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知らぬ間に兄が自滅してた


 明後日にはようやくバーナード士爵領へ帰れる。

 調理魔法による農作業で生じた混合魔力と、それによる影響を学会で発表した翌日から、面会希望やお茶会への誘いや食事会への誘いがいくつも届いた。

 当然だけど目的はバーナード家と繋がりを持つことだけど、パーティーでの牽制が効いたのか申し込みは思ったほど多くなかった。とはいえ、対応で酷く疲れたのは事実だ。

 大半の対応は義母上とコーギー侯爵とレトリバー辺境伯がしてくれたけど、中にはかつて懇意にしていたという相手からの誘いがあって、その時は動かざるをえなかった。まあ懇意にしていたと言っても、向こうが縁を作りたいだけで、こっちは懇意にしたい相手でもなかったけど。

 そんな王都での日々を振り返りつつ、リビングでバーナード領産の紅茶を啜る。


「ようやく帰れますね。ユリーカ叔母様は大丈夫でしょうか」


 隣の席でやや疲れた様子を見せるセリカだけど、かわいとおしいセリカがそこにいるだけで心が癒される。

 そして不安な気持ちは分かる。思っていた以上に誘いが多く届いて、本当なら昨日帰る予定が伸びちゃってるもんな。


「忙しく働いてるだろうから、ちゃんとお土産を買って帰って勘弁してもらおう。勿論、ミィカやサミー、それと屋敷で働くの皆にもな」


 明日の予定は午後にエリゼさん主催のお茶会があるだけで、他に予定は無い。だから午前中はお土産を買いに、皆で王都を巡るつもりだ。

 仕事を任せておいてお土産無しは、さすがに悪いもんな。 

 うんうんと頷きつつ、疲れた様子のセリカを癒すため抱き寄せて頭を撫でてやる。


「はわっ!? きゅ、急になんですか!?」

「いや、疲れていそうだから」


 ついやっちゃったけど、駄目だったかな。


「さすがは旦那様です、分かってますね。というわけで、もっと撫ででください」

「はいはい」

「にゅふふ~、癒されます~」


 お望み通り撫でてやったら、一瞬で蕩けセリカになった。

 だらしなく緩みきったセリカの表情の、なんとかわいとおしいことか。ついでにポヨンと腕に当たる胸の感触が実にいい。

 そんな表情を見せられて感触を堪能していたら、セリカだけでなく俺も癒されてしまう。


「ご主人様、奥様。どうして離れとはいえ、他所の屋敷でそうもいつも通りにできるんですか……」

「まあ、お二人らしいッスけどね」

「うふふ、なんだかこれを見てると疲れを忘れるくらい、癒されるし和むわね」


 俺達以上にお疲れの義母上も癒せたのは僥倖。

 平気とは言っているけど、王都在住の貴族達の相手をするのはコーギー侯爵やレトリバー辺境伯が協力しているとはいえ、相当大変なはず。実際、ここ最近はぐったりすることが多くてユリスによく肩を揉んでもらっている。

 無論、圧倒的存在感の胸の重みによる肩こりとは別に。


「くぅ~ん。私もサミー君のお世話で、癒されたいですよぅ……」


 ああ、うん。ケルムさんも連日尋ねて来る研究者への対応で大忙しだったよな。

 以前勤めていた研究機関からもお偉いさんが来て、是非復帰してほしいって懇願されていたっけ。尤も、そこで送っていた日々を理由に断固拒否してたけど。

 土下座して謝罪されてもどんな好条件を出されても断る姿は、見ていてなんか気持ち良かったし、お偉いさんが半泣きで肩を落としてトボトボ帰る姿は、自分の事じゃないのにちょっとスカッとした。

