79.ゴブリン殲滅作戦続行
俺達は、ゴブリン殲滅作戦を続けた。
しばらくの間、3~5匹で同じことの繰り返しだったのだが……
「ごめん、ちょっと多い」
アヤが引いてきたゴブリンは10匹。ちょっと多いが、これくらいなら、なんとかなるかな?
「エレナ、アヤ、二人でなんとかしてみろ」
「はい」「了解」
エレナは【豪雨】を発動させ、アヤが逃げようとするゴブリンを押し返して行くのだが、【豪雨】から逃げ出してくるゴブリンの数が多すぎて、アヤ一人では抑えきれていない。
とうとう、アヤが捌き切れなかった1匹が、エレナに襲いかかってきた。
助けに入りたい気持ちを、グッとこらえて見守っていると。エレナは左手の【水のロッド】で豪雨を降らせながら、右手の【魔力のロッド】で襲ってきたゴブリンを殴り飛ばし、律儀に豪雨の降っている地点に飛ばした。エレナ、そんな事しなくても、殴った時点でゴブリンは息絶えてるぞ。
豪雨が止みはじめても、何匹かのゴブリンが息があったため、エレナはそのまま雪を降らせ始める。豪雨から雪の魔法コンボだ。
雪が止むとそこには、雪に埋もれ動かなくなったゴブリンが、山積みになっていた。
「やりました!」
「もう、10匹でも楽勝だな」
MPが減ってきたエレナに和菓子を食べさせながら、次のゴブリンを待っていると、地図上に30匹もの『警戒』マークが現れた。
俺は【瞬間移動】でアヤの側に移動しー
「アヤ、いくらなんでも多すぎだ」
「ごめん兄ちゃん、ゴブリン達警戒し始めたみたいで」
「そういうことか」
アヤと二人でゴブリンから逃げながら、作戦会議だ。
「アヤは、しばらくこいつらを連れて逃げとけ。俺が少しずつ奴らを『分断』して、エレナの所に連れて行くから」
「了解!」
俺は、【瞬間移動】で木の陰に隠れ、アヤを追いかけるゴブリン集団の最後尾7匹の集団の目の前に、バリアを展開させた。急に現れたバリアにぶつかり、7匹のゴブリンは先頭集団から分断される。そいつらに小石をそっと投げつけ、俺の存在に気づかせると、そいつらを連れてエレナのところへ舞い戻った。
俺が急に立ち止まり、向き直って構えると、ゴブリン7匹と睨み合いになった。俺のバックステップに合わせて、測った様に豪雨がゴブリン達を襲う。雨は雪へと素早く変わり、一匹ももらさず氷漬けになってしまった。
「次を連れてくる」
「はい」
俺は、エレナに和菓子を渡しながら、次のゴブリンを取りに行った。次の7匹も同じように倒すと、アヤは残りの16匹を連れてエレナのところへ戻ってきた。この数なら行けるだろう、との判断なのだろう。
アヤと16匹のゴブリンが対峙するなか、ゴブリン達に豪雨が襲い、豪雨は素早く雪に変わって、更に天気は雹へと変化した。ゴブリン達は体力を奪われた所で雹に襲われ、簡単に全滅してしまった。
エレナのステータスを確認してみると、レベルが上がり、水と氷の魔法もレベルが上がっていた。
「何とかなったな、数が多い時は今の感じで行くぞ」
「「はい」」
俺達3人の連携が上手く決まり、村のゴブリン達は半分くらいにまで数を減らしていた。
「ごめん、なんかデカいのが混じってる」
何度目かの時に、アヤを追いかける10匹のゴブリンの集団の中に、大きな剣を持ったデカいゴブリンが1匹混じっていた。あれがホブゴブリンか!
俺がホブゴブリンにスロウを掛け、アヤが攻撃を躱して戦っている間に、エレナは雹を降らせて、残りのゴブリンを瞬殺していた。エレナのレベルが上がったことで、雨からではなく、いきなり雹をふらす事が出来るようになっていた。
「よし、あとはホブゴブリンだけだ」
「はい」
エレナは水の球を作り上げて、ホブゴブリンに向け射出し、自分自身もそれに合わせて突撃した。
バシャッ
水の玉の威力は、ぜんぜんだった……
エレナは豪雨や雪ばかり使っていたせいで、単体攻撃に慣れていなかったのだ……
運悪く、水の玉の攻撃は、エレナの接近を教えてしまう結果となってしまい、ホブゴブリンはエレナの方を振り向き、持っていた大きめの剣を振り下ろした。
「バリア!」
とっさに、エレナにバリアを張ったが、ホブゴブリンの攻撃はバリアを突き破って、エレナに襲いかかった!
ガキンッ!
鈍い音がして、ホブゴブリンの剣は……
エレナの魔力のロッドで受け止められていた。
バリアで勢いが殺された事と、エレナのレベルが上がっていたことで、何とか防ぐことが出来たのだろう。
「てぇい!」
エレナは掛け声とともに、ホブゴブリンの剣を【魔力のロッド】で弾き飛ばし、ガラ空きのボディをさらに殴りつけた。
「グバッ!」
ホブゴブリンは、たまらずボディを抱えて蹲ったが、それを狙いすましたかのように、下がった頭にエレナの攻撃が直撃した。
ズドン
大きな音を立てて、前のめりに倒れるホブゴブリン。
エレナは、ハアハアと息を乱していたが、こちらを振り向いてニッコリ微笑んだ。
やっぱりバトルは難しいです。
ご感想お待ちしております。




