必要だから進めていく
コーギー侯爵家の開拓支援団が合流したことにより、領内の開拓はより進んでいく。
最大の目的である田畑を作る開墾作業も、ドライアド達によるチェックで合格を貰った調理魔法の使い手が徐々に出てきたこともあって、「撹拌」での耕作作業によって田畑が次々に作られている。
それに伴って事務作業も増えたけど、新たに加わった文官達のお陰でちょっと忙しい程度で済んでいる。さすがは本職、頼りになる。
さらに彼らがブレイドさん達の教育も担ってくれたこともあり、育成の方も順調に進んでいる。
そんなある日、仕事を開始する前に全員がリビングに集まって今日の予定を確認する席で、文官の一人から領地を守る衛兵団を作ろうという話が持ち上がった。
経済が活性化すれば、それを狙う盗賊や悪人なんかが現れるのは必然。今ならレトリバー辺境伯家とコーギー侯爵家の開拓支援団を警備する兵士達が大勢いるから、彼らがいるうちに小規模でもいいから体裁を整えて、彼らが去った後に備えようというわけだ。
「如何でしょうか、領主様」
「そうね、今後の発展を考慮すれば用意しておくべきね」
現在のバーナード士爵領に衛兵はおらず、いざという時は領民達が集まって民兵として戦うことになっている。
尤も、これはバーナード士爵領だけの話じゃなくて、貧しい小領は大抵こんな感じらしい。事実、周辺の領地もそんな感じとのこと。
だけど領民達は普段、農業や狩りや漁なんかをしていて、戦うことや治安維持を専門にしていない。
全ての村や集落に少なからず冒険者はいるものの、彼らは報酬が有ろうと無かろうと協力するしないは自由で、優先するのは自分や仲間の身の安全だから戦わずに逃げることだってある。
そんな彼らに領地の治安維持の全てを任せる訳にはいかないから、なおさら早めに衛兵団を結成しておくこうということで、領内で参加希望者を募ってみることになった。
「この領地は獣人族や竜人族といった屈強な種族もいるので、参加者と鍛え方次第では、そこらの町の衛兵団より精強な衛兵団になりそうですね」
「それは頼もしく思えるけど、まずは予算の見積もりを出して、雇用人数を決めましょう。希望者を募るのはそれからよ」
衛兵として雇う以上、それで生活できるだけの給料を出せるようにして、怪我をしたり命を落としたりした場合の補償といったことを決めなくちゃならない。
場合によっては生死に関わることになる仕事だから、相応の待遇を用意しておくのは雇い主として当然のことだ。
「とはいえ、情けないことにうちは衛兵団を持ったことが無いから、どういう待遇を用意すればいいのかよく分からないのよね」
だからって適当な待遇を用意するわけにはいかないから、はてさてどうするべきか。
「でしたら、レトリバー辺境伯家の衛兵団の待遇をお教えしましょうか?」
ナイスアシストだユリス。さすがはドジキャラなのに、クールキャラと自称しているだけのことはある。
今度額を打つか舌を噛んだ時は、優しく慰めてあげよう。
「是非お願い。財力が違うから完全に模倣するのは絶対に無理だろうけど、参考にして下位互換くらいは作れるでしょ」
下位互換っていうのが悲しいし情けないけど、家の力も財力も規模も何もかもが違いすぎるから仕方ない。
いくら発展の可能性があって、辺境伯家と侯爵家から注目されているとはいえ、所詮は辺境の小領を治める裕福でもない士爵家なんだから。
今はだいぶ資金に余裕ができたとはいえ、それは衛兵団のように今後必要なもののために取っておいたり、開拓資金に回したり、農業以外の職業の人達への支援金に回したりしているから、バーナード士爵家自体の財政は実はそこまで裕福にはなっていない。といっても、前より多少なりとも余裕が出来たのは事実だけど。