 そんな感じの日々だったから癒されたいのは分かるけど、確実にサミーの世話に毒されてるな。これはもう、サミーには結婚して責任を取ってもらわないと。


「そういえば明日のお茶会には、シオン君の義姉がいらっしゃるのよね」

「ええ、そう聞いてます」


 なんでも先日、うちの父親が開拓支援の伺いを立てにコーギー侯爵の下を尋ねたのと入れ替わりで、主催者であるエリゼさんからスフン義姉さんへ招待状を送ったらしい。

 ちなみにそのお茶会に出席するのはエリゼさんとスフン義姉さん以外だと、セリカとチワンさん、それとジョン殿の妹のレイクとミレイといった女性陣のみ。

 理由はこのお茶会の目的が義姉妹になったセリカとスフン義姉さんが話す場を作ることで、他の面々は主催者のエリゼさんを含め、二人だけにして緊張させないように参加するんだとか。

 そのため参加者は女性に限定し、給仕をする使用人や警護も女性のみ。そのためユリスとトウカも、当日はセリカの傍に付くことになっている。


「旦那様はその間、なにをなさるつもりですか? スンスン」


 蕩けた表情のまま匂いを嗅ぎつつ、ぐりぐりと頭を押し付けてマーキングするという、かわいとおしい事をやってくれているセリカの頭を撫で続けながら問い掛けに答える。ぐりぐりついでに存在感抜群の胸がポヨポヨと当たっているのは、役得でしかない。


「ジョン殿とシバイ殿との親交を深めるつもりだ」


 二人とは初めて三人で話した際に嫁自慢で勝負したけど、その後で自分の嫁は素晴らしいという共通の意識を確認し、そこそこ仲が良くなった。学会の後で行われた三家による親睦会でも白熱した嫁自慢勝負をして、恥ずかしがる嫁達を満喫して親交を深めたのは記憶に新しい。

 今回の親睦を深めるのも当然、嫁自慢合戦に興じるのが主な目的だ。


「あれをまたやるつもりッスか。よくもまあ、毎回奥さんを讃える言葉があんなに出るッスね」

「無限とまでは言わないが、言えと言われればいくらでも言ってやるぞ」

「もう旦那様、恥ずかしいですよぅ」


 恥ずかしがって離れたセリカが、蕩けた笑みを浮かべる頬に手を当てて、くねくねしながらもう一方の手で背中をバシバシ叩いてくる。

 痛いけどくねくねした動きに合わせて、存在感抜群の胸がブルンブルン震えているから、撫でる対象を失った手の行き場が無いことも含めてどうってことない。


「しかしまさか、シバイ様があれほどチワン様について熱く語られるとは思いませんでした」

「自分だって、ジョン様がエリゼ様についてあそこまで熱弁するような方だなんて、知らなかったッス」


 言われてみればそうだな。ジョン殿とは王都にいた頃から知り合いだけど、あんな風にエリゼさんのことを語る姿を見るのは初めてだ。

 少なくとも人前で嫁自慢をしていたことは無かったはず。


「きゅぅん。場所も弁えずに仲良くしている、お二人に当てられたんじゃないですか?」

「領地内ならともかく、こんな短期間で? それは無いんじゃないかしら」


 ケルムさんと義母上はなにを冷静に分析してるんだ。あとセリカ、いくらかわいとおしくても、そういつまでもバシバシ叩かれ続けたらさすがに痛い。


「案外、人前で口にしなかっただけで、前々からそう思っていたんじゃないッスかね?」


 そっちの方がまだありそうだ。ひょっとすると、シバイ殿もそうなのかもしれない。


「なんにしても、ご主人様達が奥様達がいないのをいいことに、何をぶっちゃけるのか不安です」


 単に嫁自慢をしあうだけなのに、どうして不安になるんだ。

 あっ、ひょっとして遠まわしに自分やトウカの自慢もしてほしいって言ってるのか? ならご期待に沿って、二人の自慢もしてやろうじゃないか。


「そうッスか? 自分はちょっと気になるから聞いてみたいッス」

「私も聞いてみたいわね」


 よし、だったらお茶会が終わった後に何を喋ったのか聞かせてやろうじゃないか。

 さすがに義母上の自慢までは出来ないけど、セリカとユリスとトウカの何を自慢したのか言って聞かせてやるよ。

 密かにそんな決意を固めた翌日。午前中の王都巡りでお土産を買って回ったんだけど、義母上とセリカが何件も回るから滅茶苦茶疲れた。見ていてかいわいとおしいから精神的な疲労は皆無なのに、肉体的にはとても疲れた。

