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海にて一仕事


 突然訪ねて来た竜人族の男性。

 彼は海辺にある竜人族を中心とした集落の長の息子で、名前はバハード。

 一見すると如何にも強そうな戦士みたいだけど、彼は漁師であり塩作り職人らしい。

 結婚式の時は集落に残り、挨拶に来た長の代理を務めていたから、会うのは初めてだ。


「それで、俺に協力してもらいたいことってなんだ?」


 席に座ってもらい用件を尋ねる。

 変な頼み事でなければいいんだけど。


「はい。実は集落の近海に、フィンレッグシャークが群れで現れたのです」


 なにそれ。名前から動物じゃなくて魔物なんだろうけど、それを俺にどうしろっていうんだ。


「まさかとは思うけど、それを俺に倒してほしいとか……」

「いえ、違います」


 良かった、そんなこと頼まれても絶対に無理だ。

 調理魔法じゃ戦えないし、剣なんて嗜み程度にしか使ったことがないもの。


「なら、俺に何を求めているんだ?」

「フィンレッグシャークの解体を、手伝ってもらいたいのです」

「解体を?」


 詳しく話を聞いてみると、数年に一回現れるというフィンレッグシャークの群れを倒すのは、男女問わず屈強な竜人族にとっては容易。

 問題は、その後の処理にあった。

 フィンレッグシャークは鮮度が命で、手早く処理しないと臭くて食べられたものじゃなく、そのための人手が足りないらしい。

 住人が二十人弱で、中には子供もいるから無理もないか。

 ならば数回に分けて討伐すればいいんじゃないかと思うけど、フィンレッグシャークは好戦的かつヒレのような足で地上を移動できるため、中途半端に刺激したら砂浜に上がって集落へ襲いかかるから応戦せざるをえない。

 そうやって結局倒すのなら、集落に危険が及ばないよう一気に殲滅するのが一番。

 ところがそうなると、処理をする人手が足りないという堂々巡り。

 だからといって放置していたら近海に魚がいなくなってしまうため、倒さなきゃならない。

 そこでこうしたことになったら、毎回のように近くの村や集落から人手を集めて処理しているものの、今年はやたら数が多いから調理魔法使いの俺にも頼みに来たそうだ。


「どうかお願いします。厄介者なフィンレッグシャークといえど貴重な食料なので、一匹たりとて無駄には出来ません。調理魔法の使い手であるシオン様にご協力していただければ、大量の食料が確保できるのです」


 話は理解できた。

 肥沃でないこの領地では、厄介者であろうと食べられるのなら大事な食料だ。

 それを大量に確保できるのなら、協力してあげたい。


「いかがでしょう? お礼としてフィンレッグシャークの身肉と後日ヒレを乾燥させたものを差し上げますし、なんでしたら皮や牙といった物もお渡しします」

「俺は構いませんが、よろしいでしょうか、義母上」


 一応今は土壌改善計画の最中だから、勝手な判断と行動はできない。

 俺が良くても義母上が駄目と言ったら駄目だ。

 だけどこの村での作業は終わって、次の村で作業をするための調整中だから、たぶん大丈夫だろう。


「断る理由は無いわ。ちょうど計画は谷間で作業が無いし、協力しましょう」


 ほらやっぱり。


「予定はいつ?」

「こちらにも準備がありますから、明日でお願いします」

「構わないわ。シオン、それで構わないかしら?」

「大丈夫です」


 魔力は既に回復済みだから、今日でも別に構わないくらいだ。


「じゃあ、そういうことでよろしく。それと、お礼は身肉と乾燥させたヒレだけでいいわ。その代わり、他の協力者にも充分なお礼をするのよ」

「勿論ですとも。今年はフィンレッグシャークが多いので、我々だけでは持て余してしまいそうですから」


 どれだけいるんだよ、そのフィンレッグシャーク。

 その後、バハードさんは感謝の言葉を述べて明日の朝に迎えに来ると言い残すと、屋敷を去って行った。


「ふふふっ、楽しみねフィンレッグシャーク」


 バハードさんを見送った義母上は、やけに上機嫌だ。


「そんなに美味しいんですか?」

「ちゃんと処理された身肉は、とても美味しいのよ。処理に失敗した物は、臭くて臭くて堪らなかったけどね。乾燥させたヒレはそれ自体に味は無いけど、食感が良くて煮込みやスープすると絶品ね」


