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時空魔法で異世界と地球を行ったり来たり  作者: かつ
ヒルダの冒険編
395/438

385.借金の重さ

今回から新章です。

だからというわけではありませんが、いつもよりちょっと長めです。

 村正をもらった事による手続きは、

 社長がほとんどやってくれた。


 日本刀の所持に、あんな面倒くさい手続きが必要だとは思わなかった。



「兄ちゃん、凄い刀もらったんでしょ?

 見せて見せて!」

 アヤがぴょんぴょん飛び跳ねながら、村正を見たがる。


 こいつにだけは触らせてはいけない!


「ダメだ!」

 俺は、素早くインベントリにしまった。


「兄ちゃんのケチ!

 減るもんじゃないし、ちょっとくらいいいじゃん!

 ね、先っちょだけでも~」

 先っちょだけ見てナニが楽しいんだ。


「先っちょもダメ!」

「もう、兄ちゃんたら、意固地なんだから。

 そんなんじゃ女の子にもてないよ!」

 先っちょを見せただけで女の子にもてるなら、いくらでも見せちゃうよ。



「ところで兄ちゃん、ソレどうするの?」

「どうするとは?」


「今後、その刀で戦うの?」

「使うわけないだろ!

 国宝だぞ!」


「じゃあ、しまっておくだけ?」


 うーむ、ソレももったいないな~。



「じゃあ、マサムネさんに見せびらかしにでも行くか」

「それいいね!

