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時空魔法で異世界と地球を行ったり来たり  作者: かつ
時空魔法と情報魔法編
7/438

005.帰宅 ☆

 俺は【瞬間移動】を使って、とある場所に移動してきた。


「こんにちは、お姫様」

「ゆ、勇者様! ご無事だったのですね!」


 そう、俺は【追跡】したままにしておいたエレナ姫の部屋に来ていた。

 まあ、お別れの挨拶くらいはしといた方がいいかと思って。

 エレナ姫は部屋で一人泣いていたようで、目には涙の跡が残っていた。


「姫様が、危険を知らせようとしてくれていたお陰で、なんとか殺されずに済みました。

 一言お礼を言いたくて―

 無礼かとは思いましたが、部屋に勝手に寄らせてもらいました」


「とんでもありません、お父様のせいでこんなことに巻き込んでしまって。本当に申し訳ありませんでした。お怪我はなさっていませんか?」

「ええ、かすり傷一つありません」

「流石は勇者様、お強いんですね」


 お姫様にこんな事を言われるとテレてしまう。年齢は15、6歳くらいかな? 俺が30歳だから、ダブルスコアじゃないか! いや落ち着け俺、俺はロリコンじゃないはず。


「あの、勇者様、どうかなされました?」

「あ、いや、なんでもない。あ、そういえば、姫様に聞きたいことがあったんだ」


「あの~、できれば『エレナ』と、お呼びいただけないでしょうか?」

「じゃあ、エレナ姫」

「『エレナ』と呼び捨てで結構です」

「うん、わかったよ。じゃあ、エレナ、一つ質問していいかい?」

「はい、勇者様」

挿絵(By みてみん)

「うーむ、俺も『勇者様』じゃなくて『セイジ』って呼んでくれないか?」

「それでは、『セイジ様』」

「まあ、いいか……」


「それで質問なんだけど、エレナは【魔王】について、どう思ってる?」

「【魔王】ですか?」

「うん、王様の言うことは嘘っぽいし、できれば、エレナの感想を聞きたいんだ」


「そうですね~ 私もよく知らないのですが、少し前に、辺境の村が一つ【魔王軍】に滅ぼされたと聞きました」

「辺境の村? 乗っ取られたんじゃなくて、滅ぼされたの? その村はなにか重要な村だったの?」

「乗っ取られたのではなく、滅ぼされたのは間違いないと思います。そしてその村ですが、何の変哲もない、とても普通の村だったはずです」


「うーむ、【魔王軍】は、なんでそんな普通の村を、わざわざ滅ぼしたんだ?」

「そういえば、どうしてなんでしょう? そこまで考えたことありませんでした。すいません」


「エレナが謝る必要はないよ。本当にその村を【魔王軍】が滅ぼしたのか、怪しいかもしれないな、動機もなさそうだし」

「そうですね、改めて考えて見ると、ちょっと変ですね。これからは私もセイジ様の様に、何が正しいのかをちゃんと考えるようにしていきます」


 なんか決意に満ちた顔をしているけど、大丈夫かな? あの王様と、対立するような事になったりしないか心配だな。


 うーむ、これは【追跡】を使って、定期的にエレナを()()する必要がありそうだ。

 か、勘違いしないでよね。べ、別に覗きとか、そんなことのために【追跡】を使うわけじゃないんだからね! 心配だから、心配だからなんだからね。

 俺は、いったい誰に言い訳してるんだ? もうそろそろ帰るとするか。


「俺は、そろそろ退散します。こんなことになってしまった以上、俺はこの国のために行動する事は出来ないが…… エレナはお元気で」

「はい、セイジ様もお元気で」


 俺は、エレナにサヨナラの挨拶をして、自分の部屋を思い浮かべながら【瞬間移動】を実行した。


~~~~~~~~~~


 どうやら異世界から地球への【瞬間移動】は成功したらしく、俺は自分の部屋に戻ってきていた。

 部屋に戻ってきて安心したのか、急に腹が減ってきてしまい、カップ麺を食べることにした。


 俺は、リビングにおもむき、

 買い置きの『カップ麺』を取り出し、

 フタを開けて、電気ポットからお湯を注いだ。


 しかしなんと!

 途中でお湯が切れてしまった!

 これはピンチだ!


 このまま食べる訳にはいかないし、かと言ってお湯を沸かしなおして継ぎ足していれば、その間にカップ麺の下半分がお湯を吸って伸びてしまう。俺はこのピンチを乗り越えるために、頭脳をフル回転させた。


ピコン!


 俺の頭の上に、()()が点灯したような気がした。


「そうだ! このままインベントリに入れて、時間を止めれば!」


 俺は、途中までお湯が入ったカップ麺を、そのままインベントリに入れて、時間を止めるように操作した。

 そして、ヤカンで素早くお湯を沸かし、インベントリに入れておいたカップ麺を取り出し、改めてお湯を注ぎ直した。


「上手くいってくれ」


 俺は祈るような気持ちで3分待ってから、素早くフタを取り去って割り箸で麺をすすった。


「やった! 伸びてない!!」


 俺は人生で一番のピンチを乗り越え、伸びてないカップ麺を食べ続けた。

 これはたった一杯のカップ麺の勝利ではない、今後カップ麺を食べる時に、お湯が途中で無くなったらどうしようという、人類最大の恐怖を、完全に克服出来た瞬間なのだ! 俺は、感動に涙しながら、カップ麺を食べ尽くした。


 あれ? ついさっきまで俺は、もっと凄い危機に見舞われていたような気がするのだが? 気のせいかな?


 腹が満たされ、急に眠くなった俺は、ベッドに潜り込み、そのまま寝てしまった。

やっと異世界から帰ってこれました

異世界と日本で話の落差がひどいけど大丈夫なんだろうか?


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