なにも進展しそうにない。

 

 大名の家臣たちも富と権力をふるうなら遊郭にも出入りするヤツもいるだろう。

 こうなったら俺が全部潜入していくわ。


 左内に取り入ろうとしたのは、医者の弟子にでもしてもらえば大名行列への仕返しでも出来るんじゃないかと思ったからだ。

 医者は確か、無礼討ちの対象ではなかったはずだから。

 だけどこの世は他者に頼るとロクなことがないと教わったよ。


 胡散臭い霊能者なんかに負けてたまるか。



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