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異世界1日目 4月1日(月) ⑦セクシーな雑貨店の店長さん

 

「お腹が空いたよお~。ねえ~ってばぁ」


 外に出るなり美少女フィギアからブーイングを食らう羽目になった……やはりクレイドさんの所で全然喋らなかったのは、お腹が空いていたからか。


 とりあえず保育園営業の認可は下りたので、第一ステップはクリアだ。次はルーミィさんの言う通り、食糧や生活用品を購入しなければならない。その為にはまず、この世界の通貨を知る必要がある。


「はい、はい、分りました。とりあえず、どこかお店は……あれは、雑貨店?」


 メインストリートに面した一等地であろう場所にそんな看板を掲げた店を発見した。店先を覗くと雑貨の他に食糧、衣服なども揃っており、店内もかなり広い様子だ。


「この店にしましょうか……いや、一度村を一回りしてから――」


「やったぁ~食べ物があるぅ~!」


 やたら喜んでますけどお金持ってませんから。下調べと言っているでしょうに……。


 浮かれてはしゃいでいる美少女のせいで、行き交う人が変な目で見てきてるじゃないですか……。

 やめていただけませんかね? いきなり変わり者のレッテルが張らちゃうじゃないですか。


 風評被害を最小限に抑える為に、逃げるようにして先程目に止まった雑貨店へと店内に入った。辛い……女神様が能天気過ぎて……。


 勢いで入ったがこのお店、現実世界で例えるとコンビニを彷彿とさせるものだった。

 咄嗟に入った店だか、置いてある物の種類は想像以上であり、非常に品揃えが豊富のお店のようだ。


 店内のレイアウトは綺麗に無駄無く商品が陳列され、値札も見やすい位置に添えられていた。買い物もしやすそうであり、経営技術の高さが伺える。


 ふと値札に目をやると数字の後ろに『G』と書いてあった。お願いだから単価名が『ゴキブリ』で無い事を祈りたい。

 というかそんな名称を付ける奴の気が知れない。よっぽどの酔狂であろう、友達にはなれそうにない。


 さて、ふざけるのはこのぐらいにしておこう。そんな訳無いもんね。


「通貨はG……ゴールドと呼べばいいのかな?

 異世界ではわりかし定番の通貨名だもんな」


 商品相場の数字設定自体は元の世界と大差無いようだが、日本円に換算するといくらぐらいなのだろうか。

 100ドルと100円では全く価値が違うもんな。


「いらっしゃい。おや? 見ない顔ぶれだね? どこかよそから来たのかい?」


 この店の人であろう女性に声をかけられた。


 その女性は日に焼けたような健康的な肌の色が特徴で背が高く、綺麗な栗色のボブヘアーとルーミィさんと同じく茶色の瞳を持つ、口調が姉御調な女性だ。

 だがその容姿はルーミィさんが美少女ならば、彼女は間違い無く美女と呼ぶ程に素晴らしい。いや、超を付けねば失礼に当たるだろう。


 そしてなにより第一印象がその端麗で美しい顔つきではなく、肌の色になってしまったのは着ている服のせいだと思う。肌寒さを感じる気候なのだが彼女はやたらと露出の多い服を着ている。

 あと、いやこれは最大のポイントであろう……。


 お胸が凄い。


 素晴らしいスタイルの持ち主である。あ、ルーミィさんがジト目でこちらを見てる……。こ、これはまずい!


「わ、私は桜の大樹がある丘に引っ越してきました寿和也と申します。そして隣に居るのはルーミィさんと申します。以後お見知りおき頂ければと」


 頭を下げて自己紹介すると、ルーミィさんも慌てて俺を真似て頭を下げた。


 しかし、よく考えればルーミィさんって神様なのに頭を下げさせて良いのだろうか。まあ、再研修中だから良しとしよう。


「こりゃあ、親切にどうも。しかしあんたの名前、コトブキカズヤって、なんか言いにくいねえ。あたしはこの雑貨店の店長のイリアだ。とは言っても一人でやってる店だけどな、宜しくな!」


