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異世界1日目 4月1日(月) ①女神様って本当に居たんだ

 

 体に違和感を感じる……地に足が着いていないような、ちょっとした落下感もあるような、これは浮遊感か? それにしてもおかしいな、ソファーで寝ていた筈なんだけど。


「何? ここ?」


 目を開き、視界に映った光景に唖然とした。


 一面見渡す限りの薄い青の空間。所々に白い雲のようなものがあるが、それ以外何も無い。そう地面さえも。

 その中で俺は宙に浮いている……違和感の原因はこれのようだ。


 ってかどうして立ってられるの? 


 はっ!? まさか寝る前に発生した弟の結婚フラグが成立したとでも言うのか!? 俺、死んじゃったぁ!? 俺が結婚する訳でもないのに!? なにそのとばっちり!?


 ……ってそんな訳無いか。まあ、普通に考えたら夢だよな。でも夢であったとしてもこんな神秘的な景色は中々見れるもんじゃない。明日は良い事がありそうだ。

 お肉の半額セールとかに出くわせるかも知れない。そうなったら総買いして冷凍庫で全て凍らせておこう! 食材のストックは有るに越した事ないもんな。


「夢ではありませんよ? それに半額セールには残念ながら出くわせません」


 澄んだ美しい女性の声が後ろから聞こえて来た。とても優しく胸に響くような声であった。それと何気に俺の夢を打ち砕いてくれた。いや、そんな事はどうでもいい。


 急いで振り返ってみると一人の女性が俺と同じく宙に浮いた状態で立っていた。そして声に続き、その容姿にも驚かされた。


 その女性は腰辺りまで伸びた艶やかな金色の長い髪に瞳も同じく輝くような金色をしていた。身長はさほど高くはないが、女性らしい華奢な体であり、その体にまとっているのは真っ白な布を織り合わせたような衣と言うべき服であった。

 その真っ白な衣から滲み出る清楚感、神々しさ、そしてその美しい顔立ちは、まるで絵画の中から飛び出して来た天使のような神秘的な印象を受けた。


 美少女。その言葉以外に当てはまる言葉が俺には思い浮かばない。


「お褒め戴きありがとうございます。寿和也さん」


 えっ!? 俺、口に出してた!? 確実に口は閉じてたから漏らす事なんて無いと思うんだけど……何で俺の考えている事が分かるの?

 しかも身バレまでしてるじゃん!? やだ、怖い!


「私は神ですので。貴方の素性や心を読む事ぐらい造作も無いのですよ」


 あ~天使じゃなくて神様でしたか、いや、女性ですから女神様ですね。だから読心術的な事が出来る訳かぁ。

 ――危なかったぁ、余計な事を考えなくて。


「余計な事。とは何でしょうか?」


 これは思ったより厄介だ、考えている事が筒抜けになっている。このままではいずれ墓穴を掘ってしまう。いきなり天罰など勘弁して欲しい。


「いえ、なんでもありません。それよりも私は死んでしまったのでしょうか?」


 何はともあれこれが今一番知りたい。まさか本当に弟の結婚フラグが成立したのであろうか?


 死因としては過労死が一番思い当たるけど……食生活には結構気を使っていたのになぁ。外食を控えて頑張って自炊してたし……それともやっぱりお酒かな?


 でも急性アルコール中毒になるほど飲んだ覚えも無い。お酒は飲み慣れてるし、それなりに耐性もあると自覚している。そんな奴がビールを一缶と少々飲んだだけでコロっと逝ってしまうものだろうか。


「ご安心下さい、寿さんは亡くなってはいませんよ」


 よっしゃあ! 良かったぁ~やっぱ生きてるって素晴らしい事だよね。後、結婚フラグはやはり都市伝説なんだな。


 ただ、今もなんか宙に浮いてる状態で意味不明な事には変わりないが。しかし何故俺はこの謎の空間に居るんだ?


「ここは神界と呼ばれる神が住まう場所です。貴方の強い想いがこの神界まで届き、私の目に止まり、ここに呼び寄せました」


 女神様が一気に謎を解いてくれた。でも想いってなんだ……あ、ひょっとして寝る直前に考えたちょっとアレなヤツかな?


 いやあ、うん。自分でも多少は意識あったけども、女神様に気付かれるほど悔しがっていたのか。我ながらちょっと引くな……。


「人生をやり直したい。との想い自体は一般的に良くある事なのですが、寿さんの場合は稀に見る強さでしたので。相当お悔やみになられていたのですね」


 女神様からは哀れみに満ちた顔を向けられているのだが……やめてっ! 恥ずかしいから! おっさんを追い込まないで!

