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エピソード0:暗躍する闇

世の中には表社会に隠されていることが数多く存在する

そんな隠されているものの一つに魔法という概念がある

それは魅力的な響きかもしれない、しかしそんな甘い考えが過ちであると人はすぐに悟る

だからこそ魔法は隠された

だからこそ魔法使いの存在は秘匿された

それでも隠しきれるほど魔法は簡単なものではなかった

それは甘い誘惑となって人々の前に姿を見せる

退屈な日常を打ち壊す力を秘めて


薄暗い廃工場の一角、天上が所々抜け落ちたそこには月明かりが光の柱のように差し込んでいる

そこに一人の男が息を切らして走ってくる

恐怖に顔を歪めて男は後ろを振り返る

闇と同化してそれは確実に迫っていた

後ろを気にして走るあまり、向かう先にあるドラム缶に気がつかず男はドラム缶にぶつかり豪快にこけてしまった

ドラム缶がこけて転がり、男が倒れる男が静寂な廃工場に響き渡る

男は慌てて起き上がろうとするが、すぐにその足が止まった


「残念でした。追いかけっこはもうお終いだよ」


男が走ってきた方向から声がした、闇の中から痩せこけた男が姿を現す

その痩せこけた男の隣、何もないはずの空間が歪んでいた


「ひっ…!く、来るなっ!」

「つれないなぁ~そんな言い方ないだろ?」


痩せこけた男は狂気に顔を歪めて男を見る

それと同時に痩せこけた男の隣から目に見えぬ何かが動いた

次の瞬間には男は精気を吸い尽くされてミイラと化していた


「美味しかったかい?」


痩せこけた男が何もない空間に声をかけると空間が歪んで巨大な狼が姿を現した

狼は首を横に振る


「そうかい、そうだね~たいした器じゃなかったからね~彼」


言う男の後ろで物音がした

痩せこけた男は喜びに満ちた顔で振り返る


「今度は誰ですかぁ~?」


そこにはスーツを着た青年がいた、手には無数の数珠が握られている


「人気のない廃工場から呪力反応があったかと思えば…貴様自分が何をしたかわかってるのか!?」

「何って?」


首をかしげる痩せこけた男の反応にスーツを着た青年は怒りを覚えた


「何も知らない人間から精気を吸い上げ呪力を集めることは禁じられているだろ!」


スーツを着た青年の言葉に痩せこけた男は狂気で顔を歪める


「あぁ…それってAMMの定めた規則ってやつ?もしかしてAMMの人?」

「だったらどうする」

「そうだな…殺す、かな?」


言って痩せこけた男は狂気で顔を歪めた

次の瞬間巨大な狼が一瞬でスーツを着た青年の目の前に現れていた


「くっ!」

「死んじゃえ!!」


スーツを着た青年は数珠を握った手を狼へとむける

その口から唱えられるは五時八教の教相判釈

天台密教、通称台密。スーツを着た青年の正体はその密教徒である

しかし、その力が発揮される直前、空間が歪んだ


「隙だらけですね」


この場にはいなかったはずの少女の声、スーツを着た青年は声のした方、頭上を見上げる

そこには闇に紛れて何かが蠢いていた


「なっ!?」


蠢くものから巨大な二つの鎌が振り下ろされる

スーツを着た青年は反応することもできず巨大な二つの鎌に胴体を切り裂かれた


「あぁ~横取りはいけないなぁ~」


言う痩せこけた男の目の前に頭上で蠢く何かから一人の少女が降りてくる


「横取りした覚えはありません。それに本来の目的はこの地に刻印を刻むことです」

「あぁ…これは失礼」


痩せこけた男は右手で顔を押さえて肩を竦める

すると再び背後で物音がした


「ほんと、今夜は無粋な闖入者が多いなぁ~」


痩せこけた男は狂気に顔を歪めて振り返る

振り返った先には制服を着た警官が拳銃を構えて立っていた


「こんな所で何をしている!」


警官はミイラ化した男の死体と胴体を切断された青年の死体を見て怒りを覚える


「お前たち!殺人の現行犯で逮捕する!動くな!!」


しかし、次の瞬間警官の手はなくなっていた

巨大な狼に腕を噛み千切られたのだ

噛み千切られた腕から大量の血が噴出す


「ぐわぁぁぁぁぁぁ!!!!腕がぁ!腕がぁぁぁぁ!!!」


警官は激痛に耐えられずその場に倒れこんだ

そんな姿に痩せこけた男は狂喜の叫びをあげる


「うひゃひゃひゃ!!マジサイコー!!ただの人間が俺らに勝てると思ってんの?」


警官は激痛と恐怖の中なんとか逃げようと這いずって来た方向へと向かおうとするが

行く先を狼に阻まれてしまう


「う…」

「逃げられないよ?お巡りさん」


狂気に満ちた顔で近づいてくる痩せこけた男を見て警官は恐怖で顔を歪める


「な…何なんだお前たちはっ!」


死への恐怖に覚える警官に少女は一言告げた


「私たちはかつての栄光を呼び戻す使徒…偉大な夢を体現する者」


その言葉を最後に廃工場から人の気配はなくなった

残ったのは三体の死体と禍々しく輝く魔法陣だけであった

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