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時空魔法で異世界と地球を行ったり来たり  作者: かつ
空手大会編
374/438

364.ドラゴン騒動

 24時間かけて、リオから日本に戻ってきた。


 は~、疲れた。

 早く家に帰って、エレナに肩を揉んでもらいたい。


 そんなことを考えながら、手続きを済ませて到着ロビーへ出ると……、

 なんか報道関係の人が、大勢で誰かを出待ちしていた。


 誰か、有名人が帰国するのかな?



「来たぞ!」


 あれ?

 報道陣は、俺たち目がけて突進してくる。


 後ろに、有名人がいるのかな?

 振り返ってみても、誰もいない。

 あれぇ~?



「河合舞衣さんと、丸山アヤさんですよね?」

「はい」「あ、はい」

 標的は俺たちだったのか!


「世界空手大会優勝おめでとうございます。

 今のお気持ちは?」

「長年稽古してきた結果が実って、嬉しい限りです」


 お、いきなりの事なのに、舞衣さんがまともに受け答えしている。

 あらかじめ、何を言うか考えていたのかな?



「え? これテレビ?

 テレビに映るの?

 いえーい、お母さん、見てる~?」

 それに引き換え、アヤは……。


 なんか頭痛がしてきた。



「ところで、ご一緒されている男性は、

 アヤさんの彼氏ですか?」

「ち、違うし!

 兄ちゃんだよ!」


 アヤ。

 もっと大学生らしい振る舞いをしてくれ……。


 そして、テレビカメラに向かってダブルピースするのを止めなさい。



「それで……、

 大会にドラゴンが出たという話を聞いたのですが……、

 本当なんですか?」

 なるほど、本命・・はこっちか。


「ホントだよ~」

「「おぉ!」」

 バカ、アヤ。

 もうちょっと情報をぼかせよ。


「アヤ選手。

 そのドラゴンは、どれくらいの大きさだったんですか?」

「そうだな~。

 象くらいだったかな~」

「「おおぉぉ!!!」」


 アヤのやつ、報道陣にのせられて、

 上手く聞き出されちゃってるな。


「その時、アヤ選手は何をされてたんですか?」

「私? 私は~、

 赤ちゃんを抱えたお母さんが、逃げ遅れてて、

 逃げるのを手伝ったりしてたかな」


「舞衣選手は?」

「私も避難誘導してました」

 舞衣さんは、受け答えがしっかりしてて、

 安心してみてられるな。

 舞衣さんが妹ならよかったな~。



「お兄さんもドラゴンみたんだよね?

 どんな感じでした?」

 俺の所に来た!

 どうしよう。


「えーっと、

 ドラゴンというかですね~、

 大きいトカゲというか~」


「あ、今のところカットね」

 え?

 レポーターの後ろにいた偉そうな感じの人が、

 隣の人に指示をしていた。


 どうやら、『トカゲ』という単語はNGらしい。



 そんなこんなで、

 1時間以上も

 空手大会のことより、ドラゴンのことばかり聞かれまくった。


----------


「つ、疲れた~」

 やっと家に帰ってきた。

 飛行機に乗っていた24時間より、

 報道陣に囲まれていた1時間のほうが、何倍も疲れた。


「セイジ様、おかえりなさい」

「セイジお兄ちゃん、おかえりなさい」

 エレナとヒルダが出迎えてくれた。

 なんか、これだけで疲れが癒やされるな。


-----


 俺は、早くリラックスしたくて、

 部屋で、いつものジャージに着替えていた。



トントントン。


 あれ?

 何かが振動している。

 スマホかな? いや違う。

 電動で振動するおもちゃ(・・・・)かな? いや、そんなの持ってないし!

 もしかしてアヤのかな?


 あ、ジャージのポケットの中に何か入っている。


 取り出してみると、それは魔石だった。


 あれ? これって、何の魔石だったっけ?

 こんな時は【鑑定】だ。


┌─<鑑定>────

│【双子魔石】

│二つで一組となる、ひょうたん形の魔石。

│どんなに離れていても、

│片方に振動を与えると、

│もう片方も同じように振動する。

│レア度:★★

└─────────


 ああ、リルラに片方を渡してある魔石だ。

 『連絡したい時は、叩いて知らせろ』って言ってあったんだっけ。


 ということは、リルラが連絡したいことがあるってことか、

 ちょっと様子を見てみよう。



 様子を見てみると……。

 リルラは、鼻水を垂らしながら、魔石を一所懸命に叩いている。


 よほどのことなのだろう。

 ものすごく必死に、泣きながら叩き続けている。


 急いで行ってやらないと。


-----


 俺は、ジャージ姿のまま、

 【瞬間移動】で、リルラのところへ飛んだ。



「リルラ、何があったんだ?」

 いきなり部屋に現れた俺の問いかけに、

 リルラは鼻水を垂らしながら振り返る。


「セ、セ、セイジ~~~!」


 リルラは俺をみるなり、いきなり駆け寄り、抱きついてくる。

 ちょっ、お前、鼻水が……。


 まあ、ジャージだしいいか……。



「それで、どうしたんだ?」

 取り乱しているリルラをなだめつつ、話をきく。


 落ち着いてきたリルラは、やっと話し始めた。

「実は、少し前に、遠くの北の空にドラゴンが現れ、暴れまくっていたのだ」

「え?」

 も、もしかして……それって、俺のことか?



「物凄い爆音が鳴り響き、遠くの森で火柱が上がるのが、何度も目撃された」

 ど、どうしよう……目撃されていたのか……。


「そ、それで……、何か被害が出たのか?」


「おばあさんが一人、音に驚いて転んで腰を打った」

「それだけ?」

「ああ」

 よかった、被害はそれだけか。


「あんな大きなドラゴンが暴れていたのだ。

 きっとここにもやってきて、

 私は食べられちゃうに違いないのだ。

 うわ~ん」

 リルラは、また鼻水を垂れ流し、泣き出してしまった。

 どうしよう……面倒くさいことになってしまった。



 え~っと、そのドラゴンが俺だったなんて、

 とてもいえな……きっと信じてもらえないに違いない。


 他の人の言葉で、納得してもらう必要がある。

 こういう場合に役立つ人物を、俺は知っている。


「たしか、トキの街の領主が『占い』の魔法をつかえるんだよな?

 ドラゴンがどうなるか、占ってもらったらいいんじゃないか?」

「そ、そうだな! それがいい!」



 その後、占いによってドラゴンが安全だという結果が出たのだが。


 結果が出るまでの間ずっと、リルラは俺に抱きついたままだった。

 おかげで俺のジャージが、鼻水まみれになってしまった。


-----


 やっと帰ってきた俺に、さらなる追い打ちが襲いかかる。



「あ、兄ちゃん!

 ジャージに何かネバネバした液体がついてる!

 変態!!」


ご感想お待ちしております。

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