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112 【神宿り】


「か、神様と話せるのかい?」

「はい。でも……いまはダメです」


 食いつくように医者が質問をしてくる。

 話せると答えたらきっと何かを尋ねてみてくれというだろう。

 実際いまは無理なのだから。


「それじゃ、いつなら話せるんだい?」


 ほらね。


「あのさ、友達じゃないんだからそんな気軽にできるわけないですよ」

「ああ……すまない。つい興奮してしまって」

「おれが、この身体から出るとき、来る。おれ、誰かの身体がないとここに居られない。その期間がじつは3日しかないんだ」

「ど、どういうことかね?」


 聞かれてからちびちび打ち明けていくのは、はっきりいってじれったい。

 肝心のポイント稼ぎも出来てない。

 誰かに会って居られる時間は限られている。

 

 ここまで話した2人なのだから。

 俺が3日で一度去るということを理解させようと思っている。

 


「グン。あとどれぐらいコマちゃんに憑りついてるの?」

「昨日の夜、お堂の前にいただろ?」

「うん」

「そのときにやって来たんだ。だから3日後の夕刻に一度消えるよ」

「なんだって!? ずっと居ないのはどうしてだい?」

「女神さまが決めたことだから、おれにもわからん」

「一度去るってことは再び現れるのかい?」

「うん。でも、つぎは駒次郎じゃないかもしれない」

「それってサスケさんを探せたらその人に憑りつくからね」

「まぁそうなんだけど。サスケに入っても3日しか居られない決まりだから」


 たった3日後に別れが来て、次回も同一人物で会える保証がないことを残念そうにする2人。


「おれが入れる人物は出会ったことのある人と、生存が確認できる人物だけだ。その意味では先生とお里にもなることができる」

「な、なんということだ! 仮に私になって出て来たら私はどうなるのかね?」

「先生の自由意思はなく、完全に俺自身になる。中身おれ。外見だけ先生な」

「それじゃ、わたしも乗っ取られちゃうのね。下品にガニ股で歩かれちゃうのね」

「女になるつもりはねぇから安心しろ」


 自在に憑依ができるという解釈をしてしまったようだ。

 そのように説明をしたからだけど。

 もっとうまく説明できれば良かったけど、俺にも不明な点が山ほどある。

 そして女神にも解析しきれないことも現時点で存在するからだ。


「おお! なんと素晴らしい体験だ。神が実在していたことも憑依が現実可能であることも、信じていたことが目の前で起きていることに大変感動している!」


 霊能先生は興奮冷めやらぬといった感じだ。


「おれがここに来た理由だけど。将来、お里の身請け金の工面ができればここには用はない。だけど未来にいるコマさんは手強いんで戻ったときに同じ末路にならないか不安で帰れないわけです」

「それなら、親父さんの博打を止めればその結末にいたらないのでは?」

「それはそうだけど。おれは人助けをしなくちゃいけないから、コマさんとバンさんが金に困ってヤクザに追われているのを助けたいんだ」


 目の前の2人は目をパチクリとさせる。


「人助けをしたい……だからいま制することはしない、というのかね?」

「いや、だって3日しか居られないんですよ? 無理だよ。大人の博打癖をどうにかするなんて」

「それは……確かに難しい問題ではあるな」

「先生が75両を都合してくれるの?」

「そ、そのような大金うちにはないよ」

「──でしょ。だから未来に戻ったら任務を遂行したいんだけど、綱隠れの里という場所を誰も知らないので困っているわけです」


 忍びの里だけに場所の特定が難しい。

 一般人が知る由もないのも分かっているつもりだけど。

 なにか特別な封印があの任命書には隠されている気がすると伝えた。


「その任命書というのは今持っているのかい?」


 コピーならいつでも作れる。

 女神エンジンを経由して俺の記憶にあるものを俺が書き写すのだ。

 筆跡すらそこにあったものと一致するのだ。

 紙と筆を借りた。


「これです。内容はこうありましたが、なにも導き出せなくて」


 目の前で書くことについては、女神が一時的に俺に憑依してのことだ。

 そのように説明を加えておいた。


「これが神宿り……というものなのか」


 目を少年の様に輝かせて聞き入ってくれる。


「それでは、どのようなものか拝見しましょうか」


 ときめきに胸を躍らせて書簡に目を通したい、その両手は少し震えていた。


 先生も記した人間がいるのであれば、なにか真相はあるだろうといってくれた。

 お里もその意見に同意し、頷いた。

 忍びの弥彦とは違い、この2人なら別の見解が聞けるかもしれない。



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