 マサムネさんがどんな顔をするか見ものだね!」


~~~~~~~~~~


 次の土曜日、俺、アヤ、エレナ、ヒルダのメンバーで、

 マサムネさんの所へ【瞬間移動】で出かけた。



「こんにちは~」

「おう、セイジ。また刀の鍛え直しか?」

 マサムネさんは、前回の鍛え直しの時、

 10日間ぶっ続けで仕事をして死にそうになってたけど、

 もう、そのことを忘れちゃったのかな?


「今日は、マサムネさんに見せたいものがあって持ってきたんですよ」

「なんだ?」

「これです」


 俺は、妖刀村正の箱を取り出し、蓋を開けた。


「うなっ!」

 マサムネさんは、変な声をあげて、固まってしまった。



「……な、な、何だこれは!?」

 しばらくして、ようやくフリーズが溶けたマサムネさんは、

 村正に触らないように、それでいて舐めるように見入っていた。


「とある筋から入手した刀です。

 マサムネさんだったら見たがると思って持ってきたんですよ」



 しかし、マサムネさんは、俺の話などぜんぜん聞いていなかった。


「400年、いや、500年はたっている!?

 しかも、これは魔法的技術をまったく使用せずに作られている!?

 そして、これ、はがねか!

 なのにも関わらず、こんなにキレイに、

 こんなにも長い期間、欠かさず手入れをし続けてきたということか!?」


 さすがマサムネさん、見ただけで分かるのか。


-----


 もうかれこれ1時間もたっている。


 その間ずっと、マサムネさんが村正を色んな角度から見ているだけだ。


 アヤは、そっこうで飽きてしまい、

 エレナとヒルダを連れて、外に遊びに行ってしまった。



「あの~、いつまで見てるつもりですか?」

「あ~、もうちょっとだけ」

 あのマサムネさんが、まるで新しいおもちゃを手に入れた子供みたいだ。



-----


 何もやることがなく、ただただマサムネさんの気が済むのを待っていると‥…。


トントントン。


 何かの振動が……。


 あれ、これなんだっけ?


 あ、そうか、リルラにもたせている双子魔石の振動だ。

 なにか、用事があるのかな?



「マサムネさん、俺は、ちょっと用事を済ませてきます」

「あ、ああ」

 マサムネさんは、空返事だ。

 まあ、少しの間だったら平気だろう。


 俺は、リルラの所へ【瞬間移動】した。


----------


「リルラ、おまたせ。

 何か用か?」

「セ、セイジ、来てくれたのか!」

 リルラは、頬を染めて、恥ずかしそうにもじもじしている。


 あれ?

 ちょうどトイレにでも行こうとしてた時にきちゃったのかな?

 ここは、早めに話を済ませよう。



「それで、何かようなのか?」

「あ、うん……。

 国王様が、セイジに会いたいとおっしゃっていて、

 呼び出しを頼まれたんだ」

「なるほど、じゃあこの後で行ってみるよ」



 俺が、トイレに行きたそうなリルラに気を利かせて、すぐに帰ろうとすると、

 なぜかリルラは、俺の服の裾を引っ張った。


「ま、待って」

「ん? どうしたんだ?」

「わ、私も行く」

「王様のところへ?」

「うん」


 お城のトイレにでも行きたいのかな?


----------


 俺はリルラを連れて、マサムネさんの所へ戻ってきた。


 マサムネさんは、まだ刀に見入っていて、

 俺が戻ってきたことにも気づいていない様子だ。


「あ、兄ちゃん戻ってきた。

 げ、リルラがいる!」

 相変わらずアヤとリルラは仲が悪いな。



「王様が、用事があるから来てくれってさ」

「お父様が?」

 あんなのでもエレナの父親なんだよね~。



「ということで、マサムネさん。

 もうそろそろ帰るから、刀はもうしまっちゃうよ~」

「ふぁ! ま、待ってくれ、もうちょっとだけ」

「それは前にも聞きました」


 俺はマサムネさんを無視して、村正をインベントリにしまった。


「あぁ……」

 マサムネさんは、おもちゃを取り上げられてがっくりしていた。

 さすがに、これを貸してあげるわけにもいかないしね。


-----


 みんなを連れて王様の所へ【瞬間移動】した。

 移動先は、お城の謁見の間だ。


 急に現れた俺たちに、王様は驚いている。


 そして、王様に対して、リルラだけが膝をついてかしこまった。



「エ、エレナ!

 よくぞ戻った!」


 王様は、急に現れた俺たちの中にエレナを見つけ、

 謁見の間の椅子から立ち上がって、駆け寄り抱きついた。



 エレナが困った顔をしていたので、

 俺は王様を、無理やり引き剥がしてやった。


「おのれセイジ! 何をする!」

「それは、こっちのセリフだ。

 借金を返すまでは、エレナは返さないと行っただろう!」


「ふははは。

 そんな口がきけるのも、今のうちだけだ」

 王様が、不敵に笑う。


「もしかして、借金返済のめどが立ったのか?」

「その通りだ!」

 俺をわざわざ呼び出したのは、そんなことのためか。


 王様は部下に命じて、たくさんの木箱を運び込ませた。



「200万ゴールド……」

 数えてみると、100ゴールド金貨が、2万枚あった。


「これで借金はナシだ。

 エレナを返してもらうぞ!」



「ん?

 ちょっと待った!!

 あと200万ゴールド足りないぞ」

「ナ、ナンノコトカナ~?」

 王様がすっとぼけている。


 バカなやつだ、それでごまかせるとでも思っているのかな?

 貸したのは200万だが、返却は倍の400万だったはずだ。


 俺は、当時の【追跡用ビーコン】の映像を探し出し、

 みんなが見えるように、大きく再生してやった。



『今日中に、200万ゴールドを支払えと言われた』

『200万!? それを今日中に!!?

 出兵してきている貴族たちが持ってきているゴールドを集めて……。

 いや、それでも200万なんてとても……。

 もし、集められなかったらどうなるのですか?』


 ……。


『えーと、200万ゴールドなら持ってるぞ』

『は!? 持ってる? どういう事だ?』


 ……。


『後で2倍にして返してくれ。期限は30日で』

『わ、わかった……』


 ※『121.金貨の重さ』参照のこと。



 当時の映像を流し終わると、王様は気まずそうに視線を外した。


「思い出したか?

 確かに『2倍にして返す』と約束しているだろ?

 しかも、当初の期限は30日だ。

 30日なんて、とっくにすぎてるんだぞ?

 本当だったら超過分の利子を取るところなんだぞ?

 今現在、返済期限を90日ほど超過している。

 もしこれをトイチ(・・・)で計算すると……、

 借金は1000万ゴールド近い金額にふくらんでいるはずだ。

 1000万ゴールドを400万ゴールドにまけてやっているんだから、

 俺って優しすぎるよな」


 王様は、それを聞いてorzのポーズのままプルプル震えてしまっている。

 ちょっと、かわいそうになってきてしまった。



 まあだが、もらえるものはもらっておこう。

 せっかく王様が用意してくれた200万ゴールドを、

 俺は、そそくさとインベントリにしまった。



 王様は、震える足でなんとか立ち上がり、

 悲しそうな表情を浮かべながらエレナに近寄る。


「エレナ……ワシが不甲斐ないばっかりに……。

 いま、どのような生活をしているのだ?

 あの悪魔のようなセイジに、イジメられてはいないのか?」


 俺が悪魔だと!?

 それに、俺がエレナをいじめるわけないだろ!


「お父様、安心してください。

 私はとっても幸せに暮らしております。

 セイジ様もとても優しいですよ」

 ほら見ろ!


「それに、アヤさんとヒルダも一緒ですし」


「アヤというのは、あのセイジの妹だったか。

 そして、ヒルダというのは?」



「お父様に、まだヒルダのことを紹介していませんでしたね」


 エレナは、ヒルダを呼び寄せた。


「ヒルダは、私の妹になってもらったんです」


「王様。

 は、初めてお目にかかります。

 ヒ、ヒルダです」

 ヒルダは、緊張気味に自己紹介をした。



「エレナの……、

 い、妹……だと……」

 ん?

 王様の様子が……。



「ワシは、そんなこと許した覚えはないぞ!」


 なんか、王様が怒り出しちゃった。


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― 新着の感想 ―
[一言] 鬼包丁は鋼を守る刀身は血で黒く変色しており ムラマサで切られると痛みで ショック死するという話だよ? 水の流れでムラマサにぶつかった木の 葉が切れて刀身に張り付いたとか? 曰くのある刀だよ?…
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