427.みんなの活躍
翌日の火曜日。
今日は暇だ。
昨日の最終チェックで問題がなかった。
今日の俺は、何か問題があった時のために会社で待機している。
暇なので、異世界側の様子でも見てみよう。
まずは、一番気になっているエレナと王の件。
見てみると、
ちょうど動きがあったみたいだ。
兵士が大慌てでやってきて、エレナの側にいたリルラに報告している。
『大変です!
ライルゲバルト様と、王様が、
数名の兵士を連れて、街を出ていきました』
『な、なんだと!』
あの2人、エレナやリルラが言うことを聞いてくれないからって、
出ていったのか!
おそらく、王都を目指しているのだろうけど……。
ライルゲバルトは、足が使えないはずなのに、兵士に運ばせてるのか?
『エレナ様、どうしますか?』
『リルラさん、とりあえずは各街に連絡を』
『はい!』
リルラは、エレナに言われた通り、連絡をしにいった。
まあ、あんな奴らの面倒をみるなんて御免こうむる。
ほっておこう。
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次にヒルダの様子を見てみよう。
『みなさん、いいですか?
これから、冒険者登録しにギルドへ行きます。
冒険者とトラブルにならないように、注意して行動してください』
『『はい!』』
ヒルダは、10人のヒルダ隊のみんなを連れて、ニッポの街の宿屋を出たところだった。
これから冒険者登録か。
ヒルダ隊はみんな10歳前後だし、それを率いているヒルダも12歳。
大丈夫なんだろうか?
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『何だお前ら、ガキばかりじゃないか。
ここはガキの来る場所じゃねえんだぞ!』
ギルドに入るなり、
さっそく強面の冒険者に絡まれてしまっていた。
『ここは私が対応しますから、
みんなは登録窓口へ並んでおいてください』
『『はい』』
ヒルダ隊の10人は、ヒルダの指示通り、窓口へ並ぶ。
『対応するだと?
ずいぶん生意気な口をきくじゃないか。
しつけ代わりに、いっちょ痛い目でも味わってみるか?』
この冒険者、ヒルダを舐めきっているみたいだ。
『ここは冒険者ギルドです。
暴力を振るいたいなら、他でお願いします』
『なんだと!』
ヒルダの発言に、一瞬で切れた冒険者は、
いきなり殴りかかってきた。
瞬間湯沸かし器かよ。
スッ。
クルッ。
ヒルダは、3倍近い体重差の相手に、
襲い来る拳を、踊るように避ける。
そして、足をかけてころばした。
ステーンッ。
『く、くそう。何だこれは!?』
気がつくと、荒くれ冒険者は、
ロープでぐるぐる巻きにされていた。
『う、動けない……』
『これに懲りたら、ギルド内では暴れないようにしてくださいね』
ヒルダは、そう言い残して、
ヒルダ隊の皆のところへ移動した。
『何だあの娘は!』
『すげー強かったぞ』
『俺、あの娘が何をしたのか、ぜんぜん見えなかった……』
それを見ていた、ギルド内の冒険者たちがざわついている。
くそう。ヒルダの時ばっかりずるいぞ!
なんで俺の時に、こういうイベントが起きないんだ。
そしてヒルダは、
ヒルダ隊のみんなから、尊敬の眼差しを向けられていた。
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次にアヤの様子を見てみた。
『アヤの姉御、ちょうどいい所へ』
イケブの街の冒険者ギルドに入るなり、
アヤが窓口の男から『あねご』呼ばわりされている。
どういう事だ?
『どうしたの?』
『西の森に暴走魔物が出ました。
今は、他の者が応戦中なのですけど、ケガ人が続出していて』
『分かった、すぐ行く!』
『ありがとうございます!』
どうやらアヤは、冒険者ギルドでかなり頼りにされているようだ。
アヤは、風のように駆け抜け、
暴走魔物と冒険者たちが交戦中の西の森へたどり着いた。
『あ! アヤの姉御が来た!』
『もうついたのか!』『はやい!』
『これで勝つる!』
アヤの到着をみた冒険者たちは、口々に喜びの声を上げている。
うーむ、自分の妹が他人から頼りにされている姿を見ると、
じゃっかん変な感じだな。
『後は私に任せて、みんなは下がって!』
『『はい! 姉御!』』
冒険者たちはアヤの指示通りに後ろに下がり、
アヤと暴走魔物が、一騎打ちの形となった。
相手は、大きなサイの魔物で、
角からは、雷のような光が漏れている。
見るからにヤバそうだけど、
アヤで大丈夫なのか?
サイは、何度も前足で地面を掘って勢いをつけ、
アヤに向かって突進してきた。
これ、マズイんじゃないか?
アヤが避けると、後ろの冒険者たちの所へ魔物が突っ込んでしまう。
アヤじゃ避けることはできても、魔物を受け止めることはできない。
とか思ったけど、
そうでもなかった。
アヤは、魔物の攻撃をギリギリで避けながら、
前足の付け根辺りをナイフで深く斬りつけ、
同時に【突風】の魔法で横から吹き飛ばす。
魔物は、バランスを崩してひっくり返り、その場で停止した。
魔物は、やっとのことで立ち上がり、
自分を傷つけたアヤを探す。
『どこを探しているの?』
その声は、魔物の後ろから聞こえてくる。
グサッ!
『ギャーーーーー!!』
魔物の悲痛な叫び声が森に響き渡り。
急所から血を流し、
魔物は痙攣しながら動かなくなった。
『アヤの姉御すげえ!』
『さすが姉御!』
冒険者たちは、大喜びでアヤに駆け寄ってくる。
『ケガ人は?』
『姉御、ケガ人はあちらです』
アヤは、ケガをした冒険者に【回復魔法】で治療を開始した。
どうやら、ちゃんと【回復魔法】の腕も上げているみたいだ。
俺も、もうちょっと冒険者としての活動を増やしていくかな~。
ご感想お待ちしております。




