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サクラユキ  作者: えるす
16/23

修学旅行①

「気を付けてね」


「うん、じゃあ行ってきます」


 修学旅行当日の朝。

お母さんに見送られ、予定通りの時刻に家を出る。

荷物の確認も三回くらいしたので、忘れ物はないはずだ。

足取りも軽く学校に向かう。

学校の行事がこんなにも楽しみなんて何年振りだろう?


 校門が見えてきて腕時計を確認すると、出発時間の30分ほど前だった。

さすがに早く来すぎたかと校門をくぐると、校庭にはすでに結構な数の生徒がいた。

その中に理亜の姿を見つけて駆け寄る。


「おはよう、理亜。皆結構早いんだね」


「おっはよ、麻里。あはは、昨日興奮してあまり眠れなかったんだよね」


 苦笑いしながら答える理亜。


「理亜も?実は私もなんだよね」


「じゃあ今ここにいる人は皆そうなのかもね」


 さすがに全員ではないだろうけど、なるほど、と納得してしまう。

5分くらいしたところで白河さんも来た。


「おはよう、二人とも早いんだね」


「「あはは・・・」」


 私と理亜は顔を見合わせ、苦笑いする。

当然、白河さんは不思議そうな表情になるが、その理由を理亜が説明した。


「なるほどねー。理亜はともかく、芳野さんまでとはちょっと意外かも」


「かーすーみー。私はともかくってどういうことー?」


 理亜は冗談っぽく、ふてくされた表情で問い詰める。


「あちゃー、聞こえちゃってたか。でも実際理亜って、翌日楽しみな事があると眠れないタイプなんじゃない?」


「う・・・」


 図星なのか、何も言い返せず押し黙ってしまう理亜。


「まあまあ、それだけ理亜は素直ってことじゃない。あ、出席確認したらもうバスに入ってていいみたいよ」


 白河さんの言った通り、数人の生徒が校門の外に待機しているバスに向かい、歩き出した。

私達三人も先生に出席報告してバスに向かう。

すると、ちょうど校門に入ってきた桜木君と足立君の姿が見えた。

二人ともこちらに気付いたらしく、軽く手をあげて近づいてくる。


「おっす、今日はよろしくな」


「おはよう。料理は苦手だから頼りにしてるよ」


「おはよう、お二人さん。こちらこそよろしくね」


 一番前を歩いていた白河さんが二人に挨拶をして、私と理亜もそれに続いて挨拶する。

今更だが、学校に私服でいつものメンバーと顔を合わせるのは新鮮に感じる。


「じゃあ私達、先にバス行ってるねー」


 理亜が手を振り、再びバスに向かう。

足立君の荷物がやけに少ないのが少しだけ気になった。


 バスに乗る前に大きい荷物をバス横の荷物入れに入れる。

そして私は手に持った小さいカバンから酔い止め薬を取り出し、忘れずに飲んでおく。

その様子を見ていたのか、理亜が声をかけてきた。


「麻里、乗り物酔いしやすいの?じゃあ窓側の席座っていいよ」


「あ、気使わせてごめんね。小さいときと比べたらだいぶ良くなったんだけど、山道走るから念のためね」


 バスに乗り込み、少しすると続々とクラスメイトが乗り込んでくる。

15分ほど経ったところで全員集まったらしく、点呼をして最終確認を取る。

目的地までは約2時間半。

バスのエンジンがかかり、いよいよ出発だ。

窓から見える景色がゆっくりと動き出し、二泊三日の修学旅行が始まりを告げた。

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