 でもね、一つ屋根の下で暮らしている弟が超リア充だったんです。そりゃあ想いってやつも大きくなりますよ!


「神界まで届く強い想いこそがこの神界に来れる条件であり、私は寿さんの願いを叶える為にここに居る訳です」


 なんと! あのちょっとアレな願いを叶えてくれる!?

 しかし待てよ? ここまで都合の良い話があっていいものだろうか?


 実は裏があって『願いの代償はお前の魂だ! ふはははは! 何のリスクも無くそんな美味しい話がある訳がなかろう!』とか中二染みた展開になったりする可能性も――


「なりませんし、神は見返りを求めません。もちろん強制でもないので嫌ならば別に構わないのですが?」


 やべえ!? 女神様の顔が一切笑ってない! 冗談です! おフザケが過ぎました!


「大変失礼申し上げました! 何卒ご容赦の程お願い致します!」


 ここは全力謝罪だ。体が自然に動き、気が付いたら正座して土下座していた……浮遊感のある状態で正座は少し不安定だけど。


 女神様は軽くため息を吐きながらも話を進めてくれるようだ、良かった、土下座の効果は絶大だな!


「ふぅ……寿さんのおっしゃる【ギャルゲー】と呼ばれるものが私にはよく解りませんが、世界は無限にあります。寿さんは目を閉じ望む世界、自身の状態をイメージを作り上げて下さい。そしてイメージ出来たら手を挙げて下さい。私が世界を選択して転移させますので」


 女神様の口からギャルゲーという単語を聞く日が来るとは……。しかも転移って選択制だったんですね。


 おっと、心の声は筒抜けになるんだった。俺はその世界に行きたい。先程みたいに機嫌を損ねるような事は控えねば。


「はい! 宜しくお願い致します!」


 正座から立ち上がった後、90度のお辞儀をしておいた。感謝の極みでございます!


 さてと、まずは女神様に言われた通りに目を閉じて精神を集中させよう。ここでへまをする訳にはいかない。


 やっぱりここは一昔前に一世を風靡したあのギャルゲーを基本としよう。俺はあの非日常的な世界観が堪らなく好きなのだ! 


 まず舞台となるのは高校生活だ。それにはまず俺自身も高校生の歳まで若返る事が最優先だ。今のままの歳だと不具合が多過ぎる。おっさんの高校生なんてその時点で詰む。


 ただ見た目はそんなに変えたくないな……あくまで若返るだけに留めておこう。イケメンになるのはやぶさかではないが、この体には愛着と言うものもある。それにギャルゲーの主人公になるんだから色々補正もあるだろう。


 うん、顔はこのままで若返りだけでいいや!


 後は何と言ってもヒロイン達だな。幼馴染は鉄板として、先輩、後輩の関係も外せないな。そして何よりも超高校生級の巨乳ちゃん。これは絶対必要だ! 絶対夏のプールの連れて行ってやる!


 高校生活を彩る多彩なイベントも忘れちゃいけないな。あんなイベントやこんなハプニングもあったり……。


 よし、固まった! ギャルゲーはやり込んでいたからな、抜かりは無い!

 イメージ出来たら手を挙げるんだったっけ。さあ、いつでもいいですよ、女神様!


「そのイメージ、保っていて下さい。今から世界を選択して寿さんを転移させます」


 言われたとおり目を瞑ったまま手を上げていると、言葉では言い表せない感覚が襲って来た。まるで魂が抜けていくような少し怖い感覚だったが、何故か心地良さもあった。力がどんどん抜けていく……なんか更に気持ちが――

 

 悪っうぅぅ!?


 完っ全に油断していた! 先程までの優雅な感覚から一転、まるでジェットコースターの直下降さながらの落下感を感じる!


 いや、それよりも遙かに劣悪な感覚だ。内臓が揺すぶられているようで今にも吐きそうだぞ!?


 これは拷問と呼んで差支えない。全方向に振り回され、先程までは吐きそうな感覚であったが、今はそれを通り越し、意識が遠くなっていく……。


 感覚も次第に消えて……おそらく死ぬ一歩手前か意識がぶっ飛ぶ直前だと思う。心から後者であって欲しいと願う。


 頭が真っ白な空間に満たされる直前、聞こえてはならない、そして気のせいであって欲しい女神様の声を拾ってしまった。


「あ……」


 ちょっ! なに!? 『あ……』って!


時刻は不定期になりますが、序盤は二話投稿で進めて参ります!

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