 午後にはコーギー侯爵家へ戻り、先日と同じく女性使用人を二人連れて来たスフン義姉さんを出迎え、お茶会への誘いに対するお礼としてトーマスに作ってもらったというお菓子を受け取った。久々にトーマスが作った物を食べられると楽しみな一方で、スフン義姉さんからちょっと聞き捨てならない話を聞かされた。


「実はうちの夫が、これに下剤を仕込もうとしていたようで……」


 詳しく聞いてみると、あの兄は弟のくせに目立っている俺を痛い目に遭わせたくて、スフン義姉さんがトーマスに頼んだお菓子へ強めの下剤を仕込ませようとしたらしい。

 当然、トーマスも他の料理人達もそれに反発。立場を利用して強制させようとする兄を料理人達が押さえ、その間にトーマスが事態を父へ伝えたことで未遂に終わった。その兄は今、見張りを付けられて自室で謹慎させられているとか。


「何を考えてるんだ、あの馬鹿兄は……」


 思わずそう口にしてしまうほど、考え無しで馬鹿らしい愚行だ。

 痛い目に遭わせたいなら、もっと別のやり方があるのにどうしてそんな手段を選んだのか分からない。

 お茶会に持って行く菓子に仕込みなんかすれば、自分の妻であるスフン義姉さんまで被害に遭うし、他の参加者達にも被害が出る。その中には寄親のコーギー侯爵の後継者であるジョン殿の妻エリゼさんに、レトリバー辺境伯の孫の妻に当たるチワンさんもいる。

 そして仮に仕込みが成功しても、標的の俺はお茶会に参加しないという現実。

 つまりあいつの行いは決して成功することのない、机上の空論だったというわけだ。それどころか寄親のコーギー侯爵家やレトリバー辺境伯家を敵に回すことになって、爵位剥奪とまではいかないまでも、貴族としては終了していただろう。

 おまけに痛い目に遭わすとか言いながら、やることが下剤を仕込むとかセコイ。なんという小悪党なみのセコさなんだ。


「お義父様から、この件は必ず伝えるように言いつけられました」


 だよな。後継者だからって庇って言わずにいて、後々になってバレたらその方が不味い。

 さて、そうと知った以上はちゃんとした対応をしないとな。


「考え無しな兄の愚行により、皆様にご迷惑を掛けるところでした。申し訳ありません」


 未遂に終わったとはいえ、兄のやらかしはしっかり謝罪しないとならない。だって標的は俺だったんだもの、巻き込んでしまいかねない事態になった以上は、俺から謝罪するのが筋というものだ。

 仕込まれようとしていたのは毒物じゃなかったけど、どんな薬でも扱いを間違えれば毒物と同義になってしまう。だからこそ、しっかりした謝罪が必要になるから、この場に居合わせているジョン殿とエリゼさん、それとシバイ殿とチワンさんの両夫婦へ頭を下げる。


