413.重み
裸で帰ってきてしまった俺は、
しばらくリルラのところで休んでいた。
あの超巨大タコなのだが……。
エレナとリルラには、話していない。
もしかして、
そのまま手を出さなければ、どこかへ行ってしまうんじゃないかな?
台風なら、東へ抜けて『台風一過』になるしね。
俺は、しばらく様子を見ることにした。
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小一時間ほど待ってみた。
……しかし、どうやらダメみたいだ。
奴は、フジャマ山の上にとどまっていて、
まったく動かないのだ。
ただ休んでいるだけなのか、
はたまた、あの場所で何かをしているのか?
あれ?
考えてみれば、誰にもフジャマ山についての情報を聞いたことがなかったな。
「リルラ。
フジャマ山には何があるんだ?」
「フジャマ山?
えっと、よくわからない。
あそこは、神聖な場所だから」
「エレナは何か知ってるか?」
「私も、知ってることはリルラさんと同じです」
神聖な場所ね~。
うーむ、フジャマ山……何かありそうだ。
まさか、不思議なキラキラ光る砂を吹き出して、
動物を女の子に変えたり……してないよね?
しかし、そうなってくると、
超巨大タコが、あそこに居座っている状態って、何かヤバイ気がする。
でも、どうする?
あんな奴と戦う必要があるのか?
試しに、足の1本でも切り落としてみるか?
さっきも先っちょをちょん切っちゃったし、
8本もあるんだし、
1本くらい平気だよね?
「エレナ、リルラ。
俺は、もう一度、外の様子を見てくる。
後は頼んだ」
「はい」「あ、ああ」
2人に見送られ、外に出る。
「よーし、一本いっとくか!」
気合を入れ直し、
激しい雨の中、思いっきり上にジャンプする。
空中で素早く『竜化』して、
そのまま雲の上へ。
雲の上に出ると、
太陽はすっかり顔を出していて、
超巨大な黒い雲の塊を照らし出していた。
マップで、足の位置を確認する。
奴の体は、マップ上に赤いエリアとして表示されているので、
それで位置を確認できる。
シンジュに一番近い足の根元に狙いを定めて、
翼に魔力を込め、移動を開始した。
すると、奴は俺を見つけ、
さっきと同じように、その超巨大な触手で、俺を叩き落とそうとしてきた。
しかも、今度は、いきなり5本の触手でお出迎えだ。
ケツを狙ってくる奴も、いるし、
アレに捕まったら、とんでもないことになりそうだ。
まわりの竜巻にも巻き込まれないように注意しながら、
触手を避けて目的地へ。
マップ上で、触手の根元の場所を確認する。
「ここだ!」
竜化を解く。
俺は、すっ裸のまま、下に見える雨雲の中へと落ちていった。
黒い雲を突き抜け、落下する。
からだに雲がまとわりつき、先がまったく見えない。
俺は、名刀マサムネをかまえ、
神経を研ぎ澄ませる。
雲の隙間から、真横に伸びる超巨大な竜巻が見えた!
「アレだ!」
俺は、【風の魔法】で落下方向を微調整し、
竜巻の根元に、頭から突っ込んだ。
頭上に掲げた刀が風を切り裂き、
そのままの勢いで竜巻の中を落下する。
しばらくして、触手本体が見えた!
「とりゃー!」
名刀マサムネに、全体重と魔力を乗せ、
超巨大な触手の根元に突き刺す。
マサムネは、ほぼ抵抗なしで触手にぶっ刺さった。
タンッ!
俺は、着地と同時に地面を蹴って、
まるで『とうふ』を切るかのように、
刺さったままの刀を横に滑らせていく。
触手の断面は、あまりにも大きい円なので、最初は真横に進んでいたが、
だんだんと角度が付いてきて、斜面になっていき、
最後は、ほぼ真下に落ちるように進む。
刀を刺したまま落下し、
触手の根元を、半円状に斬り抜く。
素早く『竜化』を使って、
フジャマ山に激突寸前で、翼に魔力を送り、再び上空へ。
「どうだ?」
確かな手応えはあった。
しかし、相手のサイズがでかすぎる。
マップで確認してみると、
触手は、まだ、胴体に繋がったままのようだ。
どうやら、斬りつけが浅かったようだ……。
「おっと!」
触手の1本を斬られた奴は、
怒り狂って7本の触手で、俺に猛攻撃を仕掛けてきた。
しかし、俺が斬りつけた触手は、
まったく動いていない。
斬り落とすまでにはいかなかったものの、
相当な深手を負わせたことは確かなようだ。
「それなら、もういっちょ行ってみるか!」
俺は、7本の触手の猛攻撃をなんとかかいくぐり、
再び、同じ触手の根元へ。
「とりゃー!」
さっきと同じように、空中で『竜化』を解き、
刀1本を手に持ち、すっぽんぽんで飛び降りる。
そして、さっきと同じ場所に刀を突き立てた。
そして、今度は、逆方向に刀を滑らせ、
同じように半円状に斬り抜いた。
「どうだ!」
再び竜化して、空中で様子を見てみると、
メリメリメリメリ!!!!
俺が斬った触手の根元から、ものすごい音が聞こえてきた。
「やったか!?」
触手を取り囲んでいた竜巻が、
解けるように消えた。
そして、力を失った触手が、その重みに耐えかねて、
根元から折れていく……。
その重みに……。
あれ?
重み!?
触手の根元は直径1㎞ほど、長さは10㎞もある。
体積を計算すると……。
間違ってると恥ずかしいので、計算はやめておこう。
とにかく、あの触手1本で『山』が1つと同じくらいの重量があるはず。
そんなものが自由落下してしまったら……。
やばぁい!!!!!
どうしよう……。
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