表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

11/108

第11話



 確かに妹の恋路を邪魔するのも良くないわね。私は私で出来ることをしましょう。


「ノヴァ、さっきの崖の場所に戻ってみましょう」


 何か犯人の痕跡でもあれば、シャルを狙う者の手掛かりを掴めるかもしれない。

 全く。あんなに可愛い子を狙うなんて何考えてるのかしら。



――



 大岩が落ちてきた崖に戻ってきた。

 パーティーのときと同じで雇われたものかもしれないけど、一応調べるくらいはしておかないとね。


「がう」

「どうしたの、ノヴァ」


 ノヴァが地面をテシテシと叩いてる。そういう仕草は本当に猫みたいね。

 地面を確認すると、足跡と引きずった跡が残っていた。なるほど。岩を落とすときに踏ん張った時に付いた跡ね。力で岩を押したってことは重いものを動かしたりできる特性は持っていないのかしら。

 でも、周りを見回しても同じような大岩はない。どこか別の場所から用意された物の可能性は高いわ。

 それとも、クラフト系の魔法特性だったのかしら。確か城にもいたわね、特定の物質の形を変えられる人。例えば鉄を変形させたりとか。周囲の石を集めて岩にしたのかも。この辺、地面に小石一つも落ちてないし、岩にするのに利用したのかも。

 ああ。だったら納得だわ。魔法で作り上げたものだったから、私の蹴りでも壊れたんだ。そうよね。さすがに強化系の魔法を使えるわけでもないのにあんなに大きな岩を壊せるはずないわ。ベルがチート級のステータスの持ち主だから納得しちゃってたけど、こんな細い足にそこまでの破壊力があるとは思わない。

 いや、それでもあの石の塊を砕いちゃうのは凄いことなんだけどね。


「ノヴァ、この跡から何か探れる?」

「がぅ……がうう」

「さすがに無理かぁ……」


 しょんぼりするノヴァの頭を撫でて、私は遠くに見えるチェアドーラ国を眺めた。

 ああ、そうだ。思い出した。キアノ王子のルートに出てきた二人の間に割って入ってきたキャラクター。キアノの幼馴染のレベッカ。貴族の令嬢でずっと彼のことを想っていたのよね。

 キアノにその気はなかったみたいだけど、レベッカの父のグレッチャー侯爵は王家と交友関係もあって彼女が18歳になったら嫁がせるつもりでいた。

 だけど先に18歳になったシャルの誕生日パーティーに招かれた彼は、ふわふわの砂糖菓子みたいに可愛いシャルに好意を寄せるようになってしまう。

 残念ながらベルは双子なのに全く似てない容姿のせいで相手にされなかったわ。まぁ私もゲームをやっているときに思ったわよ。ベルは性格の悪さが滲み出てるなって。王子様がいるにも関わらずシャルにキツイ態度を取りまくっていたんだから。


 それでレベッカはシャルを目の敵にするようになって、そこをベルに利用されちゃうのよね。

 レベッカを使ってシャルに嫌がらせをして、その罪を彼女に擦り付ける。最終的にレベッカを罰するの。その辺の描写は濁していたせいで、レベッカの生死は分からないままだけどファンの間ではベルに殺されたんじゃないかって言われている。

 その辺も阻止したいわね。てゆうか、ベルは簡単に人のこと殺しすぎなのよ。なんでこんなに殺伐としてるの。何が原因なの。普通に優しい両親のもとで生まれてきたのに、何かそうなるキッカケでもないとあんな性格にはならないんじゃないのかしら。


 いえ。今はベルの性格のルーツを辿ってる場合じゃない。

 とりあえずレベッカに注意した方が良いわね。どうにかして近付く方法はないかしら。じゃないと、シャルに嫉妬して何をしでかすか分かったもんじゃないわ。







読んでくださってありがとうございます。

感想・レビューなどありましたら励みになるのでよろしくお願いします。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