003.貴族連合騎士団長
自分自身のステータスのチェックが終わったのだが、王様は何人かの貴族っぽい人たちと、何やら話し合っていた。女の子はオロオロとしていた。
取り敢えず、女の子を【鑑定】してみるか。
┌─<ステータス>─
│名前:エレナ・ドレアドス
│職業:姫
│
│レベル:1
│HP:70
│MP:120
│
│力:7 耐久:6
│技:7 魔力:14
│
│スキル
│【水の魔法】(レベル:1)
│ ・水のコントロール
│
│【回復魔法】(レベル:1)
│ ・病気軽減
└─────────
名前はエレナちゃんで、やっぱりお姫様か~
スキルは【水の魔法】と【回復魔法】ね。なるほどなるほど~
俺は【追跡】の魔法も使ってみることにした
か、勘違いしないでよね! 変な事に使うつもりなんて全然ないんだから!
こっそりエレナちゃんに【追跡】を使うと、地図が表示され、地図上のエレナちゃんの場所に点滅する点が現れた。
追跡している場所を意識すると、頭のなかに映像と音声が流れ込んできた。
いきなりエレナちゃんのアップが流れこんできて、びっくりしたが、それと同時に、王様達がひそひそ話をしている声も聞こえてきた。
「奴隷化に失敗してしまうとは。このままでは、あいつは危険だ!」
「どう対処されますか?」
「ライルゲバルト、お前に仕事をやろう」
「はい王様、どのような仕事でしょうか?」
「わしがあやつの注意を惹きつけておくから、後ろから斬り殺せ」
「分かりました、おまかせを」
マジか! いきなり殺すとか、この国の奴らはどうなってるんだ!?
ライルゲバルトとか言う奴も【鑑定】しておこう
┌─<ステータス>─
│名前:ライルゲバルト
│職業:貴族連合騎士団長
│
│レベル:20
│HP:150
│MP:20
│
│力:17 耐久:14
│技:15 魔力:2
│
│スキル
│【剣術】(レベル:2)
│ ・斬り下ろし
│ ・二段斬り
└─────────
なんか強そう、普通に戦ったら絶対に殺されるな、俺には武器もないし。【時空魔法】を使って何とかするしか無いか。バリアは張ってあるけど、どのくらいの攻撃を防いでくれるのかな?
どの程度の攻撃を防いでくれるか分からない以上、あまり頼らないことにしておこう。
そんなことを考えていると、地図上のライルゲバルトの位置に赤い点が現れた。これは、敵として認識したって事かな?
しばらくして、王様達のひそひそ話が終わったようで、集まっていた人たちは元の位置に戻っていった。
ライルゲバルトは、人混みに紛れて俺の真後ろの方に移動していた。
「待たせたな、そなたには、魔王を討伐してもらわねばならん。そもそも魔王とは、悪逆非道の行いを~」
王様はわざとらしく仰々しい演説を始めた。
王様は、演説をしながらチラチラと、ライルゲバルトを見ているようだった。
と、その時!
「お、お父様! このような事は、おやm「エレナ!」」
エレナ姫が王様の演説を遮って、何かを言おうとしたのだが、王様の怒鳴り声に、静止されてしまった。
「エレナ、今は大事な話をしているのだ。終わるまで別室で控えておれ!」
「ですが、お父様!」
「ええい!姫を別室に連れて行け!」
エレナ姫は、複数の兵士に取り囲まれ、無理やり連れて行かれてしまった。
【追跡】映像を確認した所、姫は部屋の外を泣きながら連れて行かれていた。
エレナ姫は、俺に危険を教えようとしてくれていたのかな?
部屋の中が騒然とする中、王様は俺の後ろの方に向かって目配せをした。
俺は、いきなり後ろから【危険】を感じ取った。
とっさに【瞬間移動】で王様の横にワープすると、俺のいた場所に後ろから剣が振り下ろされ、剣が床を叩く金属音が鳴り響いた。
予想通りライルゲバルトだった。
俺は、更に万全を期すために、ライルゲバルトに【スロウ】の魔法を掛けた。
ライルゲバルトは、瞬間移動した俺に気が付き、追撃を仕掛けてきた。しかし、俺には【クイック】、ライルゲバルトには【スロウ】が掛かっているため、ライルゲバルトの攻撃は、スローモーションの様になっていた。
俺はライルゲバルトの行動をじっくり観察し、踏み込みの瞬間の左足が着地する直前に、足払いを仕掛けた。
体勢を崩したライルゲバルトは、倒れまいと床に左手を着こうとしていたが、俺は、その左手も蹴飛ばしてやった。
左手で支えることが出来ず、ライルゲバルトは、顔面から床に激突してしまった。
その隙に【瞬間移動】で、周りで唖然としていた一般兵士の所へ飛び、そいつの持っていた剣を奪った。
ライルゲバルトはしぶとく起き上がり、また俺に向かって突進してくる。そして、剣を振りかぶって俺に向かって振り下ろそうとした瞬間! 俺は、さっき奪った剣を、カウンター気味に切り上げた。
カランカラン
静まり返った部屋の中に、剣が転がり落ちる音が鳴り響いた。
その剣と一緒に、ライルゲバルトの手首も、転がっていた。
「ぐおぉー!!」
ライルゲバルトは、苦しみ転げまわっていた。
周りの人たちは、あまりの出来事に息を呑んでいた。