406.とろ~り半熟オムライス
アヤがパンツを買ってきた。
「アヤ……。
何で子供用のパンツじゃないんだ?」
「これしかなかったの!
いっとくけど、
コンビニを3件もまわって買ってきたんだからね!」
そうか……。
そういうことなら仕方ないか。
「ところで、
なぜ14個もプリンが入ってるんだ?」
「皆で食べようと思って」
あの子たち、お腹が減ってるみたいだし、
ご飯を食べた後に、みんなで食べるか。
しかし、俺の渡した金のお釣りでこれを買ってきやがって……。
まあ、いいけど。
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リルラに通話で聞いてみると、
向こうは小康状態に入っているらしく、
ご飯を食べてる暇くらいはありそうだ。
俺も腹が減ってきたし、
何か作るかな~。
たまごがたくさんあるな。
じゃあ、オムライスにでもするかな~。
ご飯は、もしもの時のために、炊いて保存してあるのがあるから、
じゅうぶん間に合うだろう。
フライパンを温めつつ、
その間のわずかな時間で、
自分に【クイック】をかけて、素早く玉ねぎをみじん切りにする。
空気を遮断する【バリア】を張っているので、涙は出ない。
玉ねぎを炒めつつ、鶏肉も一口サイズに切り分け、
それも同時に炒めていく。
さすがに13人分ともなると、いっぺんには無理なので、
4分割して、チキンライスを作っていく。
フライパンをふった時にものが落ちそうになるのを【風の魔法】で防ぎ、
火力不足を【火の魔法】で補う。
できたチキンライスを皿に盛り付け……。
あ、皿が足りない。
仕方がないので、紙皿で代用。
盛り付けたチキンライスは、
冷めないように、いったんインベントリに入れておく。
次は、『たまご』だ。
2つのコンロに、2つのフライパンを乗せて、同時に火をかける。
そのスキに、たまごを割って、かき混ぜておく。
フライパンが良い温度になったところで、
1つのフライパンにたまごを流し入れ、
もう1つのフライパンは熱を維持するためにインベントリへしまっておく。
後は、交互に13個のオムレツを作っていくだけだ。
できたオムレツは、
さっきのチキンライスの上に1つずつ置いて、またインベントリへ。
そんなこんなで、13個が完成するまでにかかった時間は、
たったの30分。
俺って天才かも?
あ、しまった!
スプーンが、足りない!
仕方がないので、
10ゴールド銀貨を取り出し、【電気分解】で純銀を作り出す。
それを、【金属コントロール】で、それっぽいスプーンに形を整える。
ちなみに、先っちょ部分は、若干フォークっぽい形にしてみた。
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料理ができあがり、リビングに行ってみると、
ちょうど全員にパンツを履かせ終わっていた。
やはり、サイズが合わなくて、いろいろと調節をしたらしい。
俺がこっちの担当をやっても良かったんだけどね~。
アヤが、なぜか俺を睨みつけてきたので、しらんぷりをしておいた。
リビングのソファーを片付け、
丈の低いテーブルを2つ繋げる。
子供たちを、テーブルに座らせ、
1人に1つずつ、さっき作ったチキンライスonオムレツを並べていく。
子供たちは、わけも分からず、
お腹をグーグーならせながら、自分の目の前の料理を見つめている。
俺は、おもむろにナイフを取り出し、
オムレツに切れ目を入れ、
とろ~りと、半熟のオムレツを、チキンライスに被せていく。
その後に続くように、エレナがケチャップをかけ、
ヒルダが、紙コップに入れたオレンジジュースを配っていく。
※スープは、入れる物がないので断念した。
「さあ、召し上がれ」
俺が、子供たちにそう声をかけたのだが……。
誰も、食べようとしない。
また、このパターンか……。
仕方がない、命令口調にするか。
「お前たち10人に命令する。
この料理を、
ゆっくりと、よく噛んで、味わって食べなさい。
わかったか?」
「「は、はい」」
こんな風に言わないと通じないらしい。
「それでは、始めろ!」
子供たちはスプーンを手に持ち、
俺の合図に従い、ゆっくりと、恐る恐る食べ始めた。
ひとくち。
全員が、ひとくち食べたところで、
目を見開き、ビックリして停止してしまった。
しばらくすると、ゆっくり咀嚼し始めた。
子供たちは、命令された通りゆっくり時間をかけて、
オムライスを食べ終えた。
そして、名残惜しそうに紙皿を見つめている。
うーむ、ちょっと足りなかったかな?
仕方がないので、俺の分のオムライスを10等分にして、
お皿に乗せてあげた。
俺は、カップ麺でも食べるかな。
ちなみに、エレナとヒルダとアヤは、先に食べ終えてしまっていた。
エレナとヒルダが申し訳なさそうな顔をする必要はないんだよ。
「プリンもあるよ~」
そこへ、何も考えていないアヤが、
プリンを持ってやってきた。
「ひとり、1つずつね~」
アヤは、みんなの前にプリンを置いていく。
自分の手柄のように配ってるけど、
それは俺の金で買ったプリンなんだからな!
しかも、生クリームやフルーツなんかも乗ってる高いやつだ。
アヤがドヤ顔でプリンの食べ方をレクチャーしている。
そして、やっと子供たちがプリンを食べ始めたと思ったら、
また、ひとくち目で全員固まってしまった。
やっとプリンを食べ終わると、
子供たちは、意識がどこかにイッてしまったような表情をしていた。
まあ、美味しかったなら良かったけど、
もうちょっと無邪気に喜んでくれたほうが、張り合いがあるんだけどね~。
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子供たちは、もうちょっとゆっくりしてもらっておいて、
ちょっとドレアドス王国の様子を見てくるかな。
各地の様子を見まわり、
避難所の【バリア】を張り直して戻ってくると、
子供たちは、全員寝てしまっていた。
「エレナ、これはどうしたんだ?」
「セイジ様が、お出かけしてすぐに、みんな寝てしまって、
手分けして、お布団に運んだんです」
リビングにお客様用の布団がひかれていて、そこに5人。
残りの5人は、俺の部屋に寝かされていた。
俺のベッドも占領されてる……。
「あの~、エレナさん?
俺はどこに寝ればいいのかな?」
「ごめんなさい。他に寝かせられる場所がなくて……」
仕方ない。
俺は、リルラのところにでも、
泊めてもらおうかな~。
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