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第108話 らいむの冒険ぱーと2

「謎の女、雨宮フラペチーノによって小春は誘拐された可能性が高い。つまり、誘拐事件だ」

「小春を誘拐する事になんのメリットがあるんですか?」


 私はKKプロダクショングループ所属スター女優小鳥遊らいむ…そして、行方不明になった雨宮小春を追う名探偵だ!


 突如として東京の街に消えた小春を明日までに見つけ出さなければ小春の次の仕事が消し飛ぶ事になる…急がねば。

 既に日は傾き……そのタイムリミットは確実に近づいていた。



 空港で足取りが途絶えた小春だが、そんな奴の搭乗予約を調べていた人物が居た。

 その人物こそ、雨宮の姉を名乗る人物、雨宮フラペチーノ…

 小春は奴に攫われたんだ。


「小春は探偵のバイトをしていたそうだな?谷」


 大晦日の夕方の街を共に駆ける小春のマネージャー、谷。

 谷は頷く。


「ええ。ヤッテ・ランネー・プロダクションと絡みがあるようです。警護主任の宇佐川結愛が小春に色々頼み事をしていたようです」


 ヤッテ・ランネーの宇佐川結愛…

 確か私や小春と同郷の、そして故郷北桜路市で語り継がれる怪物……

 別名地球上最強の女。その戦闘力は天を割り地を裂くという。

 奴は今、業界大手芸能事務所ヤッテ・ランネー・プロダクションの最強戦力(物理)となっているという…

 私もこの世界に入って東京に出てきた時驚いたものだ。


「…探偵というのは敵が多い」

「まるで探偵の事を知り尽くしているかのような口ぶりですね」

「雨宮フラペチーノは小春の探偵業が祟って恨みを買ってしまった人物の線が濃厚だ…」

「らいむ。私の推理では小春は迷子になった。雨宮フラペチーノさんは同名別人の弟を探していただけの人違いさんです」

「違う」

「違うって…らいむ、私は次にあなたが何を言い出すのか想像出来てしまって帰りたいです」

「小春の探偵としての顧客は宇佐川結愛」

「先に断っていいですか?嫌です」

「谷、宇佐川結愛が何かを知っているに違いない」

「……あぁぁ…」


 ********************


 というわけでやって来たぞ、ヤッテ・ランネー・プロダクション本社。もちろんアポは取ってない。

 全ては小春を取り戻す為…


「お前行け」

「……」


 複雑な顔をしながら受付に向かう谷。このご時世に受付嬢の居る受付カウンターに感動しつつその時を待つ……

 そしてその時は驚く程すぐに来た。




 --ズズズズズッ


「なっ!なんだ!?」「地震だ!?」「でかいぞ!?」「いや…これは……っ!!」


 突然ビルが……いや東京が揺れた。

 震度4から「おっ?地震か?」と警戒する模範的日本人である私が身構えたのだ。そのデカさが分かるだろう…

 しかし先にその正体に気づいたのはビルの他の大人達だ。


 直後私も気取る。


「……な、なんだこの…殺気っ」

「警護主任か!?」「なんだ!?……何が始まるんだ!!」「退避しろ!!あの人が本気で戦う時は誰も近くに居てはいけない!!」「国防省に連絡しろ!!」


 とんでもないパニック具合だけどこの気配があの魔人--宇佐川結愛だとするならば当然の反応だ。自然災害<宇佐川結愛だから。


 そしてその予感は的中。


 ゆっくり開くエレベーターの扉からネフェルピトーもびっくりな邪悪なオーラが噴き出して、1階エントランスを包む。そのオーラの持ち主は一歩踏みしめるごとに床を破砕しながら受付の方へ…


 ランランと赤い眼光を光らせ三つ編みを逆立てるその姿--


「……っ」


 流石の小鳥遊らいむも息を呑む。あれ?これ私死……


「……おい受付。「宇佐川結愛ってお風呂でおしっこしてるらしいよ」って言ってた客ってのはどいつだ?」

「あちらのおふたりです」


 私らだった。





「--お前が小鳥遊らいむじゃなかったら全身の骨を逆さにしてるとこだったぞ?根も葉もない噂を流すのはいじめだからな?」


 全身の骨を逆さに!?


