379.水着姿で撮影会
めぐみちゃんの様子を【追跡用ビーコン】で確認する。
しかし、『危険』を知らせる警報がなっていない。
直ちに危険という状況ではないのだろう。
ここで闇雲に動くのは、かえって危険だ。
社長から、詳しい情報を聞いておく必要がありそうだ。
「それで社長、どうしてめぐみちゃんが、こんな時間にいなくなったんですか?」
『実は、めぐみが父親とケンカをしてな……』
「何のケンカなんですか?」
『めぐみが、黒山プロダクションに所属したいといいだしてな……』
「黒山プロダクション?」
『良くない噂の多い芸能プロダクションだそうだ。
どうやらめぐみが、オーディションの後でそこの社長の名刺をもらったらしく、
噂を知らないめぐみが、有名な会社だというだけで、そこに行きたがったそうなんだ。
しかし、それを知っていた父親が猛反対して、
めぐみは、父親が意地悪で反対していると勘違いして喧嘩になってしまったんだ』
なるほど、それでめぐみちゃんが、あそこにいるわけか……。
あの、俺がさっきまでいた、
ボス……黒山社長の所に……。
さっきやつの部下が、『例のやつから連絡が入った』とか言っていたけど、
アレは、めぐみちゃんの事だったのかもしれないな。
今は、社長室で二人、落ち着いた様子でアイドル活動についての話をしている。
しかし、めぐみちゃんの方から敵の黒山社長の所へ行ってしまうとは……。
『丸山くん、めぐみの行きそうなところに心当たりはないか?』
おっと、まだ社長と電話中だった。
「分かりました、俺も心当たりを探してみます」
『すまん……。迷惑をかけてばかりで……』
社長は、だいぶうろたえている様子だ。
まったく、めぐみちゃんには、すこしお灸をすえてやらないといけないな。
電話を終えた俺は、どうすべきか考えてしまった。
姿を消して【瞬間移動】で乗り込み、黒山社長をヤッちまうか?
いや、それだと今一緒にいるめぐみちゃんが、完全に犯人になってしまう。
めぐみちゃんが犯人にならないように、二人ともヤッちまうか?
いやいや、黒山社長をヤッちまうのは別にいいけど、
めぐみちゃんをヤッちまうのはダメだよな。
仕方ない、
姿を表したまま、堂々と乗り込むしかないか。
俺は、スーツを着込み。
黒山社長とめぐみちゃんの所へ【瞬間移動】した。
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コンコン。
「誰だ、いま来客中だ。後にしろ」
俺は、それを無視して、社長室のドアを開けて、堂々と中に入った。
「いやあ、すみません。うちのめぐみが、こんな時間にお邪魔しちゃって」
「何だ、きさま!」
「これはこれは、申し遅れました。
わたくし、八千代めぐみのマネージャーです」
俺は、ヘコヘコしながら答えた。
「マネージャーだと! そうか、報告にあったやつだな。
いろいろ邪魔をしてくれたそうだな」
「はて? 何のことでしょう??」
「丸山、何でここに!?」
めぐみちゃんも、いきなりの俺の登場に驚いている。
「あなたのお祖父様が、たいへん心配されてましたよ。
さあ、帰りましょう」
俺は、すたすたとめぐみちゃんに近寄り、
そして、手を取った。
「待ちたまえ!」
黒山社長は、急に怖い顔になって俺たちの行く手をさえぎった。
「申し訳ありませんが、
もう時間もおそいので、話は後日でよろしくお願いします」
「そんなわけにいくか!
今すぐ、ここで仕事をしてもらわなければならない」
こいつ、何を言ってるんだ?
「また今度にしてください」
「そうはいくか!
契約書に、指示された仕事はなんでも必ずやると書いてある」
「え? 契約書?」
「その通りだ、もうこの娘にサインをもらっている」
ま、まさか!
「だ、だって、今日のうちに契約しないと、ダメだからって……」
めぐみちゃんが、心配そうな声でいった。
「そのとーり!