「悪かったセリカ。もう少しで危ない目に遭わせるところだった」


 勿論、セリカに対しても謝罪する。

 だって弟の婿入り先の一人娘を害して、新たな妻を送り込んで家を乗っ取ろうとした、という風に邪推されてもおかしくない事態なんだから。


「旦那様からの謝罪を受け入れます。この身に害が及ばず、未然に防がれた以上は私から言うことはありません。ですが、お母様には報告させていただきますね」


 これは義母上を通して、ザッシュ男爵家へ苦情を入れるってことだな。


「こちらも同様だ。シオン殿の謝罪は受け入れるが、父上を通じてザッシュ男爵家には相応の対応を求めよう」

「うちもシオン殿の謝罪は受け入れますが、事態をお祖父様へ報告してザッシュ男爵家にはしかるべき処置を求めます」


 当然の反応だな。参加者次第ではジョン殿やシバイ殿どころか、コーギー侯爵やレトリバー辺境伯にも害が及んでいたかもしれなかったんだから。


「それに関してはお任せします。改めまして、大変申し訳ありませんでした」

「申し訳ありませんでした」


 妻としてスフン義姉さんも一緒に謝罪してこの話は終了。

 今後の話し合いのために集まっていた義母上達の下へすぐに話が伝わり、相応の対応を求めるために馬車でザッシュ男爵家へ向かって行った。

 未遂で済んだし、悪いようにはしないと言っていたものの、それは俺に悪影響が出ないようにするってだけで、ザッシュ男爵家には相応の誠意を見せろと迫るだろう。こうなったらもうなるようにしかならないから、今はお茶会なり親睦会なりを楽しもう。

 というわけで、女性陣がお茶会へ向かうのを見送ってから、ジョン殿とシバイ殿と別室へ移って前座に少しばかり世間話や雑談をした後、通算三度目となる嫁自慢合戦を開幕させた。


「お前達も先日の親睦会で見ただろう! 酔って頬がほんのりと朱に染まった、エリゼの美しい姿を!」

「それを言うのなら、酔ったことで引き出された朗らかさが加わった、チワンが優しい笑みを浮かべた様子だって見ていたでしょう!」

「どうしてお二人は、酔って蕩けたセリカの可愛さと愛おしさが分からないんですか!」


 くそっ、これでも負けを認めないか。なかなかどうして、しぶといじゃないか。

 さすがは嫁自慢に掛けては一家言持つ者同士、そう易々とは折れない嫁への愛はさすがと言っておこう。だけど俺だって、負けるわけにはいかないんだ。


「「「次ぃっ!」」」


 白熱していく嫁自慢の戦いだけど、そこに険悪な雰囲気は皆無。

 言い合いながら熱気が高まっていく室内の様子に、三度目とあって慣れた使用人の方々は愛想笑いを浮かべつつ、時折お茶のお代わりを注ぐ。そうした中での戦いの果てに……。


「ご主人様! どうして奥様を自慢しあっているのに、私やトウカも自慢しているのですか!」


 だいぶ時間が経過していて、お茶会を終えた女性陣が様子を見に来た結果、嫁自慢だけに留まらず妾や他の妻の自慢をしていたことがバレ、揃って正座させられている。


「しょうがないだろう。ユリスやトウカのことだって自慢したいんだから」

「シオン君の言う通りです。今回は連れてきていませんが、僕のお妾さんともう一人の奥さんは自慢するに値します」

「エリゼ以外の妻二人も同様だ。自慢せずにはいられなかった」

「「「だから後悔はしていない」」」


 さすがは嫁自慢を共にしたジョン殿とシバイ殿、意見は一致した。


「ご主人様はそれでいいんでしょうが、私は恥ずかしんですよ」

「いやぁ、自分もさすがに恥ずかしいッスね」


 ユリスとトウカが揃って照れている姿を見られただけでも、自慢した甲斐があったな。

 その後ろでは各々の妻達に加え、ジョン殿の第二夫人と第三夫人も恥ずかしがっている。

 だけど一番は蕩け顔で、だんにゃしゃまぁぁっ、と言ってるかわいとおしい極愛の妻セリカなのは言うまでもない。


「ほら見ろ、照れているエリゼの姿を。実に美しくてこの世の何とも例え難いじゃないか」

「それはチワンの照れている姿を見て言ってください」

「やはり照れたセリカの超越した可愛さと愛おしさは、お二人には分からないのですね」


 睨み合う、立ち上がる、これが四戦目の始まりを告げる鐘だ。 


「「「延長戦だ! 決着つけてやる!」」」

「いい加減にしてください! それと誰が立っていいと言いましたか!」


 あっ、はい、ごめんなさい。

 とまあ、こんな感じで王都滞在最終日は賑やかに終わった。

 ちなみに実家の方に関しては、報告を聞いた三家からの苦情が入ったことでお詫びをすることになったものの、未遂で済んだ点ときちんと対処をした点を考慮され、親子の縁を利用してバーナード士爵領の案件へ参入することを禁止し、大事を起こしかねなかったブルドの貴族籍と継承権を破棄。ザッシュ男爵家の後継者はスフン義姉さんのお腹にいる子、もしくはその婿養子ということにして、ブルドは余計なことをしないよう教会送りにすることで決着が着いたらしい。