 そうなんだ。フィンレッグシャークは食べたことが無いから、ちょっと楽しみだ。


「旦那様、お母様。お客様はお帰りになられたんですか?」


 おっ、愛しの妻のセリカだ。

 確か今日はお休みのトルシェさんの代わりに、清掃魔法で屋敷の掃除をしていたはず。

 廊下には埃一つ落ちてないから、掃除は終わったのかな。


「ええ。セリカ、明日はフィンレッグシャークの身肉が手に入るわよ。それと後日には乾燥させたヒレも届くわ」

「本当ですか!? では明日の夕食は、それをソテーにしてもらいましょう! ヒレも送られてくるのが楽しみです!」


 喜ぶセリカの笑顔が眩しい、喜びながら腕を上下に振った勢いで上下にふわふわ揺れる髪と、ブルンブルン揺れる胸に目が釘づけになる、可愛い嫁に胸がときめく。

 さすがは俺の嫁、今日も最高だ。


「そういえば、明日の朝に迎えに来るって言ってたけど、それで間に合うのかな」


 竜人族の集落がある場所へ行くには、山を越えるか迂回しなきゃならないから、馬でもそれなりに時間が掛かるはず。

 ふと思ったことを口にしたら、義母上が微笑む。


「大丈夫よ。きっとバハードが準備してくれるでしょうから」

「はぁ……」


 準備してくれるって、何をだろうか。

 乗り物かな? さすがに馬車ってことは無いだろうけど、だとしたら本当になんだろう。

 分からないから尋ねても、義母上は指を立てて口に当てて秘密というだけで、教えてくれない。

 仕方ないから明日になれば分かると自分を納得させ、セリカと部屋に戻って義母上からの課題を再開。

 それを終わらせた後はセリカに膝枕してもらってゆっくりしたり、夕食後に親子のスキンシップだとか言われて義母上にセリカと共に風呂へ連れて行かれて三人で混浴したり、調理魔法の「乾燥」でセリカのふわふわな髪を乾かしたり、今夜もベッドで夫婦の営みに励んだりした。

 とりあえず感想は、湯浴み着姿とはいえ義母上はブルンブルンでボンッキュッボンッだったよ。

 そうして迎えた翌日、朝食を済ませて少し経った頃にバハードが迎えにやって来た。

 しかもなんか、人が一人余裕で入れるくらい大きな籠を背負っている。


「お待たせしました、シオン様。お迎えに参りました」

「うん、ありがとう。それで、どうやって集落へ行くんだ?」

「私の背に乗ってもらいます」

「はい?」



 *****



 俺は今、バハードさんが背負っている籠の中に入って空を飛んでいる。

 竜人族の翼は伊達ではなく、途中にある山なんかひとっ飛びで越えられる。

 だから朝に出発しても、一時間あれば到着するらしい。

 そう説明されて籠へ乗り込み、セリカと義母上に見送られて出発した。

 ちなみに籠に入っている理由は、こうしないと俺が移動中の発生する風の影響で、寒かったり呼吸が困難になったりするからとのこと。

 バハードさん自身は寒さも呼吸も大丈夫だそうだけど、風の影響で喋れないし聞こえないから、何かあったら籠の中から背中を強く叩いてくれと言われている。

 顔を出すと危ないから籠の中で膝を抱えて座り、せっかくの飛行風景を見れないまま揺られること一時間。無事に竜人族の集落へ到着した。


「ああ、地面を踏みしめると安心する」


 飛ぶのなんか初めてだから、宙に浮いた時の感覚は不安だった。

 地面に降りて、改めてそれを実感する。


「シオン様、早速ですが浜の方へ。もう準備はできているはずです」

「分かった」


 バハードの先導で少し移動した先に浜があって、そこには銛を手にした竜人族の男達と若い女達が十数人集まっていて、それ以外に数人いる別種族や竜人族の老婆と子供達は解体のためか、木桶や包丁や巨大なまな板を準備している。

