390.初めての勧誘
魔力のロッドをかまえ、5匹のゴブリンと対峙するヒルダ。
ゴブリンは、いっせいに襲い掛かってきた。
その時!
「今、助けるぞー!!」
え?
ヒルダとゴブリンの間に、
鎧を着た若者が、いきなり突っ込んできた。
唖然とするヒルダ。
テレビでそれを見ていた俺たちも、唖然としていた。
ヒルダをかばうように戦う、若者。
ははーん、
ヒルダがゴブリンに襲われていると、勘違いしたんだな。
若者は、鎧と盾でゴブリンの攻撃を受けている。
しかし、攻撃を返す余裕はなく、徐々に押されてしまっている。
ヒルダは、いきなりのことでどうして良いか分からずにいるみたいだ。
「ヒネス! パンサ!
もう持たない。速く来てくれ!」
誰に呼びかけてるんだ?
「おうよ!」
「待たせた!」
呼びかけに答えて、2人の別の若者が飛び出してきた。
どうやら、仲間みたいだ。
その後、5匹のゴブリンは、3人の若者によってなんとか退治された。
「はあはあ。
お嬢さん、大丈夫だったかい?」
「え? あ、はい、大丈夫です」
もともと大丈夫だよ!
「こんなところに、君のような娘が1人でいたら危ないよ。
僕たちが送っていってあげよう」
「い、いえ、大丈夫です」
そう、大丈夫なんだよ!
「遠慮なんかしなくていい」
「いえ……」
ヒルダは遠慮なんかしてないよ!
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けっきょくヒルダは、若者3人に街まで送ってもらうことになってしまった。
「いやあ、実に運がいいよ。
僕たちとあそこで出くわさなかったら、今ごろ君は死んでいたよ」
「まったくアロンソのいう通りだ」
「んだんだ」
こいつら、ヒルダを助けたと思って、自分に酔っているな。
鎧の若者はアロンソというらしい。
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「アロンソ! またゴブリンだ!
今日はやけにゴブリンが多いな」
「やばい! かなりの数だ」
ヒルダと3人の若者は、またゴブリンに遭遇したみたいだ。
『かなりの数』なんていうから、身構えちゃったけど……。
たった10匹だった。脅かすなよ!
しかし3人の若者たちには、悲壮感が漂っていた。
「2人とも、よく聞け。
ここは俺が食い止める。お前たちはその娘を連れて逃げるんだ」
「アロンソ! なにバカなことを言っているんだ!
そんなことできると本気で思っているのか!」
「バカ野郎! それじゃあその娘を誰が守るんだ!」
「……く、くそう……」
「あとは任せた。あばよ!!」
若者は、1人でゴブリンの集団に突っ込んでいった。
本人たちは大真面目なんだろうけど……。
なんという茶番!
「く、くそう……。
どうしたら良いんだ……」
「俺は、アロンソを助けに行く。
ヒネスは、その娘を頼む」
「パンサー!」
この茶番、まだ続くの?
「あの……。
私が加勢しましょうか?」
「バカいえ!
君みたいな娘が、何ができるっていうんだ!」
ヒルダは、考え込んでいた。
いっちゃうか?
ヒルダズンで全員吹き飛ばしちゃうのか?
「【レーザーポインタ】!」
はぁ?
何だその魔法は!
ヒルダは【光の魔法】を使って、ゴブリンたちの目を攻撃した。
この前、空手大会で見たことを魔法にしたのか、
確かに、いい魔法だ。
きっと、若者たちを巻き込まない魔法を選んだのだろう。
『『ギョェー!!!』』
10匹のゴブリンたちは次々に目をやられ、大混乱におちいった。
「何だこれは! ゴブリンたちが混乱しているぞ」
「そんなこといってる暇はない!
チャンスだ! ヒネス、パンサやるぞ!!」
「「おう!」」
ヒルダの手助けのおかげで、
3人の若者は、からくも10匹のゴブリンに勝利した。
「君! さっきの魔法、すごいじゃないか!」
「そうだ、君。僕たちのパーティに入らないか?」
「お、それは良いね!」
おいおい、かってにヒルダを勧誘するんじゃないよ!
「ご、ごめんなさい。
私は、ソロで活動するつもりなので……」
「いやいや、ソロは危険だよ~!
ランクが上がってもずっとソロってわけにもいかないだろ?」
「ランクが上がったら一緒に冒険する人は、もう決まってます」
そうだそうだ!
「そうか……。
それなら仕方ないな」
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その後は、何事もなく街へ帰ってきてしまった。
まだゴブリン討伐の途中だったというのに!
ヒルダは、3人にお礼を言って別れた。
お礼なんか言う必要なかったのに!
「す、すごい!
ゴブリンの耳が18個、3個50ゴールドなので……、
報酬は300ゴールドと、ギルドポイント30ポイントです。
Dランクに昇格まであと70ポイントです」
ギルドのお姉さんに驚かれてしまった。
悪目立ちしないためにも、これくらいのペースでちょうど良かったのかもしれないな。
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そして夕方。
ヒルダは昨日と同じ宿屋に泊まろうとしていた。
「ヒルダ、ちょっと待った」
「あ、セイジお兄ちゃん。
今日の夜這いは、昨日より早いですね」
ヒルダの奴、夜這いの意味をまったく分かっていないらしい。
それに、早いとか言うな!
「また昨日と同じ宿に泊まるつもりか?」
「そうですけど」
「せっかくお金を稼いだんだから、
もうちょっといい宿に泊まったらどうだ?」
「もったいないですもん」
「冒険者は身体が資本なんだから、
そこは、ケチっちゃダメだよ」
「はーい」
その夜、ドレアドス王都で、
30歳DTが、12歳の少女を宿屋まで連れていくという、
前代未聞の凶悪な事案が発生した。
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