バーナード士爵家
「昨夜は、大変、失礼しましたぁぁぁぁっ!」
現状説明。
朝に起きて身支度を整える。
朝食を摂りにリビングへ向かう。
先に来ていたリーチェさんと挨拶。
寝起きの紅茶を貰って飲む。
最後にやって来たセリカが俺を見るなり顔を真っ赤にして、ふわふわの髪と存在感の強い胸を大きく揺らしながら、俺の下へ駆け寄って来て、より一層両者を揺らしながら涙目で頭を下げて謝罪中。
以上、起きてからの経緯を含む現状説明終了。
昨夜からこの展開を期待していたとはいえ、見事なまでに実行されたもんだ。
そして恥ずかしがって半泣きする姿はやっぱり可愛らしいし、大きく揺れる胸も実にありがとうございます。
「どうしたのセリカ、彼に何かしたの?」
「いえ、大したことじゃないですよ」
「大したこと、あります!」
まあ本人にとっちゃそうだよなと思いつつ、セリカを宥めて落ち着かせたら、黒パンとサラダと野菜スープの朝食を摂りながらリーチェさんへ事の経緯を説明した。
「あらあら、そんなことがあったのね。だったら気にすることは無いわ、セリカ。私も彼があなたに敬語でさん付けしていたのはちょっと気になっていたから、今日にも直してもらおうと思っていたのよ」
そうなんだ。
初対面かつ知り合ったばかりだから、気を遣ってそうやっていたんだけど、余計な気遣いだったかな。
「で、でも、酔っていたとはいえ、あんな醜態を晒して……」
「どこが醜態なのよ。それは若気の至り、年を取ったら笑い話になる程度のことよ」
いずれはそうなるんだろうけど、今のセリカにはちょっと難しいと思う。
「そう、なの?」
「そういうものよ。だからシオン君!」
「はい?」
「私に対して敬語を辞めるは無理だろうけど、その代わりにリーチェさんなんて呼ばず、もっと砕けた呼び方をしなさい!」
砕けた呼び方って、どう呼べと。
まさか呼び捨てにする訳にもいかないし。
「具体的には、ママって呼んで!」
無理です、恥ずかしい。
「義母上と呼ばせてもらいます」
「あっさり断られちゃった。ママちょっと寂しい」
そんなこと言われても、無理なものは無理です。
「まあそれでいいわ。セリカも、あまり気にしないようにね」
「は、はい」
「そうだぞ。それに昨日の裏庭での件についても、納得できる理由に気づいたじゃないか」
「あら、そうなの? セリカはどういった理由だと思ったの?」
「えっとね……」
昨日聞いたセリカの推測が再び語られ、それを聞いた義母上はちょっと驚いた表情を浮かべ、納得したように何度も頷く。
傍らでそれを耳にしていたトルシェさんとサラさんも、なるほどといった様子で頷いている。
「っていう風に、考えたんだけど……どうかな?」
「よく気づいたわねセリカ。確かにそれなら説明がつくわ。調理魔法だから食材にしか使えないっていう、先入観に囚われ過ぎてたわね」
俺もそうですよ、義母上。
だからセリカから推測を聞いた時は、目から鱗が落ちた気分だったよ。
「ということは、私の弓魔法やセリカの清浄魔法も、考え方次第では別の使い道があるかもしれないわね」
へえ、セリカは清浄魔法で義母上は弓魔法を授かったのか。
セリカの清浄魔法は掃除や洗濯や洗い物なんかに用いる魔法で、一般家庭のみならず各所から引く手があって、実家の使用人にも三人くらい清浄魔法枠で採用された人達がいた。
義母上の弓魔法は弓矢に魔法を掛けて威力や飛距離を強化したり、何かしらの効果を矢に付与して射ったり、弓矢そのものを魔法で作り出したりすることができる。
「だ……シオン様は、どう思いますか?」
旦那様からシオン様に戻っちゃったか。
でも一度言いかけたから、そのうちうっかり言っちゃいそうだ。
「そうだなぁ……。義母上の弓魔法はすぐに思い浮かばないけど、セリカの清浄魔法なら、汚れた水をきれいにしたり体の汚れを落としたりもできるんじゃないかな」