「発展するのは嬉しいですが、やることが次から次へ出てくるんですね」
「そういうものさ」
領地が成長すれば、やるべき事や責任が増えていく。それが領主という仕事だ。
「あっ、シオン。明日の鬼族とドワーフの村での開拓地の手伝いの件、よろしくね」
「分かりました」
コーギー侯爵家の開拓支援団が来て人員に余裕ができたから、他の村の開拓に着手するようになった。
その現場でのちょっとした手伝いと視察のため、明日は早朝から現地へ行くことになっている。
「その時の警護はお任せください」
仕事中だからいつもの語尾を付けないトウカだけど、気持ちが逸っているのか鼻息がふんふんと荒い。でもお前の場合は、もう少し書類仕事を頑張ってくれ。
武官で書類仕事は苦手とはいえ、素人に毛が生えた程度のブレイドさん達より処理速度が遅いってどうよ。
「ええ、頼むわねトウカ」
「承知しました!」
そのやる気をもう少し、書類仕事のために割いてくれ。そうすれば仕事がもうちょっと楽になると思うから。
「他に意見や共有すべき情報がないのなら、仕事に移りましょう。今日もよろしくね」
『はい!』
仕事前の確認はこれにて終了。義母上を残して俺達は第二執務室へ移動し、いつも通りの書類仕事に取り掛かる。
この日はこれといって大きな問題が発生するでもなく、普通に仕事をこなして終わった。
まあ、そう問題が次から次へ起きても困るけど。
*****
衛兵団を作る話が持ち上がった翌日、俺は護衛のトウカと二人で鬼族とドワーフが中心に暮らしている村へ向けて出発した。
「ふんふっふふふん、ふんふん、ふふふんふん」
俺が乗っている馬の綱を引きながら歩くトウカはやけに上機嫌で、調子の外れた鼻歌を歌っている。
今日も短い袖とショートパンツから伸びる、褐色で引き締まった健康美な腕と脚が眩しい。しかも歩き方の癖なのか、尻を振っているように見えてそこへ注目してしまう。
「随分と機嫌が良いな。何かあったか?」
「別にそういうんじゃないッスけど、せっかくご主人様とお出かけなんだから楽しまないとッス!」
お出かけって……。遊びに出かけているんじゃなくて、仕事に出かけていることは弁えてくれ。
「今は仕事中なんだから、あまり浮かれるなよ」
「いいじゃないッスか。せっかく二人っきりの時間、嬉しくないんッスか?」
「二人きりの時間なら、夜に過ごしただろ」
「はうっ!? そう、だったッスね」
一瞬で真っ赤になって焦りと照れが入り交じり、誤魔化すようにあっちを向いたりこっちを向いたりする反応が初々しくてかわいい。
主従で護衛対象と警護担当とはいえ、妾でもあるからトウカがやってきた翌日の夜に関係を持った。
サラシを巻いて押さえているけど実は大きいというだけあって、セリカほどじゃないにしても確かに大きかったし、薄っすら筋肉が浮かぶ引き締まった腹部も見事だったけど、紐じゃないかと思うほど細くて尻に食い込んでいる下着を穿いていたのは驚きだった。
本人曰く、胸は動く時に揺れて邪魔になるからサラシを巻いて押さえていて、下は動きやすいから穿いているとのこと。
そんな姿で今と同じく真っ赤な顔でモジモジと照れていると思ったら、急に頬を叩いて気合いを入れて、経験は無いッスけど鍛えているんで簡単には屈しないッスよ、とか言っておきながらあっさり屈したのは記憶に新しい。体力的には持ち堪えられても、性的には持ち堪えられなかったようだ。
事を終えた後には、白目を向いて舌を力無くだらりと出しながら両手の指を二本立てていて、自分がそうしたとはいえちょっと引いたっけ。
ああ、あと意外と髪の感触と肌触りが良くて、サラサラでスベスベだったっけ。しかも手入れとかは特になにもしていないというから、世の女性達から羨まれたり嫉妬されたりしそうだ。