では、今すぐ、この水着に着替えろ。
そして、ここで水着写真の撮影会だ!!」
黒山社長は、そういって、紐状の何かをだし、めぐみちゃんに渡した。
「こんな、きわどい水着なんて、着れません」
その紐状のものは、水着なのかよ!
「契約書を交わしたのだぞ、お前に拒否権はない。
もし、どうしても拒否するというなら、違約金1億円を支払え!」
「い、1億円!?」
「ここに書いてあるだろう!」
めぐみちゃんの持っていた契約書の写しをよく見てみると、
もの凄く小さく、そう書いてあった。
「こんな小さな字、読めるわけないでしょ!」
「読めるかどうかは、関係ない。
書いてあるのだから、契約のうちだ!
さっさと水着に着替えろ!」
俺は、めぐみちゃんの迂闊さに、
少し、あきれていた。
「わ、わかったわよ、着替えればいいんでしょ!
更衣室はどこなの?」
こんな紐を着るつもりか!
「更衣室?
お前のような下っ端アイドルに、更衣室など用意するわけないだろ!
ここで着替えろ」
「そ、そんな!
そんなことできるわけないでしょ!」
なんという、無茶苦茶な話だ。
まあ、そもそもはめぐみちゃんの迂闊さが招いた事。
ここは、しばらく様子を見よう。
「アイドルは、みんなこんな下積みを経験して、のし上がっていくものなのだよ
つべこべ言わずに、さっさと着替エロ!」
なに、もっともらしいことを言っているんだ。
ただのエロ野郎じゃないか。
うーむ、こんなやつと一緒と思われたくないな。
ここらで、止めとくか。
「黒山社長……、さすがにこんな犯罪行為、
見過ごすわけないですよ!」
「おっと、マネージャーは関係ない、
これは、私とこの娘の間で交わされた契約なのだからな!」
何が契約だ。
「こんな違法な契約は、どう考えても無効でしょ!
従う義務はないはずだ」
「はぁ? 契約を無視するつもりか?
そんなことして、本当に良いのかな?」
「ん?
どういうことですか?」
「契約を破るということは、
その娘は、芸能事務所と契約でもめるということだ」
「まあ、そうですね」
「つまり、その娘は、芸能事務所と契約でもめるような、
面倒くさいタレントということを宣伝してしまうことになる。
そんな娘は、どこの事務所も敬遠するだろう。
そして、どこの現場も、そんなやつに仕事を回してはくれまい。
せっかく勝ち取ったトランプ娘も、おじゃんだろうさ!」
無茶苦茶な理論だが、
芸能界って、みんなこんな感じなのか?
「そ、そんな……」
めぐみちゃんは、それを聞いて、絶望的な表情をしていた。
「めぐみちゃん……。
こうなってしまっては仕方ない、
ここはアイドル活動は、諦めるしか……。
まさか、こんな無茶苦茶な指示を聞くわけにはいかないだろ?」
残念だが、ある程度の犠牲は仕方ない。
そうしないと、こいつらの悪事を暴くこともできないしな。
「アイドル活動を諦めるなんて……。
い、いやよ……」
めぐみちゃん、この期に及んで、まだこんなことを言うのか?
「分かりました……。
き、き、着替えます……」
めぐみちゃんは、目をぎゅっとつむって、
プルプル震える手で、ブラウスのボタンを、外し始めた。
「ちょ、待てよ!
めぐみちゃん。君は、なぜそこまでする!」
「だ、だって……。
ヒルダだって手伝ってくれて、やっと掴んだチャンスなのよ!
今日、会場で見てくれた人たちだって、
私のことを応援してくれたのよ
こんなことで、裏切るわけにはいかない……」
いやいや、だからといって、
こんな状況を見過ごすわけないだろ!
「ほら、早くしないか。
その未成熟なかわいらしい体を、早く見せろ」
黒山社長のギトギトしたいやらしい目が、
めぐみちゃんの胸元を舐め回すように見ている。
めぐみちゃんは、恐怖と絶望の入り混じった表情で、
ブラウスの2つ目のボタンを外した。
「はいはい、そこまで!」
俺はスーツの上着を脱ぎ、めぐみちゃんにかぶせた。
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