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仮面の娘リーシャ

作者: 朝露しずく

この物語は、未知で、不思議で、闇色のレースが重なった物語です。

不思議や未知を認めない方は、読まないことをおすすめします。

この物語は、未知で不思議で、闇色のレースが重なった物語。

未知も不思議も信じない方は、読まないことをおすすめします。



「呪いを受けろ!」

激しい声と共に、まがまがしい旋律が呪術師の口から漏れる。

「永遠に、仮面をかぶっているがよい!」

そうして、呪術師は去ってしまった。


あれから13年。

皇女リーシャは、まだ仮面をかぶっている。



皇女リーシャは、あることから呪術師の深い「呪い」を受けた。

理由は、彼女が呪術師の求愛を断ったから。


そして今まで何年にも及び、さまざまな方法が試された。

溶液をたらす、熱を与える、波動で割る、力を込める…………。

それでも、仮面はリーシャの顔から去ることはなかった。


「はやく、この仮面をとることができないの!?」

何人もの呪術師におふれを出し、できなかったので首をはねた。

もう、

この仮面をつけた呪術師は

死んでいた。

きっと、この呪いを解く鍵を握るのは彼だけだったのに。

そんなある日………不思議な噂と共に、不思議な少女がやってきた。



「皇女リーシャ様、私がその仮面をとってみせます」

現れたのは、「人間」と呼ばれる愚かで弱い種族の少女。少女は、自らをアーニャと名乗った。

「本当?もしその言葉が嘘であれば、そなたの首は釜で煮られることになるわよ」

「では、もしこの言葉が真であれば?」

「そのときは、そなたの好きな望みを叶えてあげよう」

そうして、アーニャは皇女リーシャの仮面を調べ始めた。


仮面の硬質を調べ、仮面に薬をたらし色の変化を調べ、仮面に直に触れてみたりした。

「いいの?この仮面に触れると、呪われるといわれているのよ」

すると、彼女はいつもこう答えるのだった。

「もう皇女様はすでに触られておられます」

この世のものでないような、作り物の微笑を浮かべながら。


アーニャの片目は、質素な麻布で覆われていた。その片目には、何か秘密があると思っていた。

「そなたのその麻布を取って」

「いくら皇女様の願いでも、それだけはできませぬ」

何度、この台詞を繰り返しただろう。



しかし、アーニャの調べと共に、ある女性が静かに現れ始めた。

チェスト――。彼女は、自らをそう呼んでいた。

彼女は、アーニャが仮面をとるのを防ごうとしていた。



「皇女様、最近チェストと呼ばれる女性が私の邪魔をしていますが……」

「わ……わたくしはそんなもの知りませぬ」

「本当でございますか?」

「何を!わたくしを信用しないのでありますか!?」

「失礼しました」



急に、アーニャの姿がぼやけ始めた。いいや、アーニャだけでなく、この世のすべてが。

「どうしたの!?すべてがぼやけて、見えなくなっていくわ!」

すべてが、急にまがまがしく、いびつに感じ始めた。調子が狂っていった。

「そうでご……ザイマス…カ?」

見え、感じるものがすべて、モザイクのようにばらばらになっていく。

「私ハチェストヨ。アナタガコンナ事考エルカラ………」

すべてが真っ白になった。

「きゃ……ああああああああっ!」

最後に聞こえたのは、かつてアーニャだった声。


「だから、リーシャ様は呪われているではありませんか……………」



     リーシャ=チェスト

     アーニャ=リーシャ



アーニャもチェストも、そして呪術師も仮面も呪いも全て、皇女リーシャの架空の産物。




   故に、彼女は既に死んでいる。

読んで頂き、有難うございました。

この物語、どうでしたか?これは、貴方が今既に同じ状況になっているかもしれないし、明日にでもそうなるかもしれません。

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