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プロローグ 『闇黒と番人』


 誰かが言った。


 死ぬことは怖いことだと。


 だけど、思う。

 死ぬことよりも誰かを守れないことの方がよっぽど怖いことだって。

 ここで尽きる命なら、俺は――。





          ● ● ●





 ――(アカ)イ、(アカ)イ、(アカ)


 ――サイレンが鳴り響く



   ≪緊急警報≫


   ≪緊急警報≫



≪身元不明の幽体一体の【六世界(ロクセカイ)()】警戒区域内への侵入を確認≫


≪【門番】は至急現場へ向かい、幽体を保護せよ≫



   ≪緊急警報≫


   ≪緊急警報≫



≪同幽体は【闇黒(アンコク)】と遭遇した模様≫


≪近くにいる【門番】は直ちに現場に急行し、【闇黒】を【浄化】し、幽体を保護せよ≫



   ≪緊急警報≫


   ≪緊急警報≫





          ● ● ●





「はあっはあっ――」


 少年は走っていた。

 先の見えない程に濃い霧の世界で走っていた。

 白いTシャツは汗ばんで背中に張り付き、ジーンズもスニーカーも最早動きやすさなど感じさせてくれない。

 もうどのくらいこの霧の中を進んできたのだろうか。

 それすらも少年には分からなかった。


「はあっ、はあっ、はあっ――」


 少年は全力で逃げていた。

 『黒い影』から逃げていた。

 逃げ惑う足音は辺りを覆う霧に吸収されているようだった。


「はあっ、はあっ、はあっ。――――!」


 少年の背後からはズルズルと這うような音が聴こえていた。

 それはまるで少年が弱るまで獲物をじわじわと追い詰める捕食者のようにジワジワと近付いてきていた。


 少年は本能的に理解していた。


 ――あれに捕まれば、『終わり』だと。


 分厚い布が地面を這うような音は少年を追い詰めていた。



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