「か、確認するッスけど、本当に変な事はしてないんッスか!? ビリビリとした感覚が頭のてっぺんから足のつま先まで何度も激しく襲ってきて、乙女が出しちゃいけない声を何度も出したり、これまら乙女がしたらいけない姿を晒しちゃったりしたんッスよ!?」
「何度も言っただろ。特別変わったことはしていない」
あんなことになった理由を挙げるとしたら、体の相性がよほど良いのかトウカが性的に敏感なのかのどっちかだと思う。
そういえば、簡単には屈しないとか言った時に何故かそうなる予感がしたけど、何故だろう。
「奥様やユリスさんも、あぁなるッスか!?」
「乱れるっちゃ乱れるけど、トウカほどじゃないな」
「うぐぅ……。自分、雑魚くないッスよ! 決して雑魚くないッスからね!」
とか言ってると、逆に毎回屈する雑魚っぽく感じる。
多分次回も簡単に屈して、乙女が出しちゃいけない声とやらを出して、乙女がしちゃいけない姿とやらを晒すんだろうな。
そんなやり取りをしているうちに村へ到着。開拓作業は順調に進んでおり、今のところ大きな問題は起きていないと、鬼族の村長と開拓支援団の文官から説明を受けた。
その中で俺が現地視察をしつつ手伝う作業はというと。
「頭落とし、血抜き、皮はぎ、内臓摘出」
食料調達のため狩ってきたという猪やら熊やらを解体して。
「かつら剥き」
野菜を薄く長く切る時に使う「かつら剥き」で、建材として切り出した木の表皮だけをシュルンと取って。
「ささがき」
主に根菜を削るように切る時に使う「ささがき」で、防壁として使う木材の先端を四方向から削って尖った形状にして。
「撹拌、伸ばし」
「撹拌」で大地を解してから、小麦粉とかで作った生地を平たく伸ばす時に使う調理魔法、「伸ばし」で地面を平らに整えていくくらいだ。
「いやご主人様。事も無げにサクサクやってるッスけど、あまりの手際の良さに皆驚いてるッスよ?」
うん、分かってる。領民以外は大抵、最初にこれを見ると驚くから。
だけどいちいちそんなことを気にしていたら、作業が止まっちゃうから気にしない。
という訳で、「撹拌」からの「伸ばし」で道を整備していく。
「なんかご主人様一人で、開拓できちゃうんじゃないッスか?」
「それは無理だ。所詮は調理魔法だからな、やれることには限度がある」
「その調理魔法で道を整備されながら言われても、説得力が無いッス」
ほっとけ。むしろこの方法を思いついたユリスが偉いよ。
「撹拌」で地面を解すのはともかく、その後で「伸ばし」を使うなんて俺には思いつかなかったからな。
やった時に褒め倒していたら、舌を噛んだ上に転んで額を打っていた。おまけに靴がスポーンと脱げて、放物線を描いて後頭部へ直撃もしたっけ。あれは見ててちょっと驚いた。
「しっかし、この目で見ても未だに信じられないッスよ。調理魔法で農作業や土木作業ができるなんて、普通は考えつかないッス」
「俺だって、できた時は驚いたよ」
しかも興味本位の軽い気持ちだったのが、この領地を未来を担う技術になるだなんて、誰が予想できるかって。
「それより、喉が渇いたから水をくれないか?」
「了解ッス」
返事をしたトウカは少しだけ手を前に出してかざす。
「収納空間ッス」
唱えた魔法でかざした手の前に魔法陣が現れ、そこへ手を突っ込んだトウカは水が入った革袋を取り出した。
今のはトウカが授かったという空間魔法の一つで、生物以外の物を自由に出し入れできる「収納空間」だ。
便利そうだけど、どれだけ物を入れられるかは人によりけりで、中に入れても外と同じ時間経過が発生するから、運搬を楽にする程度だと思っていてほしいとのこと。実際、腐ったり傷んだりするものを長期間保管するのには向いていないしな。ちなみにトウカの「収納空間」には、総重量五十キロまでしか入らないらしい。
