56.とある日本の月曜日
異世界から帰ってきた翌日の月曜日、
会社に行くと、『同期』入社の5人全員が俺の席に勢揃いしていた。
「なんだ!? 勢揃いして」
「丸山にお願いがあるんだ」
忘れている人が居るかもしれないので一応言っておくと、
『丸山』は俺のことだ。
しかし、これはもしかして、合コンのお誘いか?
「お願い? なんだ改まって」
「なんか最近、バグを見つける能力に開花したと聞いて」
ドキッ!?
まずいな、魔法を使って仕事をしたことで、社内で目立ってしまったか?
しかし、仕事柄バグを見つけておいて、それを放置しておくわけにもいかないしな~
「それでだ、俺達のプロジェクトも、丸山に『レビュー』をして欲しいんだ」
「『レビュー』? まあいいけど、
あれ? 『俺達のプロジェクト』って、お前たち5人で同じプロジェクトをやってるのか?」
「違うよ」
ん? なんか嫌な予感がする。
「俺達、それぞれでやってるプロジェクトを、ひと通り『レビュー』してほしいと思って」
「えーと、それぞれって、5人それぞれで5つのプロジェクトを、俺一人でひと通りレビューしろって事?」
「たのむ! 今度おごるからさ~」
5人は、示し合わせたかのように、俺を拝み倒してきた。
「えーと、部署が違うから、そう簡単にはok出来ないよ?」
「お前のところの部長さんにはもうok貰ってるよ」
おいー! 部長のやつ、安請け合いしやがって!
「分かったよ、やるよ」
「そうか、ありがとう!」
「で、いつまでにやればいいんだ?」
「今日中……」
「は?」
とんでも無い事を言い出しやがった。
「えっとですね、説明させてください
明日で年度末だろ? 今日中にバグが見つかれば、明日中に直せるかもしれないだろ?
そしたら、今季の実績をだな~」
5人は、俺を更に拝み倒してきた。
「分かったよ、やるよ!
でも、さっと流す程度にしかやらないからな!」
「それで十分だよ、ありがとう」
俺の机の上には5つのプロジェクトの資料が山積みになっていた。
どうしてこうなった!
量が多すぎるので、5プロジェクト全体の中で致命度の高いバグから順番に見つけて、順次報告していった。
結局その日は、5人が取っ替え引っ替えバグについての質問をしに来て一服する暇もなかった。
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仕事をし終えて家に帰ると、エレナが出迎えてくれた。
「ただいま」
「お帰りなさいませ、セイジ様、
だいぶお疲れみたいですね」
「いやー、今日は色々面倒な仕事を振られちゃって、流石に疲れたよ」
「それじゃあ、私が癒して差し上げますね」
なんか、淫靡な響きのあるセリフだが、
変な事では無いですよ?
俺が疲れて帰ってくると、いつもエレナが【回復魔法】で疲れを癒してくれるのだ。
これが気持ちいいのなんのって!
それはまさに天にも昇る心地良さで、身も心も癒やされるのだ。
「セイジ様、気持ちいいですか?」
「ああ、エレナ気持ちいいよ~」
「兄ちゃん、エレナちゃん、何をしてるの!」
「ああ、アヤ、ただいま
何って、エレナに魔法で疲れを癒してもらってたんだが?」
「え、あ、そうだよね、あははは」
アヤ、お前、もしかして~
『癒やし』じゃなくて『いやらしい』事と勘違いでもしたのか?
「エレナちゃん、バカ兄ちゃんが終わったら私も癒やしの魔法を掛けて~」
「はい、少々お待ちくださいね」
「アヤは一日中遊んでたんだろうし、そんなに疲れてないだろ?」
「そんなこと無いもん!
今日は高校の友達が何人か東京に出てきてるから、みんなで集まってカラオケに行って5時間も歌ったんだから、もう疲れちゃって疲れちゃって」
「やっぱり遊んでたんじゃないか!」
その後、アヤの言い訳話を聞いていたと思ったら、いつの間にか遊びに行って楽しかった自慢話に変わっていた。
な、何を言っているのかわからねーと思うが(ry
「アヤが遊びに行っていたということは、
エレナは一人で留守番してたのか?」
「はい、午前中はDVDを見ていて
あ、でも、午後は商店街の本屋さんに買い物に行きました」
買い物だと!? そうか、エレナにはお小遣いを渡しておいたから、それを使ったのか
しかし、ちゃんと買い物出来たのかな?
初めてのお使いをさせる親の気持ちがわかった気がした。
「一人で出かけたのか?」
「はい、いけませんでしたか?」
まあ、【警戒】魔法が反応しなかったと言うことは大丈夫だったということなのだが、やっぱり気になってしまう
「兄ちゃん、心配しすぎだよ。エレナちゃんは15歳なんだから、一人で買い物くらい出来るよ」
「まあ、そうなんだけど……
エレナにとって日本は外国なんだから、色々わからないこともあるだろ?」
「心配してくださっていたのですね、
大丈夫です、皆さん親切でしたので」
『親切にしてくれた』か~、それはそれで別方向に心配ではあるんだけど……
まあ、【警戒】魔法もあるし、心配しすぎるのは良くないよな。
「所でエレナ、本屋で何を買ったんだ?」
「えーとですね~」
エレナは、テーブルの上に本を並べ始めた。
「まずは、日本語を覚えるのなら【絵本】がいいとお聞きしたので、『シンデレラ』と『しらゆきひめ』と『ももたろう』を買いました」
ベタだが、日本語学習にはいいかもしれないな
「後は、【しょうがっこういちねんせい】の『こくご』、『さんすう』、『りか』、『しゃかい』、『どうとく』の本を買いました」
エレナはテーブルに小学校1年生の国語、算数、理科、社会、道徳の本を並べてニコニコ顔だ。
保健体育がないだと!? これは俺が直接手取り足取り腰取り教えるしか……
アヤが何やら怖い顔をしているので、この件は保留にしておこう。
「エレナちゃん、『社会』と『道徳』も勉強するの?」
「はい、魔法とは関係ありませんけど、ドレアドス王国にとっても、お手本にするべき事が学べそうなので」
「エレナちゃんって、ちゃんと『お姫様』なんだね」
エレナは偉いな~
俺はエレナの頭をなでなでしてあげた
エレナは凄く偉いので、頭以外もなでなでしてあげよう。
さて、頭以外でなでなでし易いのはどこだろう
そんなことを考えていると、アヤが怖い顔で睨みつけてきたので、この件も保留にしておくことにした。
こういう話をどの程度入れるか迷い中です
ご感想お待ちしております。




