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ある御伽噺
ーーーむかしむかし、あるところに、我侭な女王様がおりました。齢6歳の美しく可憐で、そして冷酷な少女でした。彼女は赤いドレスを好み、常に赤を欲していた。
自分の気に食わぬことがあれば、たとえ親戚でも、大臣でも、お婿となる素敵な男性であっても、少女直々に手を下すのであった。
彼女は実に欲深く、「手に入らぬのならばこの國に用はない」という名言を生み出したのであった。
そうやって彼女は幾多の命を奪い、幾多の國を赤く染めた。それでも彼女に逆らう者はいないのです。
彼女に國民全員で襲い掛かった、勇敢な國があったが、今では虫の音ひとつ聴こえぬようになってしまった。
そして悪逆非道で有名となった少女は、いつしか“憎しみの女王”と呼ばれることとなる。
やがて彼女は自分の欲しいものがやっと見つかり、自分の居場所を見つけたのであった。
彼女はその國を即座に支配し、今もその國の城に留まっているのである。
ーーーそう。ロードマーマス城に。