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異世界17日目 4月18日(木) ①多大なご迷惑をおかけしました

 

 記念すべき保育初日に寝坊する訳にいくまいと、念の為に神ブックの便利機能の一つである目覚まし機能を使い、いつもより早く起きて朝食の支度を始めている。


 しかし、この神ブック、中々役立つ機能が付いているな。ただコール音が『ハーレルヤ、ハーレルヤ♪』と鳴るのが少し微妙だったが。

 曲は変えれないのだろうか……。


 そんな緊張する気持ちが同じだったのか、いつも寝坊し気味のルーミィさんも今日は早く起きてテーブルについていてくれている。

 これからはこのペースを守らないといけない。続いてくれる事を切に願いたい。




 朝食も食べ終わり、登園の時間も近づいてきたのでカリムさんが用意したゲートの前に二人で並んで待っていた所、魔方陣のゲートが銀色に光り出した。

 眩く輝く光のカーテンから姿を現したのは、ピンク色の園内着に身を包んだケモミミ幼女ことアメリアちゃん。


 ピンク色の園内着と肩から下げた黄色のカバンがとても似合っている。

 遂に保育園をするんだな、俺……。正直先生なんて柄でもないし、知識も無い。だが、これを達成しない限り俺の未来は無い。死ぬ気で頑張らないとな。


「カズヤせんせ~、ルーミィせんせ~! おはよ~!」


 俺達に向かって満面の笑みで挨拶をしてくれた。元気な声、しっかりとした挨拶。大人でも中々出来るものじゃない。

 100点満点だ! 花丸も付けちゃいたいぐらいの笑顔である。


 なんだろう……この子の笑顔を見てると、なんだか保育園の運営もまんざらではない気になるな。


 俺はこの子の先生としていろいろとお手本を示してあげないと。まずは挨拶されたんだからしっかりと返さないとね!


「おはよう、アメリアちゃん! ようこそさくら保育園へ!」


 ここ数年で一番の元気いっぱいの挨拶をしてあげた。しかし、なんと可愛らしい。ついつい見てるだけでにやけてしまうほどだ。


 ……なんだろう? 視線を感じるぞ? と言ってもルーミィさん以外居ないのだが。


 恐る恐る表情を確認して見ると冷たい目をこちらに向けていた。いや、違うな、あれはちょっと引いてる目だ。


「和也先生って……もしかして……ロ、ロリコン、なの?」


 これっ! 幼児の前でなんて発言するんですかこの女神様は!?

 しかも何故恐る恐る聞いてくるの!? 違います! 俺はちゃんと大人の女性が好きです! ここは全力で否定せねば。


「一体何を言ってるんですか? そんな事は一切ありません。園児に対してそのような邪な気持ちは持っておりません! さ、アメリアちゃん、お部屋に行こうか!」


 ルーミィさんの誤解を解き、アメリアちゃんと手を差し出した。

 笑顔で手を伸ばしてきたのだか、大人の手では大きくて掴めないと判断したのか、はたまたパパさん、ママさんとそういう風に手を繋いでいるのかは分からないが、人差し指に掴まってきた。


 そうきましたか……くぅ、超可愛いじゃないのっ! いいじゃん、保育園の先生って!


「う~ん、やっぱり少し心配……」


 聞こえてますよ~? 繰り返しますが無いから! そういうの!




 さて、広々とした空間が自慢のさくら保育園。だか園児はアメリアちゃんただ一人である。今は遊戯室に居るのだが、まあ、空間を持て余す事、持て余す事。


 真ん中に居るのも落ちつかなかったので、隅の方にテーブルとイスを置いていたりする。完全に貧乏性が滲み出てしまっているがご容赦頂きたい。


「アメリアちゃん、これからここでいっぱい遊んで、いっぱい食べて、いっぱい学ぼうね!」


「は~い! アメリアたのしみぃ! あ、カズヤせんせ~、パパとママから袋を渡してほしいって言われてたのぉ。はい! なんかみんなでさがしてたよ!」


 笑顔を向けたまま固まった……アメリアちゃんの手に握られた封筒の中は例の10万Gだとは思う。この件についてはずっと思い悩んでいた。しかもみんなって……他の銀狼さん達を完全に巻き込んでしまってる。


「あ、ありがとう。ちなみに何人ぐらいで探してたか知ってる?」


 やはり、昨日聞こえたシルフさんの言葉は聞き間違いではなかったか……。一体どれくらいの労力をかけてしまったのだろう。


「う~んと、パパは500って言ってたよ? いっぱい!」


「500もの神獣が保育費を探しに……和也先生、歴史に残る大事件だよ……」


 ああ、やっぱりぃ! すみません、すみません! 保育費以上の経費かけてしまってましたぁ! か、神クラスのモンスターさん一人当たりの人件費って一体どれくらいかかるのだろうか……。


「みんなは『かちのひくいおかねをみつくろうのはたいへん』って言ってたよ!」


 銀狼の皆様! ご迷惑おかけしてすみません! 後でお便り帳に謝罪文書いておこう……。


「と、ところでアメリアちゃん、お金の使い方って知ってるかな?」


「ううん、知らない!」


 予想通りの元気な返事が返って来た。明らかに金銭感覚の違う白銀狼(はくぎんろう)のご息女だ。買い物すらまともにした事がないのだろう。何と言っても1億以下の金額は持って無いぐらいだからなぁ……。

 しかし最低単価が高過ぎる! そうなれば定番のお店屋さんごっことかおままごとなんかの知識も必然的に無いという事だな。


 よし、最初の教育方針は決まった! まずは一般的な金銭感覚とお金の仕組みを覚えてもらおう。

 本来は遊びで挨拶や行動を学ばせるべきなのかも知れないが、この子はもう出来てるもんな。それよりも一般常識を身に付けた方が今後の保育もやりやすくなるし、なにより遊びの枠が広がるだろう。


「アメリアちゃん、それじゃあお金の使い方を覚えていこう! そうすればもっと沢山の遊びが出来るようになるからね」


「あたらしいあそび!? アメリアおぼえるぅ!」


「私もお金って使った事が無いから一緒に覚えましょ? ね、アメリアちゃん!」


「ルーミィせんせ~といっしょ! わ~い!」


 そういえばこの方は女神様でした。今まで買い物は全部俺がやってたし、昨日のお小遣いも使い方が分らないんじゃ意味無いですもんね。

 ってか今までスライム料理販売してたけど、価値分かってなかったのね……。


 アメリアちゃんは新しい事をするのが相当楽しみなんだろう。ぴょんぴょん跳ねてルーミィさんにくっついてる。ほんとに元気な子だ。子供らしくて非常に宜しい!


 よし、それじゃあ、二人を連れて校外学習と行きますかね!


 村での買い物ならイリアさんの雑貨店だろう。あそこにはいろんな物が売っているからお店を理解するにはうってつけだ。

 ただ、店長様の露出が高いので幼児には問題があるかも知れないが……。


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