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時空魔法で異世界と地球を行ったり来たり  作者: かつ
空手大会編
368/438

358.リオでドラゴン戦

 ドラゴンは、ソレを美味しそうに丸のみしてしまった。


 一瞬のことで、さすがに対応できなかった。



 それをみた会場全体が、大パニックを引き起こす。

 逃げ惑い出口に殺到する人たち。

 腰が抜けて立つことができず、這うように逃げようとする人。


 そんな中で、観客席のお母さんの抱いていた赤ちゃんが、泣き始めた。

 お母さんの方は、呆然と立ち尽くしたままだ。



 ドラゴンは、その赤ちゃんの方を見ると、舌をペロッと出した。

 もしかして、あの子を狙っているのか?



 ドラゴンは、勢いをつけてジャンプした。

 そして、その勢いのまま口を大きく開けて、赤ちゃんとその母親に襲いかかる。


 マズイ!



 俺は、ドラゴンの行く手に【瞬間移動】で移動し、

 大きく開かれたドラゴンの上顎と下顎を、両手でそれぞれ捕まえた。


「ぐぎゃ!?」

 ドラゴンは、急に口が閉まらなくなり、混乱していた。



「今のうちに逃げろ!」

「ひぃ!!」

 母親に話しかけてみたが、恐怖のあまりまったく動けない。


「アヤ~!」

「なあに、兄ちゃん」

 アヤを呼ぶと、すぐに駆けつけてきた。


「俺の後ろにいる赤ちゃんとお母さんを、安全な場所へ連れて行ってくれ!」

「了解!」

 アヤは、赤ちゃんを抱いたお母さんごと抱きかかえて、

 安全なところへ移動させてくれた。



 会場の方を見ると、気を失っているオリガ選手を、エレナとヒルダが担架に乗せて運び出しているところだった。

 二人ともグッジョブ!



 下に移動したほうが良さそうだ。


「お前は、下にもどれ」

 俺は、ドラゴンをグイグイ押して、

 観客席から、会場の方へ突き落とした。


 ドラゴンを突き落とす時、観客席の手すりを少しぶっ壊しちゃったけど、

 コレくらいは、許してもらえるよね?



「お兄さん、ドラゴン退治をボクも手伝うよ」

 下に降りると、

 舞衣さんが助っ人に加わろうとしてくれていた。


 しかし。

「舞衣さんも、アヤと一緒に、一般人の避難を手伝ってきてくれませんか?」

「いいけど、ドラゴンはどうするんだい?」

「まあ、後で俺が倒しますよ」

「よく分からんが、わかったよ。

 あと、ドラゴンの胸のあたりに強い魔力が見える。

 きっとアレが、あいつのコアだよ」


 舞衣さんは、一般人の避難誘導に向かった。

 コアが見える魔眼の人だったのか……。



 さて、

 俺は、一般人が全員避難するまで、こいつを抑えておかないといけない。


 面倒くさいな~。

 本当だったら、こんなやつ一撃で倒せるんだけどな~。



 しばらくドラゴンを押さえ込んでいると、

 会場の扉が空いて、誰かが入ってきた。


「あれ?

 みなさん、どこに行っちゃったんですか?

 試合は?」


 現れたのは、百合恵さんだった。


「ちょっ!

 百合恵さん、どうしてここに!?」

「あれ? お兄さん。

 お兄さんこそ、ここは関係者以外、立入禁止ですよ?

 それに、さっきから……何を……抑えて、いるんですか?」


 百合恵さんは、まだ、ドラゴンに気づいていない様子だ。

 そして、メガネの位置を調整して……。

 ドラゴンと目が合った。


「どどど、ドラゴン!?

 ななな、なにこれ!?」


 驚き戸惑っている百合恵さんに、

 ドラゴンの尻尾しっぽが襲いかかった。


 ヤバイ!


 ドラゴンの尻尾は、

 さっそうと現れた舞衣さんによって、受け止められていた。


「ぶ、部長!」


「っ!?

 さすがドラゴンの攻撃。

 けっこう強いね」

 ドラゴンの尻尾攻撃を受け止めた舞衣さんの手が、少し赤くなっていた。


「部長……手が!?」

「なあに、コレくらい平気さ。

 それより百合恵くんは大丈夫だったかい?」

「私は平気……。

 でも、部長が……私をかばって……ケガを……」


 百合恵さんの周囲に、黒いモヤのようなものが渦巻き始めた。


「ちょっ、百合恵くん。落ち着いて!」



「私の部長をケガさせた……。

 このトカゲ野郎! もう許さない!!」


 百合恵さんのスカートから黒い触手が伸びて、ドラゴンを襲う。

 そして、その触手はドラゴンに巻き付き始めた。


 しかし、

 ドラゴンが暴れるせいで、完全には動きを封じることが出来ず、

 百合恵さんは、悪戦苦闘していた。



 しばらくして、エレナ、ヒルダ、アヤが、

 一般人を全員避難させ、戻ってきた。

「兄ちゃん、一般人は全員避難したよ~。

 って、あれ?

 なんで百合恵さんがいるの!?」



「何で……みんな戻ってきちゃったの?

 ドラゴンは私が食い止めておくから、

 今のうちに、みんな逃げて!」

 百合恵さんは、一所懸命にドラゴンを押さえ込もうとしている。


 そんな百合恵さんに舞衣さんが近づく。

「百合恵くん。魔法を使えることに気がついていたのかい?」


「え?

 ええ……。

 たぶん、本当の私は、魔法の国のお姫様なのです。

 みんなが驚くのも無理はありません。

 でも!

 みんなに魔法がバレてしまったからには、

 私は、魔法の国に帰らないといけないと思うんです。

 今まで一緒にいてくれて、ありがとう」


 百合恵さんは、涙ぐんでいる。


 どうやら、自分が魔法を使えることに気がついて、

 それを誰にも言えずに、悩んでいたのだろう。


 そして、マジで自分を魔法の国のお姫様だと思っているらしい。

 なぜ、そう思った?



「早く、逃げて、もう、持たない……」

 百合恵さんの触手は、ドラゴンを抑えきれず、

 今にも拘束が解けそうになっていた。



 仕方ないな~。




 俺は、インベントリから【名刀めいとうマサムネ】を取り出し……。



スパン!


 ドラゴンの首を、一刀両断にした。


ご感想お待ちしております。


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