「なるほどね。セリカはどう思う?」
「汚れた水は「浄化」を、体の汚れ落としは「洗浄」を弱めに使ったらいけるかな?」
思ったことを適当に言った感じなのに、割と受けが良くてセリカも義母上の反応が良い。
この件については後ほど確認することとなり、その前にすべき今日の予定を聞かされた。
午前中は結婚式についての打ち合わせ、午後はセリカと一緒に村の視察へ向かう。
義母上は午前の打ち合わせには参加するものの、仕事があるから午後は同行できないとのこと。
「今回の視察はここの村だけで、他は後日行うわ。そして帰ってきたら、裏庭の菜園で魔法の練習をお願い」
「分かりました」
「その間に、セリカもシオン君が言ったことができるか検証しましょう」
「は、はい」
これで魔法に別の使い道が見つかれば、領地の今後に役立つかもしれないとあって、義母上は気合いが入っているように見える。
期待に応えられるよう、それとセリカの好感度を上げるためにも頑張ろう。
密かにそう決意した朝食の後、結婚式の打ち合わせが始まるまでの間に、リビングでセリカからバーナード士爵家とこの領地のことについて教わることになった。
初代当主であるセリカの先祖は元々国に仕える騎士で、当時起きた魔物の大暴走で大きな戦果を挙げ、褒美として爵位と共にこの領地を授かった。
「領民は連れて来た開拓民だけでなく、先住民からの血筋でもあります」
「先住民がいたのか?」
「はい。この村を除く五つの村や集落は、先住民達が基盤を作っていたのです」
なんでもその先住民達は、ここがワンダール王国の領土であるのは知っていても、領主のような管理者がいないから勝手に住み着いていたらしい。
理由は迫害されて他国から逃れて来た、重税に耐えられず逃げて来た、元々住んでいた地を魔物に襲われて失い流れ着いた、果ては口減らしで追い出される前に村から出た農民や職人の子供だという少年少女と様々。
そんな彼らを初代当主は領民として認めるだけでなく、開拓や調査の協力を申し込んだ。
領主として命令するのではなく、協力を頼んで頭を下げる姿に感銘した先住民達はこれを承諾。
初代当主率いる開拓隊に先んじてこの地で暮らしていた彼らの経験と、土地に関する情報は大いに役立ち、無事にこの村の開拓に成功。
その恩義に報いるため、数件の掘っ建て小屋で共同生活を送っていた彼らの居住地の発展に協力して、現在の村や集落のような状態にまでなったそうだ。
だからまだ四代目なのに、ここも含めて村と集落が合わせて六つもあるのか。
ゼロから開拓するんじゃなくて、僅かでも開拓された地を広げる方が幾分かやりやすいもんな、活動拠点も作りやすいし。
「こうした経緯もあり、どの村や集落との関係も良好なんです」
「領民と領主の関係が良好なのは、とても助かるな」
そういった関係を壊さないよう、俺も頑張らないと。
「心苦しいのは、こうした土地なので食べるのに苦労はさせてしまっていることですね。餓死者を出したり口減らしに追い出されたりというのは、どうにか避けられていますが」
「いやいや、それはそれで凄いよ」
決して豊かじゃないこの土地でそこまでやれてるんだから、大したものだ。
聞いた話だと、食料や金が不足して大変な村はいくつもあるらしい。
トーマスもその口で故郷の村を出て豪商の下で奉公し、そこの調理場で腕を磨いたと言っていたし、その奉公先で多くの同じような境遇の人と出会ったそうだ。
「そう、でしょうか?」
首を傾げる様子が今日も可愛らしい。
「そうだよ。お金が無くとも自給自足できれば生きていけるけど、その食べ物を得るのも簡単じゃない。それで食料不足による餓死者を出さないどころか、口減らしも無いのは大したことだよ」
それはつまり、少なくともそれだけの食料を確保できる力はあるってことだから。
