生きたいという願望
「驚かない。もう驚かないぞ!」
泉で純は今の自分の姿を確認して数分間ずっと悶えながらも、ようやく落ち着いてきた。
「なんかいつの間にかあんまり冴えない俺がイケメンになってて……」
これも転移特典というものだろうか?
まさか能力ということはないだろう。
「いやそれならもはや転生なのでは……?」
ますますわけがわからない。かといって慌てても何も解決する気がしない。
「もういいや。俺の姿のことは忘れよう。それよりも……」
さっきから近くの茂みがガサガサと音をたてて揺れている。
この世界にも動物がいるのかあるいは……
「……魔物みたいなやつがいるか、だよな。」
だが想像していたものとはかけ離れていた。
茂みから現れたのは紛れもない『ヒト』だった。
「よかった。はじめまし……!?」
『ヒト』はこちらを見るや否やニヤリと笑い、どこからともなくナイフを出現させた。
「なにを……ッ!?」
『ヒト』はいきなり切りかかってきた!
純は初撃を回避することに成功したが続く攻撃で右腕を切られてしまう。
「痛っ……こっのォ!!」
もっていた木の棒で『ヒト』を攻撃しようとしたが……
「クウゥゥゥッ!?」
当然ナイフを持っている『ヒト』に分があり、木の棒を真っ二つにされた挙句
右腕を大きく切りこまれてしまった。
右腕からは今まで見たことのない量の血が流れでている。
「クソッ、逃げないと……」
純は『ヒト』を無理矢理突き飛ばし、踵を返して走り出した。
右腕の止血をするすべなどなく、血が流れ、追跡しやすいような跡を残してしまっている。
「何で追いかけて来るんだよ!?来るな!!」
後ろからは『ヒト』が追いかけてきている。
昔の純だったら追いつかれているが、今追いつかれていないのは女神からの加護か何かだろう。
『ヒト』は走りながらもナイフを投げつけてきた!
「やめろ!」
純の叫びもむなしく、何本か純に刺さってしまう。
幸いにも足に刺さってしまうことは無かったが……
さらに出血がひどくなってしまった。
「いやだ……死にたくない!!」
ここまで命の危険を感じたことは無かった。生物的な本能だろうか。
ただただ死にたくないという感情だけがあった。
全力で逃げていくうちにいつの間にか行き止まりに辿り着いてしまった。
先が壁でありとても超えられる高さではない。
「なんで……!?なんで行き止まりなんだ!?」
そうやって叫んでいる間も『ヒト』は距離を詰めている。
いやだいやだ死にたくない……死にたくない!!
「近づくんじゃねぇ!!」
純がそう叫ぶのと同時に純と『ヒト』を巻きこんで大爆発が発生した!




