表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
時空魔法で異世界と地球を行ったり来たり  作者: かつ
風と雷の魔法編
43/438

39.アヤ竜巻


アヤは男に向かってナイフを構えていた


男は手入れの行き届いていないサビだらけの剣を抜いてアヤを睨んだ

アヤは少しビビって一歩だけ後ろに下がった


男はそんな様子のアヤに対してニヤリとさげすむ表情を浮かべた


男は剣を振り上げ、脅かすように斬りこむフリ(・・)をする

これでアヤをビビらせるつもりだったのだろう


しかし、アヤはその様子を変な顔で見ていた


アヤは、ちらっと俺の顔を見た

【クイック】と【スロウ】が掛かっているのに気が付いたのだろう

俺は、アヤにうなずいてみせた


アヤは顔を引き締め、覚悟を決めて

男に向かって駆け出した


アヤの突進に驚いた男は、アヤに向かって剣を振り下ろした

しかし、アヤの飛び込むスピードが(まさ)り、剣が振り下ろされた場所にもうアヤはいなかった


アヤが男の脇をすり抜け後ろに回りこんだ所で振り返ると、男の着ていた革製の防具の左わき腹あたりが切られていた


「くそう!」

男は自分の防具が切られた事に気が付き、悔しがった


アヤの方に振り返って悔しそうに睨みつけ、舐められてたまるかと言った感じでドタドタと洗練されていない足取りで駆け寄ってアヤに攻撃を仕掛けた


しかし、アヤは攻撃をじっくり観察し、なんとかその攻撃をかわした

幾度と無く男はアヤを切りつけたが、アヤはその攻撃を避け続けていた

しばらくして男は呼吸が乱れてきて、たまらず一歩下がって呼吸を整え始めた


アヤは、そのスキを見逃さず、男に向かって突撃した

アヤの攻撃は、スピードが早いものの直線的だったため、男は先読みして剣を振り下ろした


アヤは、進行方向に振り下ろされる剣を避けるために、無理やり進路を変更したが、ムリをしたために体勢が崩れて転びそうになってしまった


アヤが転びそうになった時、それを支えるように不自然な風が吹き、アヤはその風を利用して弧を描くように大きく回りこんで男の後ろに付き、更に攻撃を加えた


男はあからさまに(イラ)つき、剣をむちゃくちゃに振るったが、アヤにはもう当たることはなくなっていた


その後は、アヤが素早い動きで男の後ろに回り込んで攻撃をしかけ、男が剣を振り下ろす頃にはもうアヤはそこにはいないという状況が繰り返された


男はとうとう膝を付いた

アヤは、男から少し離れた場所に立ち止まり、俺にニッコリ微笑んだ



「くそう!ちょこまかと動きやがって」

男は、苛立ち紛れに地面を殴りつけた


「どうする?まだ続けるか?」

「当たり前だ!俺がこんな小娘に負けてたまるか!」

「だってよ、アヤどうする?」


「兄ちゃん、魔法を解いて」

「分かった、でも気をつけろよ?」

「うん、解ってる」


俺は男にかかっていた【スロウ】とアヤにかかっていた【クイック】を解除した

アヤは、改めて真剣な顔をして構えた


男はゆっくり立ち上がり、アヤを睨みつけた


アヤは果敢(かかん)に男に向かっていったが、さっきまでとは違い、男の攻撃はアヤに何度も当たりそうになった

男は気を良くして何度も攻撃を仕掛けてくる

アヤはその度にギリギリの所で攻撃を避けていた


始めのうちはムリに避けようとして体勢を崩すこともあったが、徐々に回避に余裕が出来てきて男の攻撃は完全に空を切るようになった


アヤは男の周りをぐるぐる回るように移動し攻撃を仕掛けていたが、その風が徐々に渦を巻くようになってきた

男を中心にした弱い竜巻が出来上がり、その竜巻が徐々に狭まり男に近づくに連れ、反比例するように風の強さが増していって


「うわあ、なんだこれは!?」


男は現れた竜巻に恐れ(おのの)いたが


「うぎゃー!!」

竜巻は首を絞めるように細くなり男に襲いかかり、男は竜巻の巻き起こす風に切り裂かれた


竜巻が(ほど)けるように消えた後には、ズタズタになった男が横たわっていた


アヤはちょっと離れた位置でハアハアと呼吸を整えていたが、俺に向かってピースサインをしながらニッコリ微笑んだ


「アヤさんすごいです!」

エレナはアヤに駆け寄って抱きつきぴょんぴょん跳ねていた


「ほら、【飴】をなめな」

俺は、アヤに【飴】を渡して舐めさせた


「兄ちゃんありがと」


「しかし、あれは何をやったんだ?竜巻みたいだったけど」

「よく分かんない」

「わかんないって、お前!」

「なんかね、私が風になった感じがして、気がついたらあんな(ふう)になってた」


アヤは、『なんとなくの感覚』で生きてるんだろうな



男たちは目の前で起こったことを理解できずに、唖然とした顔で立ち尽くしていた



「それでは、約束通りに200ゴールド払ってもらおうか」


男たちは、その言葉を聞いて顔を青ざめた


まあ、俺達もちょっとズルしたけど

人を脅して金を巻き上げるような連中だし、まあいいよね?


結局、男たちは金を出すのを渋って逃げようとしたのだが、俺の電撃を受けて動けなくなり

全財産を差し出させた

ってか全員で30ゴールドしか持ってないじゃないか

足りない分は男たちの持っていた武器を奪って代わりとした


所持金は+30ゴールド

手に入れた武器は【錆びた剣】×2、【錆びたナイフ】×1だった

防具は臭そうだったので、貰うのは止めておいた



なんか大赤字じゃないかorz


ご感想お待ちしております

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
このランキングタグは表示できません。
ランキングタグに使用できない文字列が含まれるため、非表示にしています。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