過程で苦労はしても結果的に餓死や口減らしを回避してきたのなら、それは大したことだ。
「それにそういった類の心配を解決する糸口は、昨日の菜園の一件で義母上は示してくれたじゃないか」
「? ……あぁっ!」
領内の土壌改善計画。
これが実現すれば、食料の心配に関する問題は改善できる。
「だから頑張るよ。この領地のためにもね」
あと、セリカの好感度を上げて幸せな家庭を築くために。
「ありがとうございます。私も妻として、頑張ってシオン様を支えます!」
小さくガッツポーズをしてふんすと鼻息を吐く様子が可愛らしい。
でもそれ以上に、妻と言ってしまったことに気づいて真っ赤になって恥ずかしがる様子は、もっと可愛らしい。
互いの家の寄親が絡んだ政略結婚とはいえ、こんな子と結婚させてもらえるなんて、コーギー侯爵とレトリバー辺境伯には感謝しかない。
「失礼しました。つい取り乱して」
「気にしなくていいよ。それより、話の続きを聞かせてよ」
「は、はい」
ちょっとばかり脱線したものの、話はバーナード士爵家に関するものに戻る。
歩みはゆっくりでも少しずつ進む開発と発展、やがて領地出身の行商人による外部との交流が生まれ、隣領の領主とも交流を持つようになり、開拓の成功を国から正式に認められてレトリバー辺境伯家という寄親を得た。
そうして代々、ちょっとずつでも発展を続けながらこの領地を運営してきた、というところで話は終わった。
「少々急ぎ足にはなりましたが、これがこの領地の歩んで来た歴史です」
まだ四代目で歴史は浅い上に急ぎ足とはいえ、聞いていると少し長く感じた。
だけどこうした話を聞くのも、婿入りする身としては大事なことだ。
なにせこっちは王都から来た余所者だ、家や領地なんかの歴史も知らずにそれを受け継ぎ、我が物顔で運営する訳にはいかない。
婿入りの身に大事なのは、その家と領地の一員になることだ。
「うん、ありがとう。話が纏まっていて、聞きやすかったよ」
「どういたしまして。といっても、今の話はお母様や亡くなったお祖母様から教わったものなんです」
苦笑するセリカによると、バーナード士爵家は職位を授かった初代以降は何故か男児が生まれない女系の一族で、婿入りする相手のために代々こうした話を受け継いでいるらしい。
「ということは、この家の直系は義母上なのか」
「はい。ですので三年前にお父様が病で亡くなった後は、先代のお祖父様の一人娘である、お母様が当主代理に就いたのです」
やっぱりか。
コーギー侯爵家の使いが婿入り話を持って来た時、義母上が当主代理だと聞いたからなんとなく察していたし、病床の身であっても紹介すらされず、だからといって歓迎されている場で尋ねるのは無粋だから尋ねなかったけど、そういうことだったか。
この国の貴族家の当主は男性しかなれないけど、女性が当主代理として就任する場合もある。
それは当主である男性が、病か何かで役目を果たせない状態になってしまったか死亡して、爵位を引き継ぐ息子か兄弟がいない場合。
その場合のみ、男性の妻だったり姉や妹が当主代理に就任できる。
尤も、該当する女性が先代からの直系であることや、妻本人は直系でなくとも亡くなった夫の間に子供がいる場合に限るけど。
バーナード士爵家の場合は、義母上が先代の直系の一人娘だから当主代理に就任したんだろう。
「仮にお母様が直系でなかったとしても、お父様が亡くなった時には私が生まれていたので、お母様が当主代理に就任するのは確定的でしたけどね」
「だけどそれだと、俺達が結婚した途端に俺が当主で領主だから、ちょっと不安だったな」
直系の息子がいて、その子が成人していれば当主の座はそっちへ移る。
だけど息子がいても未成年の場合、成人するまでは妻が代理に就任する。