 しかし、なんだあの銛を手にした竜人族達の下半身は。布を縄のように結って股間を隠しているだけじゃないか。

 男達はともかく、女達は尻に食い込んでいて目のやり場に困るけど、なかなか良い光景だ。

 ちなみに男達は上半身裸で、女達は胸に布を何重にも巻いている。

 完全に隠しきれていない大きめの胸が、ギュッと締められているのもなかなか良い光景だ。

 バハードさんに尋ねたら、竜人族にとって伝統的な下着で褌とサラシというらしい。


「親父、シオン様をお連れしたぞ」


 バハードさんに連れられて会ったのは、先日の結婚式で挨拶に来た集落の長であるラグンさん。

 彼も上半身裸で下半身は褌、手には銛を持っている。


「おぉっ、これはシオン様。このような格好で申し訳ありません、本日はよろしくお願いします」

「気にしなくていいさ。それより、お前も参加するのか?」

「はい。まだまだ若い者には負けませんから」


 そう言って力んでみせた体は逞しく、筋肉が隆起していて強そうだ。


「ではそろそろ始めようか。バハードは急ぎ準備を、シオン様は解体班に加わっていただきます」

「おうよ!」

「分かった」


 準備をしに駆けていくバハードさんを見送り、ラグンさんの奥さんが取り仕切っている解体班を紹介された。

 こちらには近くにある獣人族と魔族の村、それと蜥蜴人族の集落から来てもらった助っ人達がいて、彼らの中にも二人ほど調理魔法の使い手がいた。


「手順はそう難しくありません。向こうにいる者達が獲物を仕留めてまな板まで運んでくるので、頭とエラとヒレを落として血抜きをして皮を剥いで内臓を取ったら、三枚に下ろしてください。その後は運び役の子供達が保管庫まで運びます」

「案外普通だね」


 もっと特別な手段が必要なのかと思った。


「口で言うのは簡単なのですが、大きい上に皮が固いので竜人族でも一苦労なんです。それが大量なので、こうして助っ人が必要になるんです」


 数の暴力は戦場だけでなく、こうした場でも起きるのか。

 そんなことを実感している間に、浜にいるラグンさんの号令でフィンレッグシャーク狩りが始まった。

 解体班からの応援を受けながら竜人族が次々に飛び立ち、少し沖へ出た所で翼をはためかせながら停止。

 そして挑発しているのか、数人が海面を尻尾で叩くと広範囲に渡って海面に何かが現れた。

 距離があってよく見えないけど、あれはフィンレッグシャークが竜人族へ噛みつこうとしているのかな。

 だけど空を飛んでいる彼らに届くはずがなく、逆に銛を打ち込まれている。

 そして素早く持ち上げ……デカァッ!? 大人の身長なんて、軽く越えてるぞ。

 しかも竜人族達はそんな大物を、男女問わず一人で持ち上げて抱えると、飛行してこっちへ運んでくるし!?


