382.スライドショー
「それで、気がつくと1億円が消えていたということですか?」
「そうだ! さっさと探し出せ!」
刑事は、黒山社長の理不尽な者の言いようを我慢しつつ、
警官たちに指示をだし、社長室を調べさせていた。
あの後、黒山社長は自ら警察を呼び、
消えた1億円を彼らに探させているのだ。
こんな夜中にこんな気持ち悪い男の相手をしなくちゃいけないとは、
警察も大変な仕事だな~。
「ところで黒山社長。
その1億円は、どのようなお金なのですか?」
「ぐっ……そ、そんなことは、関係ないだろ!」
黒山社長と話をしていたこの刑事は、
この黒山社長の態度に、何かを感じ取っているみたいだった。
そろそろ、アレを実行するかな。
俺は【夜陰】で姿を消したまま、
【電気情報魔法】を使って黒山社長のPCを起動させた。
フォーン。
「あれ?
あれは、社長さんのパソコンですか?
なぜ勝手に動いたのでしょう?」
刑事さんが、不思議そうにPCに近づく。
「ちょっ、そのPCに近づくな!」
黒山社長は、急に挙動不審になった。
社長の静止を無視して刑事さんがPCをのぞき込む。
俺は、そのタイミングを見計らって、さっき見つけたとんでもないものをスライドショウ形式でモニタに表示させてやった。
モニタ上に表示される、
おびただしい量の写真。
うえぇ。
こんな写真、悪趣味にも程がある。
超オラクルちゃんが嫌がって帰ってしまうのも当然だ。
「こ、これは!!!!?
社長さん!
この写真はいったい!?」
「っ!?」
その声を聞いて、部屋を捜査していた警察官たちが集まってくる。
そして、それをみた全員が、
そのあまりにひどい写真に驚きまくっていた。
警察官たちが驚くのも無理はない。
その写真は……。
おそらく、この会社に所属する未成年のタレントたちなのだろう。
そのタレントたちに対して、乱暴をはたらいている写真なのだ。
中には、黒山社長が行っている最中の自撮り写真もあった。
「あああぁあああぁぁぁ!!!!」
黒山社長は奇声をあげながら、大慌てでPCの電源を切ろうとしているが、
なぜか電源を切ることが出来ない。
まあ俺が、電源が切れないように魔法で操作してるからなんだけどね。
「社長さん……。
これは、見過ごすわけにはいきませんよ!」
刑事と警察官たちが、黒山社長につめよる。
「こ、これは……ちがうのだ。
そ、そう! これは合成写真で……」
黒山社長は、しどろもどろになりながら、苦しい言い訳をしていた。
と、そこへ。
女性社員が急に現れ、
開いている社長室のドアの外から空気を読まずに声をかけてきた。
「社長、テレビ局と新聞社から、取材の申込みが来ていますが、どうしますか?」
警察官たちの視線が、その女性社員に向いた……。
その一瞬のスキに、
黒山社長はダッシュでその女性に襲いかかり、
なぜか持っていたナイフを、女性の首に当てた。
「う、動くな!」
うわ、このバカ、
この期に及んで、人質まで取りやがった。
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「しゃ、社長……。
こ、これは、いったい……」
「うるせえ! 黙れ!」
「ひぃ!」
「バカな真似はよせ!」
「うるさい! 近づくと、この女を殺すぞ!」
警察官は、社長を刺激しないように少し下がった。
「社長、やめてください」
捕まっている女性は、社長に懇願する。
「これは……ドッキリだ」
「へ?」
「これは、ドッキリ企画の撮影だから、お前も協力しろ」
うわ、口からでまかせ言ってやがる。
「あ、はい。なるほど、分かりました」
人質女性も信じちゃったよ!
「人質の安全が第一だ。
犯人を刺激しないように!」
刑事が警察官たちに指示を出す。
「タスケテ~、コロサレル~」
人質の女性……演技が下手すぎ。
社長は人質と一緒に、ゆっくりと部屋を出ていく。
刑事と警察官も、ある程度の距離を保ちつつ、ついていく。
「さっさと歩け!」
「だって社長、私、こんな撮影したことないですよ」
「うるさい、黙って歩け!」
「あ、はい……」
どうやら本当に、ドッキリ企画だと信じきっているみたいだ。
社長たちは、非常階段を使って降りていく。
そして、とうとう一階に到着した。
「みなさん、危ないですから下がってください」
何やら、向こうのロビーの方が騒がしい。
社長たちがロビーへ出ると、
そこには……。
テレビ局の取材班や新聞記者たちが大挙して押し寄せていた。
「何だこれは……」
社長は、女性の首にナイフを当てながら、
驚き戸惑っていた。
「社長、さっき言ったじゃないですか、
テレビ局と新聞社が来てるって」
「そ、そんなこと、聞いてないぞ!」
「やだな~、さっきちゃんと言いましたよ。
ドッキリ企画のために社長が呼んだんですよね?」
「知らん!
俺は、呼んでないぞ!!」
まあ、俺が呼んだんだけどね。
さっきのPCには、テレビ局や新聞社の連絡先が保存されてたし!
『重大発表があるから、すぐに来てくれ』と、
社長のふりをして一斉メールを出しておいたのさ。
ロビー中央に、社長と人質の女性。
それを警察官が取り囲み。
その後ろから、テレビや新聞や雑誌のカメラが、
バシバシと写真を撮り、テレビカメラが状況を撮影していた。
「大変なことが起きました!
黒山プロダクションの社長が、女性を人質に取っています。
現在、この模様を生中継しております!!」
女性レポーターが興奮気味に叫んでいる。
それ以外の各社も、
このスキャンダラスな状況を一時たりとも取り逃がさないように、
押し合いへし合いしながら撮影をし、
携帯電話であちこちに電話をかけ大騒ぎだ。
「君は完全に包囲されている。
おとなしく武器を捨てて投降しなさい!」
警察がメガホンで、犯人に向かって話しかける。
「くそう!
どうしてこうなった!!
こうなったら、こいつを殺してやる!!!!」
あ、ヤバイ!
社長は、やけになってナイフを高々と振り上げた。
「え、社長?
きゃああぁあ!!」
そして人質に向けて、振り下ろした。
シュン。
静まり返るロビー。
ころん。
カランカラン。
社長の右腕と、ナイフが……。
ロビーの床に、転がった。
いやあ、女性を助けるため、
とっさに社長の腕を、名刀マサムネで斬り落としちゃったよ。
てへぺろ。
まあ、でも、警察官たちが拳銃を社長に向かって構えていて、
次の瞬間にも発砲しそうな状態だったから、
俺がやらなかったら、社長は蜂の巣になってたかもしれないけどね。
腕を斬られた社長は、
まだ、自分が何をされたかも理解していないようだ。
「に、忍者……」
静まり返った中、女性レポーターがつぶやいた。
あ、ヤバイ。
【夜陰】が解けて、姿が見えちゃってる。
俺は平静を装いつつ、
名刀マサムネを一振りしてから鞘に収めた。
そして、いかにも忍術を使いそうな印を組み、
【夜陰】をかけ直して、再び姿をけした。
報道陣や警察官たちは、
まるで夢でも見ているかのように、口をアングリ開けて固まっている。
「うぎゃーーーー!!!」
その直後、黒山社長は、自分の腕が斬られた事に気が付き、
汚え悲鳴を上げた。
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良いお年を(*´ω`*)ノシ