「あっ、寿は名字で名前は和也です」


 実はクレイドさんとも似たようなやり取りがあった。なるほど、この世界ではファミリーネームは要らない感じなのか。


「名字と言うのがよく分からないが……とりあえず名前はカズヤだな?」


 どうやら呼び名はカズヤで落ち着いてくれたようだ。それにしてもこの広い店を一人で賄っているとは。異世界のブラック企業を発見いたしました。


「はは……それはそうとおひとりでこのお店を賄ってるとは、相当大変ではないですか?」


「いや? 結構余裕あるぞ? まあ、のんびりやってるのさ」


 別に負荷を感じていない口ぶりだ。きっとスーパーウーマンなのだろう。流石は異世界、スケールが違いますね。


「信じてもらえるか不安なのですが、実は私達は異世界からやってきまして。この辺りの通貨を知らなくて。買い物もしたいので通貨がどんなものか教えて頂けないでしょうか?」


「ああ、そういう事かい。いいよ教えてやるよ。いいかい? 通貨はG、ゴールドと言ってだな……」


 簡単に信じてもらえた……クレイドさんもそうだが、対応力が神レベルですね。

 慣れてるの? いや、クレイドさんは異世界から来た奴は初めてと言っていた。純粋にいい人達なのだろう……。


 イリアさんは親切に実際のお金を見せて説明してくれた。怪しげな異世界人に親切にしてくれている。

 やはり超美人は器が違うな……完全に偏見ではあるが。




 イリアさんから教えて頂いた知識としては、この世界の通貨はG、呼び名は安心安定のゴールドらしい。

 日本円と同じ仕組みで価値も同じようであったが基本、硬貨のようだ。10000Gまでが硬貨で他に1000G、500G、100G、50G、10G、5G、1Gと基本は日本そのものの通貨単価だった。ちなみにそれ以上は紙幣に変わるらしい。


「なるほど。親切にありがとうございました。すぐにお金を工面して戻ってきますね」


「あいよ、ちゃんと待っててやるよ」


 よし、これで神力でお金を出す事が可能となった。一度園に戻って試してみよう。



 ≪≪≪



 村から出て再び園に戻ろうとしているところで、遂に我慢の限界に達したのか、ルーミィさんが声をかけて来た。


「ねえねえ、どうして神力使ってお金出さなかったの? お買い物してないよぉ。お腹空いたよぉ……」


 いや、いきなりあの場所でお金出したら怪しさMAXでしょ? 俺、多分秘密組織かなんかに誘拐されて紙幣製造機として使われてしまうじゃないですか。


「まだ神力を使った事が無い上に、流石に人前で使うのはまずいですよ。何も無い所からお金がザクザク出てきたらいろいろと疑われます」


「うぅ~、お腹空いたんだってばぁ~」


 この女神様め、さっきから口を開けばお腹空いたしか言わないな……そんなにお腹が空いているのか? それはそれで可哀そうかも知れないな。俺もお腹空いてきたし、おっ!? あれは!


 保育園への帰り道に例のスライムを発見した。モンスターではなく、精霊と呼ばれ食べる事も出来るって村長のクレイドさんが言っていたな。


「よっ」


 道端のスライムを手に取ってみた。思った通り弾力があって少しひんやりとした感触だった。その上、全くと言っていい程動かない。


「スライムを捕まえて何してるの?」


「いやあ、持って帰ろうかと思いまして」


「何するの? 遊ぶの?」


 とりあえず、俺はこれを使った遊び方を今は思い付く事は出来ない。って何故この切羽詰った状況下で遊びを優先せねばならないのだ?

 女神様は今の置かれている状況はちゃんと理解しているのだろうか?


 ……落ち着け、俺。こんな美少女を前に悪態なんぞ付ける筈も無いし、それに再研修中だがれっきとした神様なのだ。後で天罰とかは食らいたくはない。


 一呼吸置いた後、ルーミィさんの方を見て少し口角を上げながら答えてあげた。


「いえ、調理してみようかと」


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