360.秘密の見せあいっこ
発売が近いので、
ちょっと無理して投稿してみたりして……。
俺とエレナとイリーナの3人は、
いきなり現れた、黒い服を着た人たちに囲まれていた。
その中の一人、黒いスーツを着た女性が一歩前に出て、
ロシア語で話しかけてきた。
『こんにちは』
えらく普通に話しかけてくるな~。
レーダーが反応しなかったということは、敵意はないということか?
『あんたたち誰だ?』
『私たちは、アメリカ国務省の者です』
ここはブラジルで、俺は日本人で、イリーナ選手はロシア人だ。
なぜアメリカ?
『アメリカ国務省が、俺に何のようですか?』
『用があるのは、そちらのイリーナさんです。
あなたには関係のない話なので、ご退席ねがえませんか?』
【鑑定】でこの人たちが『アメリカ国務省職員』であることは分かってるんだけど、
退席しろと言われて、おめおめと引き下がるのは、しゃくにさわる。
『あんたらが、悪人ではないという証拠はない。
ハイそうですかと、か弱い?女の子を一人にするわけにはいかない』
俺に反論されると、
黒い服の人たちは、ゴソゴソと短く内緒話をしたかとおもったら、
すぐ、こちらに向き直って、話を続けた。
『わかりました。
あなたたちは、すでにある程度の事情をご存知のようなので、
このまま、話を進めさせていただきます』
『俺たちが事情を知っている』ということを知っている、ということは……。
さっきの会話を盗み聞きされていたということか?
他人を覗き見したり、盗み聞きしたりするなんて、なんて悪い奴らなんだ!
あれ?
『では、単刀直入に言わせていただきます。
イリーナさん、オリガさん、マーシャさんの3人に対してご提案します。
アメリカへ、亡命しませんか?』
『へ? 亡命??
私たちが?』
亡命!?
ずいぶん突拍子もない話だな!
『あなたたち3人が、非人道的な人体実験の被験者となっているという情報を、
私たちは把握しています。
人道的見地から、私たちは、そのようなことを見過ごすことは出来ません。
あなたたちが、アメリカへの亡命を望むのであれば、
私たちは、あなたたちを保護する用意があります。
どうでしょうか?』
『えーっと、いきなりそんなことを言われても……』
イリーナは、困惑していた。
ちょっと、お節介をやいてみるかな。
『部外者が、でしゃばって悪いけど、
一言いいかな?』
『なんでしょう?』
『あんたたち、
ロシアで行われた人体実験の研究成果を、横取りするのが目的じゃないのか?』
『ぐ……』
どうやら、図星だったらしい。
『た、確かに、その意図もあります。
ですが、アメリカは、あくまでも人権を尊重します。
ご本人の意志に反した事は一切致しません』
もっと強引な奴らなのかと思ったら、
ずいぶん、丁寧な対応だな。
まあ、後は本人の意志しだいだな。
『イリーナ、この人たち、こう言ってるけど、どうする?』
イリーナは、悩みまくっていた。
無理もない、まだ14歳だしな。
『私一人じゃ決められない。
オリガとマーシャが起きたら、相談して決めたい』
うむ、まっとうな判断だな。
『では、そちらの2人が意識が戻るまで、
私たちが用意した病院に行きませんか?』
『わかった。そうする』
イリーナがそうすると決めた以上、
俺には反論の余地はない。
とりあえず、3人には【追跡用ビーコン】を取り付けておこう。
そして3人は、
黒服たちの車に乗せられ、行ってしまった。
「兄ちゃん、向こうで何があったの?」
「国家機密に関することだから言っちゃダメだってさ」
「何それ!?」
俺たちは、避難していたきみよちゃんと合流して、
ホテルへ戻った。
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「さて、お兄さん。
説明してくれるんですよね?」
俺は、百合恵さんと部屋で二人きりの状態で、
詰め寄られていた。
何から説明したらいいかな?
「とりあえず、百合恵さんは『魔法の国のお姫様』ではありませんよ」
「いや、それは……。
だって、私だけ魔法が使えて、その上ドラゴンが現れたら、
誰だって、そういう流れだと思うでしょ?」
俺は、そうは思わんが……。
まあ、とりあえず調子を合わせて、うなづいておくか。
「あ、でも、
魔法を使えるのは百合恵さんだけじゃありませんよ」
「え!?」
「エレナ、ヒルダ、俺、アヤ、舞衣さん。
全員、あなたより多くの魔法を使えますよ」
「えぇーーー!?」
「ちなみにエレナが、魔法の国のお姫様です」
「まじでーー!?」
「ヒルダも、魔法の国出身の魔法少女ですよ」
「ヒルダちゃんまで!?」
「舞衣さんは、魔法の国の魔王の孫ですよ」
「部長がーーーー!!????」
「俺は、その魔法の国に召喚された勇者です!」
「ゆ、ゆ、勇者!?」
なんか、いちいち驚いてくれるのが楽しくなってきた。
「じゃあ、じゃあ、アヤちゃんは?」
「アヤは……、
魔法が使えるだけの、普通の一般人だ」
「えぇ!?
魔法が使えるのに一般人!?」
百合恵さんは、興奮しすぎてハアハアしている。
そして、顔が近いですよ。
「あー、兄ちゃんが百合恵さんとハアハアしてる~」
アヤが部屋に乱入してきたため、
俺は質問攻めから解放された。
一般人のくせに、たまには役に立つな。
その後、みんなで集まって、
魔法の見せあいっこをして過ごした。
ご感想お待ちしております。