「どうして追放ではなく、教会送りにしたのでしょうか?」


 夕食の席で聞いたザッシュ男爵家への対応について、部屋で寝間着に着替えたセリカが首を傾げて尋ねてきた。

 そうした仕草がかわいとおしいし、薄めの寝間着だから存在感抜群の胸だけでなく、むっちりと肉付きの良いふとももの存在感もバッチリです、ありがとうございます。


「追放するってことは、そいつを自由にさせちゃうってことだろ? そうしたら何をするか分からないけど、教会送りにすれば嫌でも監視が付くじゃないか」


 教会送りとは言うけれど、実際は送るんじゃなくて強制的に叩き込む感じだ。

 家の一員に相応しくないから追い出したい。でも追放して自由にさせたら、それこそ何をしでかすか分からない。 そうした理由から教会へ叩き込み、信じてもいない神の道へ強制的に進ませようってことだ。


「教会としては、迷惑な話じゃないですか?」


 寝転がって押し潰されている胸とその谷間、実に眼福です。


「その分、高額な寄進が手に入るからそうでもないって話だぞ。しかもそういった人向けに、環境が厳しい場所に建つ教会へ送るって話だし」


 送る時はしっかり教会が手配した護衛が付くけど、送ったら当然護衛は帰ってしまう。その後で脱走しようと外へ出たら、どんな目に遭うか分かったものじゃないとかなんとか。

 崖から転落とか魔物や獣に襲われるとか、無法者に身ぐるみ剥がされて場合によっては慰み者にされるとか。


「旦那様のご実家は、どうなるのですか?」

「別にどうにもならないよ。息子のやらかしを未然に防いで相応の対処をした、ただそれだけだからな」


 やらかしそうになったのはマイナスだけど、当主の父が未然に防いで対処をしたからプラスして、結果は差し引きゼロだから何も無い。

 まあ精々、ちょっと貴族の間で話のネタになるくらいかな。


「スフン義姉さんも、妊娠中だからそのままザッシュ男爵家に残るしな」


 新たな後継者になる子がお腹にいる以上、実家へ帰らせることはしないし、やらかしに巻き込みかけた負い目もあるからちゃんと面倒は見るとのことだ。


「それは良かったです。今日のお話も楽しかったですから、どうなるのか心配していたんです」


 その話の内容が、昔の俺のことについてが中心だったからちょっと恥ずかしい。


「明日も見送りに来てくれるんだってな」

「はい。トーマスさんって方と一緒に」


 トーマスも来るのか。だったらその時にケルムさんを紹介しておこうかな。サミーの婚約者に考えていますって。

 どんな反応をするか楽しみだ。


「では旦那様、お義兄様のやらかしに巻き込まれそうになった私を、しっかり慰めてくださいね」

「承知しました、お姫様」


 少しばかり冗談を口にしながら、俺達は寄り添って眠りに就いた。

 夜の営み? 他所様の屋敷だからできません。

 そうして最後の一夜を過ごした翌日、俺達はコーギー侯爵家一同とスフン義姉上とトーマスに見送られて、レトリバー辺境伯一行と共に帰路へ着いた。

 なお、トーマスにサミーの結婚相手候補としてケルムさんを紹介したら、盛大に驚かれた後で息子をよろしく頼むと言っていた。世話をしているのはサミーの方だっていうのに。

 ちなみにケルムさんにサミーとのことを伝えるのを忘れていたから、ケルムさん自身にも盛大に驚かれて、その後でなにとぞ仲介をお願いしますと頼まれたのは余談だ。


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