「ほい、どうぞッス」
「ん」
本当なら水くらい俺の「冷蔵庫」に入れてもよかったんだけど、手伝いで魔力を使うんだから少しでも温存した方がいいってトウカが言うものだから、それを尊重して任せた。
でも……温いなぁ。「冷蔵庫」だったら、キンッキンに冷えた状態なのに。
でも任せた以上、文句は言えないか。
「ありがとう」
「どういたしましてッス」
水を飲んだ革袋を返し、作業を続けていく。
相変わらず周りは驚いていて、どうなってのって表情をしている。
「なんだかあの表情を見てるのが、少し楽しくなってきたッス」
別にトウカが驚かせているわけじゃないのに、それはどうなんだ? でも分かる。
「おっ、シオンではないか。相変わらず素っ頓狂なことをやっておるの」
「ブロッサムお祖母ちゃん、失礼ですよ」
聞き覚えのある声がしたと思ったら、土壌改善した土を直接接種して幼くなっているドライアドのブロッサムと、そのひ孫のシードがいた。
作業は順調すぎるぐらいに進んでるから、ここらで小休止するため作業を止めて話しかけよう。
「ようブロッサム、シード。こっちに来ていたのか」
「うむ。こっちに来ておるドライアド達の様子見に来たのじゃ」
「それって、あのヒャッハー状態のドライアド達のことッスか?」
トウカが指差す先では、俺の「撹拌」による土壌の影響でヒャッハー状態とやらになっているドライアド達が、田畑の予定地を「撹拌」で土地整備している人達に声を掛けていた。
「オラオラオラオラッ! もっとしっかりかき混ぜるんだよ!」
「イヤッハーッ! そんなんじゃ、予定の作業が終わる前に日が暮れちまうよ!」
「ぬおぉぉぉぉっ! 気合いが、気合いが足らんのじゃああぁぁぁっ!」
……なんか前よりも悪化してないか?
調理魔法で作った肥料や、それを混ぜて耕した土に全裸で寝転がって栄養と魔力を摂取するとこうなるのは知ってるし、実際に何度も見てきているけど、その度にテンションの上がり具合が悪化している気がする。
ドライアドは大人しい種族のはずなのに、どうしてこうなった。
声を掛けられている調理魔法の使い手達が、ひいぃぃぃっ、とか言いながら必死に作業してるし。
あれは決して奴隷とその主人ではありません、勘違いしないように。……誰に言ってるんだか。
「うおぅ、凄い気合いッスね。これは自分も負けてられないッス。押忍!」
どうしてトウカはそこで対抗するんだ。別に作業へ加わるわけでもないのに。
「シオン様や調理魔法使いの皆様が作ってくれる肥料や土のお陰で、ドライアドの皆が元気いっぱいです。ここへ来て本当に良かったです」
そう言ってもらえるのは嬉しいものの、その結果があのハイテンションドライアドだと思うと、正直複雑だ。
第一、あれを元気いっぱいと言ってもいいのだろうか。いや元気は有り余っているんだろうけどさ。
「我らの仕事はあれだけではないぞ。ここや我らがいる村を襲おうとする魔物や盗賊がおらんか、周囲の木々から情報を集めて警備隊とやらに伝えておるのじゃ」
ほう。人手不要な周囲の情報収集か。木々と会話できるドライアドならではの役割だな。
これは結成予定の衛兵団の役割に組み込むべきだから、帰ったら打診してみよう。
「獲物の位置を教えてあげると、冒険者さんや狩人さんも喜ぶです!」
そういう使い方もあるのか。
自分達を狙う外敵から逃げるために使うんじゃなくて、迎撃や襲撃のために使うとはね。大人しいドライアドの時には考えられない使い方……ひょっとして、あのハイテンションドライアド達が考えたんじゃないだろうな?