さらに妻が直系でなく直系の子が娘しかいない場合に至っては、娘が成人していても結婚して婿が入るまでは妻が当主代理を務め、結婚したら即座に娘婿が当主の座に就く。
つまり義母上がこの家の直系でなかったら、セリカと結婚した途端に俺がこの家の当主であり、この地の領主になっていた。
さすがにいきなり当主であり領主は荷が重いから、義母上が先代の直系で良かった。
まっ、義母上ならそうなってもサポートしてくれそうだけど。
「そうだセリカ、義父上にも挨拶をさせてくれないか?」
「お父様に、ですか?」
「ああ。墓前に手を合わせて、結婚の挨拶をさせてくれ」
返事は聞けなくとも、セリカを貰うことはしっかり報告しないとな。
「分かりました。領内の視察へ出発する前に、お父様のお墓に寄りましょう」
「ありがとう」
こんなことでも照れるセリカの恥じらう表情、ホントに可愛い。
思わず微笑んでいるとサラが現れ、結婚式の打ち合わせが始まると教えてくれた。
場所を義母上の執務室に変え、使用人のトルシェさんとサラさん、この村の村長や冒険者ギルドのギルド長や狩人組合の組合長といった有力者、それと領内唯一の教会で冠婚葬祭を取り仕切っているという老神父のトニーさんを交え、打ち合わせを開始。
といっても結婚経験者の大人達が主体となって話し合い、俺とセリカがするのはその内容を確認するぐらい。
結婚式の参加者は、この村で何かしらの役職に就いている人達に加え、他の村や集落の村長や長が代表として参加するらしい。
「シオン君はそこで村長や集落の長との顔合わせがあるから、よろしくね」
「分かりました」
領主を継ぐのなら、そういった人達との顔合わせは絶対に必要だ。
勿論それだけでなく、良好な関係を築き続けるのも大事だけど、まずは顔合わせをしなきゃ始まらない。
「それと、付き合いのある近隣の領地持ちの家からの使者も参加するでしょうから、挨拶くらいはしておくわよ」
「はい」
領地運営においてご近所さんとの付き合いは大事だから、無下にはできない。
……本当、領地持ち貴族は領地持ち貴族で、こういうのが大変だな。
「ところでシオン様、ご実家から持参金はお持ちで?」
「ああ、持って来ている」
老神父トニーの問い掛けに頷いて答える。
持参金は貴族同士が結婚する際に支払う金で、今回の場合は余った息子を婿として受け入れてくれて感謝する、という意味を込めて実家からバーナード士爵家へ支払われる。
通常こういうのは実家の使者が持って来るものだけど、遠方の場合は嫁入り又は婿入りする人物が当主から金を預かってくる。
これを支払わないと貴族としての礼儀知らずだと除け者にされる上に、今回の場合は寄親が斡旋した結婚で無礼を働いたと見られて寄親から見捨てられかねないから、父親は忌々しい表情をしながらも渋々金を出した。
ちなみに領地持ちの場合、金じゃなくて領地で取れる特産品でもいいとのこと。
「持参金は式当日に、領民達からの祝儀と共に出してください」
「分かった」
「領主様、他には何かありますか?」
「えっと……あっ、一つだけ。当日はコーギー侯爵家とレトリバー辺境伯家の使者が来ます」
『……えっ?』
ちょっ、なんで使者とはいえ実家とこの家の寄親が揃って参加するんだ。
思わぬ展開に義母上以外、全員の声が揃っちゃったよ。
「仕方ないじゃない。今回のセリカとシオン君の婚姻は、コーギー侯爵家とレトリバー辺境伯家の友好関係を結ぶのを目的としてるから、ちゃんと式を挙げたのかを見届ける必要があるのよ」
出ました、貴族特有の面倒事。
寄親同士が友好関係を結ぶ目的で斡旋した結婚を、寄子が無断で実施しないなんてありえないのに、わざわざ見届け人を送ってくるなんて。
士爵家の結婚式に、辺境伯や侯爵が直接参加する訳にはいかないとはいえ、派遣される人達はご苦労様です。
