371.公開オーディション
ヒルダと火精霊は、無事にめぐみちゃんを助け出した。
そして、めぐみちゃんとヒルダは、即座に行動を起こし、
俺のところへ、他のスタッフさんを連れてきてくれたのだ。
「この部屋に、この子たちの保護者が閉じ込められていると聞いたのですが、
本当なのですか?」
「し、しらん……」
二人が連れてきたスタッフさんが、ニセ警備員を問い詰める。
「では、中を調べさせてもらいます」
「だ、ダメだ」
「なぜですか?
あなた、ここの警備員じゃないですよね?
なぜ、こんな勝手なことをしてるんですか?」
「こ、これは……。
あ、そうだ!
お、俺は……用事があったんだ、急いで行かないと!
それじゃあ、これで!」
ニセ警備員は、スタッフさんに指摘され、
もう無理だと諦めたのか、スタコラサッサと逃げ出しやがった。
逃げるニセ警備員。
しかし、スタッフさんも、めぐみちゃんも、ヒルダも、追いかけようとはしない。
そこへ、小さな赤い光が一つ、そいつを追いかけて飛んでいった……。
「ぎゃーー!!
俺の髪の毛がーーー!!!!」
遠くで、何かが燃える音と共に悲鳴が聞こえた。
そして、火精霊が戻ってきて、
満足げな顔で親指を立ててウインクしていた。
逃げたニセ警備員には【追跡用ビーコン】も取り付けてあるし、
これくらいで見逃してやることにしよう。
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控え室に戻ってしばらくして、
やっとオーディションが開始される時間になった。
周囲の出場者も、みんなピリピリが最高潮になっていた。
「頑張れよ」
「めぐみちゃん、頑張ってください!」
俺とヒルダで、めぐみちゃんを応援する。
「任せなさい!」
めぐみちゃんは、元気よく答えて、
控え室を後にした。
「さて、俺たちは【追跡用ビーコン】で様子を見てよう」
「はい!」
俺とヒルダだけに見えるように【追跡用ビーコン】の映像を映し出す。
「わわ!
人がたくさんいます!」
驚いたことに、オーディション会場には、
満員のお客さんが、声援を送っている。
そして、舞台には、出場する20人が一列に並んでいる。
この中から合格するのは、たった2人だけか……。
『これより、トランプ娘・公開オーディションを開催します!』
司会者が、高々と宣言し、観客が歓声を上げた。
なるほど、公開オーディションなのか。
司会者の説明によると、
1万人の観客と、3人の特別審査員で投票し、上位2名が合格となる。
持ち点は、観客が1点、特別審査員が1000点なんだそうだ。
めぐみちゃんの様子を見てみると、
若干緊張しているようだが、
この状況を楽しんでいるようにも見える。
「この分なら、大丈夫そうだな」
「はい!
めぐみちゃんは、きっと合格します!」
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『それでは、第一回戦の種目を発表いたします!
それは……早押しクイズだーーー!』
『『わーーー』』
早押しクイズだと!?
なんか、公開オーディションが、バラエティ番組のノリになってきた。
まあアイドルなんだから、将来的にはそういった仕事もあるだろうし、
必要なことなのかもしれない。
『種目は早押しクイズですが……。
正解しても合否には一切影響いたしません。
どのように回答するかは、ご自身で考えてください』
なるほど、
自分のキャラクターに合わせて行動し、
持ち味を活かして場を盛り上げろ、ということか。
難しい注文だな。
めぐみちゃんは、
最初は、なかなか早押しできずにいた……。
しかし、だんだんとムキになってきてしまい、
途中から、だいぶ地が出てきてしまっていた。
『きー!
何で○○なのよー!!
問題を作った人バカなんじゃないの!』
めぐみちゃんは、地が出すぎて暴言を吐いたりしている。
ちょっとムキになりすぎだ……。
これ、大丈夫なのか?
『それでは、早押しクイズの結果発表を行います。
早押しクイズの優勝は……。
八千代めぐみさんです!!!』
『やったーーーー!!』
ムキになっためぐみちゃんは、
とうとう早押しクイズで優勝してしまった。
「やりました!
めぐみちゃんが優勝です!」
ヒルダは喜んでいるが……。
これ、オーディションの合否には影響しないんだよな……。
『続いて次の審査は、水着審査になります。
出場者は、素早く着替えてきてください』
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出場者たちが、ぞろぞろと控え室に戻ってきた。
「めぐみちゃん、優勝おめでとうございます!」
「ありがとう、ヒルダ。
さあ、早く水着に着替えないと。
ヒルダも手伝って」
「はい!」
めぐみちゃんとヒルダは、更衣室に入っていった。
まあ、荷物は俺が見張ってたし、
重要なものはインベントリに入れてあったから、
水着に細工されるなどということは、おこりようがない。
下手をすると、
嫌がらせで水着に穴を開けられちゃったりしかねないからな。
ん?
水着に穴??
もし嫌がらせ目的なら、水着のどこに、どんな穴を開けるだろうか?
ちょっと犯人の気持ちになって考えてみよう。
俺は、めぐみちゃんに対する嫌がらせ対策を、一生懸命考えていた。
こういうことは、可能性をすべて潰していくことが重要となる。
断じて変な想像をしているのではないですよ?
これは、護衛の一環であり、どうしても必要なことなのだ。
ああ、仕方ないな~。
俺は、どんなふうに穴を開けられると、着た時にどんなことになってしまうかを、
頭のなかで入念にシミュレーションした。
……ふう。
俺が、念入りなシミュレーションを終え、十分満足したところに、
水着に着替えためぐみちゃんが登場した。
「どう? 丸山。
この水着、いいでしょ~」
こ、これは……。
だいぶ布面積の少ない、ビキニタイプの水着だ!!
イカン!!!
俺のリビドーが、とある一点に集中し始めた!!
「あ、ああ……。
いいとおもうよ……」
俺は、目をそらしながら、そう答える。
「丸山!
ちゃんとこっちを見て答えなさいよ!」
イカン!!!!!!
俺は、じゃっかん前かがみになりながら、
一所懸命に素数を数えて、
そのピンチをギリギリ乗り切った。
「丸山なんかに、かまってる暇はなかったんだった。
水着審査行ってくる」
「めぐみちゃん、頑張って!」
「頑張れよ~」
めぐみちゃんは、ヒルダと俺に見送られ、
会場の方へ行ってしまった。
俺は、そんなめぐみちゃんの、おしr……じゃなくて、背中を見送るのであった。
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