「……谷」

「だってアポ取ってないから無理って言われたので……」


 後で私はそんな事言ってないってよーく弁明しとかなきゃ……背中が汗でびっしょりだ……


「で?KKプロの期待のエースがなんの用だ?小娘」

「宇佐川結愛…あんたに訊きたい事がある。谷」

「……結局説明は全て私なんですか?」


 我が助手、谷は魔人を前にして平静を装い事情を説明する。話の半分くらいのところで宇佐川結愛は退屈そうに鼻くそをほじってた。


「--というわけで、うちのらいむはあなたが何か事情を知ってるのではないかと言っています」

「くかーー……」


 寝てた。


「おいおい宇佐川さんよぉ……チ〇コ千切られたくなかったら真面目に--」

「チ〇コ付いてねぇよ(怒)」

「ヒッ……」

「私のせいで雨宮が誘拐されたって?」

「い……いや……チガウ……アンタナンカテガカリモッテンジャナイカト……」

「らいむ、お股にシミができてます」

「……私が小春に頼んだ仕事……1個はうちの圭介を殺……ゴホンゴホン…いや、覆面やろー捕まえるってだけだ。」

「「覆面やろー?」」

「うちの事務所に喧嘩売った馬鹿だ」

「何者ですか?」


 谷が前のめりに問いかける。その反応、何か心当たりがありそうだ。

 谷の問いかけに宇佐川が返す。それは、この事件の犯人最有力候補……


「ジャン・アンピエール・ルイホッコ・マッカンシー・モルケッチャロフ・ハルハルタン・ルイセルフ・L・アンジェリーナ・タナカ三世」


 ジャン・アンピ…………なんだって?


 ********************


 こんにちは、こんばんは。雨宮小春です。

 殺されそうです。

 ここはどこですか?


 --なんて問いかけも幾度と無視され、僕は埃っぽいどこかの天井を見上げていた……


 仕事もひと段落したので地元に戻ろうと、久しぶりに彼岸神楽流を封印して飛行機に乗ろうとしたら、このザマである。

 どのザマかと言うと、廃倉庫みたいなところで縛られて椅子に拘束されてます。

 最近出番がぱったり無くなった我が剣の師、彼岸神楽がこのザマを見たらぶった斬られてる。


 さて、そんな悲惨な目に遭っている僕ですが……


「……吐け」

「うっ……おえっ」

「そっちじゃない」


 拷問中です。


 僕の目の前でレンチ片手に仁王立ちするこの謎のパツキン女……中学生をなんの躊躇いもなく監禁拷問する彼女は幾度と繰り返した質問を再び僕に投げかけた。


 その手には僕のニンジンドーDS。

 映し出されているのは、今目の前にいるパツキン外人女の、解像度の低いブレ気味の写真…

 そう、僕がこのゲーム機、ニンジンドーDSで撮影した写真だ。


 --この女、覆面やろーこと、ジャン・アンピエール・ルイホッコ・マッカンシー・モルケッチャロフ・ハルハルタン・ルイセルフ・L・アンジェリーナ・タナカ三世。


 僕とそんなに歳が変わらなそうなこの女は僕が宇佐川結愛からの依頼で追っていて、先日屍コレクション全国大会でようやく尻尾を掴んだ謎の……何者かなのである!


 彼女の拷問は続く。


「……この写真、誰に送った?」

「誰にも送ってません、まだ」

「嘘だな……お前はずっと私の事を嗅ぎ回っていた……誰の指示だ?」

「……」


 漢雨宮。殺しの依頼を請け負うような女に易々と知り合いを売るような真似は……


「答えろ」


 ゴンッ!!


「あ!痛い!!レンチ痛い!?嘘です宇佐川って人の依頼で調べてました!僕、浅野探偵事務所の調査員です!代表は浅野詩音っていう人です!!」


 僕は幾度めかの自白を行う。吐きまくりである。


「……信用出来ない」

「そんな…知ってる事は喋りましたよ。もう帰してください……てか、あなたどこかで会いましたよね?」

「初めて会ったのは東京行きの飛行機の中だ。そしてその後、『おひねりちょーだい』暗殺依頼を邪魔した……」

「何かと縁がありますね僕ら……」

「そうだ。お前は私の事を嗅ぎ回っている。だから私の行く先々に現れるんだろ?答えろ、誰の差し金だ?」

「だから宇佐川--」


 ゴンッ!!


「痛い!」

「(なんて頑丈な奴……三日三晩殴り通しなのにレンチの方が負けそうだ…)まだ信じられない。もっと痛めつけて本当の事を喋る気になってもらおうか」

「何度殴ったって同じですけど?僕の知ってる事は全部話しましたけど!?」

「これを見ろ」


 見ろと言われたので見たけどすぐ目を逸らしました。これから何が起こるのか察したからです。


「……これは苦悩の梨…」

「Y〇utubeで見た!拷〇ソムリエが使ってた!!」

「これからお前の身に何が起こるか…想像出来るか?」

「肛門がぐちゃぐちゃになる!!」

「……これを使えばお前も少しは正直者になるだろう……」

「もう正直者だよ!これ以上ないくらい!!お前マジで覚えとけぶっ殺してや……あ、ごめんなさい嘘です実は僕あなたの事異性として愛していますなのでそれだけは……」


 あっ……


 ズブッ!!


「アッー!♂」

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