「あくまで見届けに来るだけだし、派遣されてくる人達は貴族じゃないから、気を楽にして対応してね」
気を楽にっていうのは難しいよ、義母上。
いくら使者が貴族じゃないとはいえ、大きく格が上の家に仕えている人達だから、早くもセリカとトルシェさんやサラさんが緊張してる。
「ちなみにこっちへ泊まる予定は無いと、各家から連絡が届いているから、宿や客間の準備は不要よ」
泊まらないと聞いて、セリカとトルシェさんとサラさんの表情が少し和らいだ。
うん、泊まられたら困るよな。
そもそも新婚夫婦のいる家に泊まるとか、貴族だろうが平民だろうがありえないから。
「私からは以上よ」
「ありがとうございます。では次に、準備の進行具合についての報告をさせていただきます」
順々に告げられるのは、冒険者ギルドと狩人組合へ依頼された獲物の狩り具合、トニー神父が協力しての礼服の製作状態、そして村長による肉以外の食材の集まり具合。
どれも順調に進んでいて、想定外の事態さえ起きなければ問題無いとのこと。
そんなことを言ったら何か起きそうだけど、そんな物語的なことが起きることは滅多にない。
事実、兄が結婚する時の準備とか、まだ一方的な期待をされていた頃の誕生日会の準備とかでも、順調な時に何かが起きたことは無い。
「分かったわ。準備はそのまま進めてちょうだい。トニー神父、完成したら衣装合わせをするので連絡をください」
「承知しました」
「村長とギルド長と組合長は、集まった分の食材を屋敷の保管庫へ運んでください」
「分かりました」
「ではすぐにでも」
「あっ、ちょっと待ってください」
どうせ屋敷へ運ぶのなら、調理魔法の「冷蔵庫」を使ってはどうかと提案。
この打ち合わせの後でセリカと村の視察へ行くから、その際に受け取って屋敷へ運ぶ旨を伝えると、それが採用された。
「なんなら、必要になるまで預かっていてもいいですよ」
「それには及ばないわ。帰って来たら、保管庫へ入れておいてくれればいいわ」
「分かりました」
必要になった時に俺が屋敷にいるとは限らないし、保管庫へ入れておいた方がいいか。
こうして打ち合わせは終了。
休憩と昼食を摂ったらセリカと村の視察へ向かう前に、屋敷の裏にある歴代のバーナード士爵が眠っているという墓へ案内してもらい、両手を合わせて挨拶をする。
「お初にお目にかかります。ザッシュ男爵家が次男、シオンと申します。この度は双方の寄親による斡旋という形にはなりましたが、セリカの夫となることになりました。貴族という立場上、この婚姻は断れないとご理解されていると思いますが、末裔たるセリカの婿となる私を認めてもらえるように努力しますので、どうか見守っていてください」
長々と挨拶させてもらったけど、結婚相手の亡くなった親族に対する貴族の挨拶はこんなものだ。
実家含めた自己紹介、結婚する経緯、その先は自分の思ったことを伝える。
本当は故人の名前も述べた方がいいんだけど、一族の墓だから義父上だけでなく、ご先祖様に向けてのものにした。
「だ、大丈夫です! シオン様なら、お父様もご先祖様達も、きっと気に入って認めてくれると思います!」
何を根拠に言ってるか分からないけど、力説する姿も可愛いから許す。
「それじゃ、行こうか。この人達が作った村を見に」
「は、はい! あの、馬は乗れますか?」
「馬があるのか。ああ、実家にいた頃に嗜みだって言われて教わ」
『――』
「……ん?」
なんだ? 今何か言われたような。
でもセリカ以外は誰もいない。
「? どうしました?」
首を傾げての上目遣い可愛い。
「いや、なんでもない。行こうか」
「はい!」
笑顔で元気の良い声もまた良し。
セリカの好感度を上げる前に、セリカに対する好感度が爆上がり中だ。
最後に墓へ一礼したら、背を向けてセリカと厩舎へ向かう。
さて、どんな村なのか楽しみだ。