「さあ来るよ。鮮度が命だから、手早くやるよ!」


 ラグンさんの奥さんの呼びかけで、応援していた解体班も臨戦態勢に入った。

 俺も割り当てられたまな板の前に立ち、フィンレッグシャークが運ばれてくるのを待つ。


「おらっ、まず一匹!」

「弱点の眉間に銛を深く刺したから死んでるとはいえ、気をつけて解体しろよ!」

「まだまだいるんだ! さっさと行くぞ!」


 フィンレッグシャークを抱えた竜人族が次々にやって来ては、端の方から順にまな板の上へ置いていき、即座に銛を手に再び海へ向かう。

 解体班はまな板に置かれたフィンレッグシャークの解体に取り掛かり、突然忙しくなった。


「若様、これお願いします!」


 そう言って俺の前にあるまな板に、自分より大きなフィンレッグシャークを置く若い竜人族の女性。

 残念ながら真っ平で揺れは無いけど、銛を手に再び海へ向かう後姿における、褌が尻に食い込んでいる光景は実に素晴らしい。

 さて、素早い処理が必要だからいつまでも見てないで、さっさと作業に入ろう。


「頭落とし」


 魚から頭部を切り取る際に使う調理魔法で頭を切り取る。

 一瞬で切断された頭部が、まな板から転がり落ちた。


「エラ取り」


 魚を捌く時くらいにしか使わない調理魔法でエラを取る。


「ヒレ取り」


 続いてこれも魚用の調理魔法でヒレを切り取る。


「血抜き」


 頭を落とした切り口から、体内にある血が噴出すように抜けていく。

 体が大きいのと素早い処理が必要だから、ちょっと魔力を多めに使って血が抜ける速度を上昇、それと並行して皮も剥いでおこう。


「皮はぎ」


 「皮はぎ」は野菜用の「皮むき」とは似て異なる調理魔法で、動物や魚や魔物から皮を剥ぎ取るために使う。

 まるで子供が衣服を脱ぎ捨てるみたいに、スポーンと皮だけが身から剥がれる。

 皮が固いって聞いたからちょっと強めにしたけど、割とあっさり全身の皮を剥ぎ取れたな。

 ちょうど血抜きも終わったから、次は内臓取りと下ろしか。


「内臓摘出」


 腹側に切れ目が入り、内臓が全てゴゾッと出てくるからちょっと気持ち悪い。

 あっ、地上でも活動するためか肺がある。

 水中はエラで呼吸して、地上では肺で呼吸する魔物なのかな。

 なんにしても、内臓は肝以外は食用じゃないから用意されている木桶に放り込み、肝は別に用意された木桶へ入れておく。


「三枚おろし」


 身肉は柔らかめだから、威力はちょっと弱めにしよう。

 触れた感じから威力を調整して魔法を使うと、見事に身肉二つと骨にスパーンと分かれ、骨は内臓を放り込んだのと同じ木桶へ放り込む。


「こっち済んだぞ」

「えっ!? もう!?」


 手伝いとしてやってきた蜥蜴人族の少年に声を掛けると、メッチャ驚かれた。

 まあ、一分も掛からず作業を終えたら驚かれるか。

 しかも他の人達まで驚いてるし。


「嘘だろ、俺達はまだ皮の剥ぎ取り中だぞ」

「先にやっていた私の調理魔法でも、やっと内臓摘出が終わったところなのに」

「いつの間に追い抜かれたんだ……」


 まだまだ、今ので加減の感覚を掴んだからもっと早くなるぞ。


「ボサッとしてないで、早く作業しなさい!」

『は、はい!』


 ラグンさんの奥さんによる一喝で作業再開。

 俺が捌いたフィンレッグシャークの身は駆け足で運ばれていき、空いたまな板の上に次のが置かれた。


「頼んだぞ!」


 おっさんの尻に褌が食い込む光景は興味が無いから、チラ見すらせずに作業開始。

 頭落とし、エラ取り、ヒレ取り、血抜き、皮はぎ、内臓摘出、三枚おろし。

 むっ、身や皮の硬さが微妙に違う。これは個体差か?

 でもこれくらいの調整なら容易なもんだ。

 その都度調整しながら、運ばれてくるフィンレッグシャークを次から次へ処理していく。

 こいつの皮は魔力を増やしてピュッとして、身肉は逆に減らしてシャっとやって……。


「ちょっと待て、ペースが速すぎるぞ!?」

「段々早くなっていく、だと?」

「若様は魔法の名手と聞いていたけど、凄いな」

「私の調理魔法の腕前なんて、まだまだなのね……」


 はいそこ、驚いたり感心したり落ち込んだりしてないで作業する。

 でないとまたラグンさんの奥さんから一喝貰うぞ。


「お兄ちゃん捌くの速すぎ!」

「ヒイッ、ヒィッ、いくら運んでもキリがねぇよ!」


 保管庫へ運ぶ役割を担っている子供達から悲鳴が上がっている。

 子供といえど体力に優れた竜人族でも、キツイか。

 獣人族や蜥蜴人族の助っ人がフォローしてくれているけど、それでもバタバタと忙しない。

 ちょっとペースが速すぎたか?


