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時空魔法で異世界と地球を行ったり来たり  作者: かつ
戦争解決編
98/438

90.属性強化魔石


 俺達は、イケブの街の魔石店にやって来た。


「こんにちは」

「これはセイジさん、いらっしゃいませ」


 この前助けた、魔石店の店長さん、お名前を『キセリ』というそうだ。


「キセリさん、その後、体調はどうですか?」

「おかげさまで、元気に働けております。今日は何かご入用で?」


「ここで【属性強化魔石】を扱っていると聞いて来ました」

「【属性強化魔石】ですか、風水土でしたら直ぐにでもご用意できますが」

「欲しいのは雷氷闇光なんですが……」

「氷と闇であれば、1ヶ月ほど待ってもらえれば、ご用意できます。雷と光は流石に……」


「1ヶ月って、そんなにかかるんですか?」

「氷や闇の【属性強化魔石】を作成する場合、その魔法を使える魔法使い様に、直接お願いする必要があります。連絡やらそこまでの行き来などの時間もありますので、どうしても時間がかかります」


 自分たちがその魔法を使えることを、バラすかどうか迷ったのだが―

 ひとつの提案をしてみることにした。


「もしここに、その魔法が使える魔法使いを連れてこれたら、作り方を教えてもらえませんか?」

「え?」

「もちろん、作った【属性強化魔石】は、他で売ったりしないと約束もします」

「え、ええ、あなた方は命の恩人ですし、別に構いません。しかし、そういった珍しい属性魔法が使える魔法使い様は、お忙しい方ばかりなので、そう簡単には……」


「これから話すことは、他言無用に願います」

「あ、はい」


「私は、闇と氷の魔法が使えるんです」

「え? えぇー!?」

「しー!」

「あ、す、すいません。本当ですか!?」


 俺は、【影コントロール】と、【氷生成】をやってみせた。


「す、すごい、闇と氷両方使える人が居たなんて!」


 雷も使えるとか言おうものなら、ぶっ倒れそうな勢いだ。


「それで、作り方を教えて頂けますか?」

「はい! もちろんですとも」


 キセリさんは、また例の【ヌルポ魔石】を奥から持ってきて、テーブルの上に置いた。


「【ヌルポ魔石】ですか」

「はい。これに2つの魔力を同時に加えることで、【属性強化魔石】が出来上がります」


「2つの魔力?」

「1つは、作りたい属性の属性魔力、もう1つは、【肉体強化魔法】の【魔力強化】の魔法です」


「【魔力強化】? そんな魔法があったんですね」

「ええ、【魔力強化】は私が出来ますので、セイジさんは属性魔力の方をお願いします。【氷の魔法】を先でもいいですか?」

「はい、分かりました」


 キセリさんと俺は、二人で挟むように【ヌルポ魔石】に手を置いた。


「では行きますよ。3、2、1、はい!」


 合図とともに、【氷の魔法】を【ヌルポ魔石】に加えていった。

 しばらくすると【ヌルポ魔石】が光り始め。


「はい、これで大丈夫です」


 手を離すと光が収まり、【ヌルポ魔石】は、水色の魔石に変化していた。

 【鑑定】すると、【氷強化魔石】になっていた。


「こうやって作るんですね~」

「は、はい、そ、そう、なんです」


 ふと見ると、キセリさんの顔色が悪くなっていた。


「キセリさん、どうしたんですか!?」

「この、作業は、かなりの、魔力を、使うの、ですが…… ハアハア…… セイジ、さんは、魔力が、多いんですね」

「そうなんですか!」


 自分を確認してみると、MPが100ほど減っていた。

 俺にしてみれば、大したことはないけど。他の人にとってMP100は結構な量なのだろう。


「【魔力強化】は、どうすれば使えるようになるんですか?」

「【肉体強化魔法】が、使える方でしたら、少し練習すれば、使えるように、なると思います」


「そうなんですか、練習してみます」


「え!? まさか、【肉体強化魔法】も使えるんですか?」

「あ…… ええ、そうです」


 しまった、思わず口が滑ってしまった。


「なんとも、羨ましい限りです……」

「くれぐれも、他言無用に願いますね」

「はい!」


 まあ、真面目そうな人だし、大丈夫だろう。


「それで、この【氷強化魔石】なのですが…… 買い取らせて頂けないでしょうか?」

「買い取るも何も、作り方まで教えてもらったのですから、キセリさんの物ですよ」

「そんな、普通【氷の魔法】を込めてもらう作業は、結構なお金でやってもらっていますので、そういうわけには行きませんよ」


「じゃあ代わりに、何か面白そうな魔石を下さい」

「分かりました。セイジさんには敵いませんね」


 キセリさんは奥から、変な形をした魔石を持ってきた。


「これなんか、どうでしょう」

「変な形の魔石ですね」


 その魔石は、『ひょうたん』のような形をしていた。


「これは【双子魔石】といいまして、最近出土した、それなりに珍しい魔石です」

「【双子魔石】って事は、それは2つで1つの魔石って事ですか?」

「はい」


 キセリさんは、くっついていた2つの【双子魔石】を、外して見せてくれた。


「このように、2つに分かれますが、近づけると、先ほどのように、くっつきます」

「くっつくだけですか?」

「いえいえ。では、2つに分けた片方を持って、そこで待っていて下さい」


 そう言って、俺に魔石の片方を持たせ、キセリさんはちょっと離れた位置に移動した。


「それでは、これから【双子魔石】に振動を与えます」


トントン


 キセリさんが、自分の持っている【双子魔石】を叩くと―

 俺の持っていた【双子魔石】もトントンと、震えた。


「あっ!? なんか震えました」

「そうです、この【双子魔石】は、片方に振動を与えると、どんなに離れていても、もう片方も同じように振動する魔石なんです」

「なるほど、面白い魔石なんですね」


「まあ、それだけなので、あまり役には立たないのですが。この魔石で2つのペンダントを作り、恋人同士で身につけ、愛を確かめるのが、最近流行しておりまして」

「それは素敵ですね」


「お役に立てるかどうか分かりませんが、いかがですか?」

「いい!! これいいですね!! これ、もっと欲しいんですけど、もっとあります?」

「すいません、今はこれ一組しかありません。魔石掘りの人たちが戦争に借り出されていて、戦争が終わるまでは難しいと思います」

「そうですか、戦争が終わったら、これを仕入れておいてもらえませんか?」

「はい、分かりました。仕入れておきます」


 俺はキセリさんと握手をして、店を後にした。



「兄ちゃん、【双子魔石】をそんなにいっぱい手に入れてどうするの? ハーレムを作って、一人ずつ【双子魔石】のペンダントを持たせるの?」

「まあ、見てろって」


 俺は、インベントリから、紙コップとセロテープを取り出し、紙コップの底に、セロテープで【双子魔石】を片方ずつ貼り付けた。


「エレナ、これを持ってみて」

「は、はい」


 俺は、少し離れ、紙コップに向かって話した。


『もしもし、エレナ、聞こえますか?』


 向こうのほうで、エレナがビックリしている。


『セイジ様、聞こえます! これって、どうなっているんですか?』

『声は空気の振動だから、【双子魔石】でその振動を、遠くまで届ける事が出来るんだよ』

『す、すごいです!!』


 さて、この思わぬ新製品を、何に使おうかな~


双子魔石のペンダントを渡す相手が欲しい。


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― 新着の感想 ―
[一言]  どうせこの世界で電波は傍受も妨害も出来ないので 日本からアマチア無線の高出力無線機を使って 通信したら?デュアル通信だとインカムも使えるよ? 車載無線+ビリビリ魔石の組み合わせで通信する!…
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