「そうじゃそうじゃ。お主らが用意してくれる肥料と土のお陰で、我らが英気を養うだけでなく育てておる薬草の品質が向上して、以前よりも効果の高い薬ができておると薬師達から聞いておるのじゃ」
そういえば薬草が育ったから、商人ギルドへ卸してそれを村の薬師が買っているんだったな。
効果の高い薬ができているのなら、それはなによりだ。いつどんな怪我や病気をするか分からないから、効果の高い薬はあって困らない。
「ただ、効果が強すぎるので薄めないといけないそうです」
「うん? わざわざ薄めるッスか?」
「薬というのは強ければ強いほど、副作用というものが出やすいのじゃ。ただの回復薬とて微量じゃが中毒の素があって、摂取し過ぎると強い中毒症状が出てしまうのじゃぞ」
へえ、そうなのか。さすがは年の功、勉強になります。
「あっ、それで回復薬を飲み過ぎるなって言われてるんッスね」
「そういうことじゃ。巷じゃ頭がおかしくなると言われておるが、それは中毒に掛かったことによる症状の一つじゃ。当人は幻覚やら幻聴やら幻臭やらに襲われて、それから逃れるため狂ったように回復薬を求めるのじゃよ」
これまた勉強になりました、ありがとうございます。
「ちなみにさっきの効果が高すぎる薬って、薄めずに飲んだらどうなるッスか?」
「薬を作っておる者達によると、詰めている瓶の四分の一を飲んだら中毒症状が出て、半分も飲めば廃人確定とのことじゃ」
「意識だけが夢の世界へ飛んで行って、二度と現実には戻ってこれないって聞いたです」
怖っ!? 強い薬怖っ!?
薬もそうだけど、薬草の管理にも気をつけてもらおう。
「薬草の管理は厳重に頼むぞ」
「分かっておるのじゃ。ああちなみに、野菜や穀物の方は問題無いぞ。僅かにある毒性は、成熟した頃には消えておるから安心するのじゃ」
それはなによりだ。というか野菜や穀物で中毒になったら、怖くてなにも食べられなくなるぞ。
「だけど薄めている分、増産に繋がって大儲けしてるそうなのです」
「かっかっかっ。そうじゃのう、品質が高いから我らも儲けて実に愉快じゃ」
品質が向上した薬草はともかく、薬は何倍に薄めて売ってるんだか。
「ちなみにどれくらい薄めてるんッスか?」
「普通の市販品より少し良いくらいと言っておったのじゃ。それ以上は中毒性が上がってしまい、それによって中毒者を出したら信用や信頼を失うだけでなく、二度と薬師として働けなくなるそうじゃからな」
二度と働けないどころか、中毒症状の重さ次第では普通に捕まるぞ。
ちなみにこの場合は作った薬師に責任があって、薬草を作った側は違法な薬草でない限り責任は発生しない。扱い方さえ間違えなければ、病人を癒す薬だから扱い方を間違えた薬師に責任がある、ということらしい。
「そこまで儲ける気は無いのじゃが、儲かってしまって仕方がないのじゃ」
「贅沢な悩みというやつです!」
「本当に贅沢ッス!」
「確かに」
こっちはバーナード士爵領としての収益が上がっていても、それを開拓や領民の生活ためにばら撒いてるから、バーナード家自体の収益はなかなか上がっていないのに。
だけど領民あってこその領地運営だし、赤字って訳じゃないから良しとするか。
「さて、そろそろ作業に戻るから、また後でな」
「うむ。我らも木々を通じての警戒に戻るのじゃ」
「時間があれば、また後で話すです!」
「そうするッス!」
トウカとシードのやり取りに笑みを浮かべつつ、小さく手を上げて別れてそれぞれの仕事に戻る。
そうして作業の手伝いと現地視察をした訳だけど、手伝いだったはずの俺の作業の早さと正確さが想像以上だとかで計画が大幅に前倒しにできることになり、報告を受けた天幕にいる開拓支援団の文官達が時折口論しながら大慌てで計画の見直しをしていた。悪い事をしたわけじゃないけど、なんかごめんなさい。
ともあれ今日の仕事は無事に終わり、屋敷へ帰ったら報告をして、翌日にはそれに関する書類仕事へ取り掛かることになった。
必要なこととはいえ、大変だなぁ……。