「シオン様、その調子でガンガンやってくださいませ! なにせ百近いフィンレッグシャークがいますからね。ほら、こうしている間にも次々に運ばれてきますよ!」


 ラグンさんの奥さんからそういう要望が入ったので、ガンガンやらせてもらいましょう。

 運び役の少年少女達よ、頑張ってくれ。


「若様、今度はこれを頼むよ!」


 そう言って一際大きなフィンレッグシャークを置いたのは、スタイルの良い竜人族のお姉さん。

 置いた拍子にサラシで固定できなかった胸が大きくブルンと揺れ、背を向けた際には大きめの尻に褌が食い込む光景が見れた。お姉さん、誠にありがとうございます。

 さあ、テンションも上がったしサクサク捌いていこう。

 こうして進んだフィンレッグシャークの討伐とその処理は、予定よりも随分早く終了した。

 どうやら討伐をしていた竜人族の人達も、俺が調理魔法で捌く速さに触発されて随分と張り切ったようだ。

 それによって加速した運ばれてくる速さには俺が対応したことで対処できたんだけど、お陰で運び役の少年少女達はクタクタで、息切れしながら砂浜の上に寝転がったり座り込んだりしている。


「助かりましたぞ、シオン様! いやぁ、まさかこんなに早く終わるとは」

「力になれたのなら、なによりだ」


 討伐を終えたラグンさんと握手を交わし、後片付けや乾燥させるヒレを回収している人達を見守る。

 あれだけやったのにまだ動けるなんて、竜人族はタフだな。


「ところで魔力は大丈夫ですか? 相当消費したのでは」

「魔力量は多いから、全然平気だ」


 それに加えて必要な量を見極めて節約したから、半分も消費していない。

 生まれながらにして歴代最高の宮廷魔導師より多くて、今なお増え続けている魔力量は伊達じゃない。

 むしろ今回の作業が訓練になって、また増えることになるだろう。


「それはまた……凄いですな」

「だから今後も、同じ事が起きた時は遠慮なく申し出てくれ。予定が空いていれば、対処する」

「そうさせていただきます。おっと、お礼を渡さなくてはなりませんね。少々お待ちを」


 早足でこの場を離れたラグンさんは、お礼として約束していたフィンレッグシャークの身肉を担いで戻って来た。

 さらに、予定よりずっと早く終わったことに対する俺への個人的なお礼として、魚の干物と塩漬けの魚、そしてフィンレッグシャークの肝から作るという秘薬をもらった。


「この秘薬は効きますぞ。セリカ様とお飲みになれば、それこそ朝まで休み無くお楽しみいただけます」


 ほうほう、その手の秘薬か。

 後継者作りのためにも、これは絶対に使わなくては。

 ただし翌日に影響が出かねないから、使い時はしっかり見極めよう。


「乾燥させたヒレは、出来上がったら間違いなくお届けします」

「楽しみに待ってるぞ」


 お礼の品を調理魔法の「冷蔵庫」へ入れて返事をし、改めて握手を交わしたら昼食を御馳走になることになった。

 振る舞われたのはフィンレッグシャークの刺身と塩焼き。

 塩焼きはともかく、生で食べる刺身は大丈夫なのか不安だったけど、海で採れる魚は新鮮な物なら生で食べても問題無いというので食べてみると、加熱したものとは違った味と食感で結構美味かった。

 さらに素揚げしたものにこの領地の特産品である酢を使った、甘酸っぱくてトロミのあるタレを絡めたものも絶品で、思わず炊いた米をおかわりしてしまった。


「どうも、ご馳走様」

「いえいえ、こちらこそ大変お世話になりました。バハード、しっかりお送りするんだぞ」

「分かってるよ」


 ラグンさんと、その後ろにいる人達に見送られて帰路へ着く。

 来た時と同じくバハードさんが背負う籠の中に入り、屋敷までひとっ飛び。

 帰ったら今日の事を義母上とセリカに話し、秘薬以外のお礼の品はトルシェさんとサラさんに渡しておいた。


「機会があれば、皆で海に行きたいわね」

「そうですね」


 皆で海か……。いいね、セリカの水着姿を見てみたい。勿論、義母上のも。

 こうなったら機会を作れるよう、明日から再開する土壌改善計画の作業を頑張ろう。

 そう心に決めて、密かに気合いを入れた。

 なお、夕食で出されたフィンレッグシャークのソテーも、後日届けられた乾燥させたヒレを使った煮込みやスープも絶品だった。


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[一言] >手早く処理しないと臭くて食べられたものじゃなく 現実のサメ同様にアンモニアの問題だろうか
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