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時空魔法で異世界と地球を行ったり来たり  作者: かつ
空手大会編
369/438

359.ドラゴンの正体

 ドラゴンの首を、一刀両断にした。



「えぇ~~~!?

 ドラゴンの頭がぁぁ~!」

「まあ、百合恵さん。落ち着いて」


「そんなこと言ったって!

 ここは、魔法少女の私の力で、ドラゴンを辛くも退治するところでしょ!

 何で刀でやっつけちゃうんですか!

 そもそも、その刀はどこから出てきたんですか!」

 百合恵さん、だいぶ混乱してるみたいだな。



 どう説明しようか迷っていると……。



 ヒルダが、声を上げた。

「ドラゴンが縮んでます!」

「なに!?」



 見てみると、首を斬られ息絶えたドラゴンの死体が、

 どんどん縮んでいく。


 そして、ドラゴンは、

 一匹のネズミの死体に変化していた。



 やはり、ドラゴンの正体はこいつだったのか。


 しかし、どうしてネズミがドラゴンになっていたのだろう?


「お兄さん、このネズミの胸のあたりに、

 まだ魔力の流れが残っているみたいだ」

 舞衣さんが指摘する。


 そう言えば、胸のあたりにコアがあるんだったな。


「それじゃあ、私が解体します」

 ヒルダが解体用のナイフを取り出し、

 ネズミの死体を器用に解体していく。

 さすが【解体】スキル持ちだ。


「こんなのがありました」

 ヒルダは、何やら石を見つけ、俺に手渡した。



 鑑定してみると……。


┌─<鑑定>────

│【竜化の魔石】

│魔力を込めると、ドラゴンに変身できる。

│レベル50未満の者が使用すると、

│正気を失い、もとに戻れなくなる。

│レア度:★★★★★★

└─────────


 ヤバイ!!

 ヤバすぎる!!!


 『ドラゴン』に、『変身』できるだと!!!!!



 なぜこんなものが、ネズミの体にあったんだ?

 あの白いコートの男がネズミに埋め込んだのか?

 あいつの言動からみて、こんなヤバイ物だと知らずに埋め込んだんだろう。


 使ってみたい!!


 しかし、アヤに知られたらマズイ!

 あいつが知ったら、絶対使いたがるに違いない。


 上手く誤魔化さないと。



「あ~、ヒルダくん。

 他には、何もないのかね?」

「え? あ、はい」


 どうやら上手く誤魔化せたみたいだ。

 この魔石は、後でこっそり試してみよう。



「エレナ。

 オリガ選手は、どこに運んだんだ?」

「この建物の外に運び出しました」


「きみよさんは?」

「きみよさんも、外に避難しています」


「よし。じゃあ、俺たちも外に避難しよう。

 っと、その前に、

 ドラゴンは、どこかに逃げてしまったということにしよう。

 みんな、いいね?」

「「はーい」」


 百合恵さんだけは、まだ、何か言いたそうだったが、

 説明は後でということにしてもらって、

 俺たちは、外へと避難した。


----------


 その後は、いろいろ大変だった。


 軍隊が出てきて、会場内に突入していったが、

 けっきょくドラゴンは見つからなかった。


 俺たちは、いろいろ事情聴取を受けたが、

 事前に口裏を合わせておいたので、

 ドラゴンはどこかに逃げてしまったという事になった。



 だからといって、会場の安全が確認できてはいないので、

 空手大会の表彰式は、外で簡易的に行われた。



 舞衣さんとアヤは、金メダルを授与され喜んでいた。

「兄ちゃん、見て見て!

 金メダルもらっちゃった!」


 勝てたのは、レベル上げでステータスが上がってたおかげなんだけど、

 魔法は使ってないし、純粋に肉体の強さで勝ったのだから、

 ギリギリセーフだよね? それとも、アウト?



 まあ、アヤはともかく、

 舞衣さんは就職がかかった試合だったんだし、仕方ないよね。


-----


 俺は、ちょっと気になっていることがあった。

 マトリョーシカ三姉妹のことだ。


 3人の内、二人が負傷で動けず、

 マネージャーをしていた白いコートの男がドラゴンに食われてしまっていて、

 ひとり負傷していないイリーナ選手が、困り果てているのだ。


 俺は、イリーナ選手にロシア語で話しかけた。


『こんにちは、大丈夫かい?』

『よかった、あなたロシア語が分かるのね』


『二人の様子はどうだ?』

『まだ起きない』

『そうか』



 俺は、エレナだけを連れて来ていた。

『この娘が、キズが早く治るおまじない(・・・・・)をしてあげたいといっているのだが、

 どうする?』

『変なことをしないなら、別にいいよ』


「エレナ、おまじない(・・・・・)してもいいってさ」

「はい」


 エレナは、【アスクレピオスの杖】を掲げて、

 それっぽい動きをしながら、二人に【回復魔法】をかけてあげた。


『これで、きっと早く治るよ』

『そう、ありがと』



 イリーナ選手は、暗い顔のままだった。

 まあ、おまじないとか言われても、信じるわけないよね。


『ところで、あなた。

 私たちのマネージャーをみなかった?

 白いコートを着た人なんだけど』

『その人ね……。

 ドラゴンに食われた』


『……。

 私、英語がよくわからなくて、状況があまり理解できていないんだけど。

 ドラゴン……って何?』

『ドラゴンはドラゴンだよ、ファンタジーで出てくるような奴』


『そんなの、いるわけないでしょ』

『まあ、みんなそう思うところだけど、

 そのドラゴンは、あんたたちのマネージャーが連れてきたんだぜ?』


『え? あぁ……、なるほど』

『何か思い当たることでもあるのかい?』

 イリーナ選手は、言うかどうか迷っていたが。



『あの人は、遺伝子工学の研究者だった。

 ドラゴンは、その研究の実験だったのかも』

『なるほど、

 あんたや後ろの二人は、試合の時、変な状態にあったみたいだけど、

 それも、その実験のせい、というわけか?』


『たぶん……そう』

 イリーナ選手は、悲しそうな表情でうなづいた。



『これから、どうするつもりだ?』

『どうするとは?』


『ロシアに帰るなら、ロシア領事館に送ってってやるぞ』

 まあ、この子たちも被害者だし、

 これくらいはしてあげたほうがいいよね?


『うーん……、二人が起きたら相談してみる』




 と、そこへ!



 いきなり、黒い服を着た人たちが現れ、

 すっかり囲まれてしまっていた!!


 いつの間に!?


ご感想お待ちしております。

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