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時空魔法で異世界と地球を行ったり来たり  作者: かつ
空手大会編
354/438

344.大捕物

 逃げてしまった犯人Aと西村玲子。

 警備員たちは、大慌てで二人を追いかける。


「アヤ、俺たちも追いかけるぞ」

「うん!」



 そして、部屋には有沙ちゃんだけが取り残された。


----------


 後を追っていくと、


「どけどけ!!」

 犯人Aが廊下にいた人たちをナイフで脅しながら、暴走していた。

 西村玲子もそれについていっている。


「皆さん、危険ですので避難してください!!」

 警備員も、一般の人たちの安全を確保するのが最優先となっていて、

 犯人を捕まえられずにいた。



 どうする?

 見られてしまっても、強引に行動するか?


 俺が、手をこまねいていると……。



「キャー!!」

 前方で女性の悲鳴が聞こえる。


 何事かと見てみると――。

 犯人の進行方向に、小さい女の子がキョトンとした表情で、立ちすくんでいる。

 悲鳴を上げた女性も、犯人のナイフが怖くて動けないでいるみたいだ。



「あのガキを人質にするぞ!」

 犯人の魔の手が女の子に伸びる。


 ヤバイ!!!



 とっさに【瞬間移動】を使って犯人と女の子の間に割って入った。


「お前、いつのまに!!」

 犯人は驚き戸惑っている。


「アヤ! 女の子を頼む!」

「わかった!」

 アヤは、犯人と西村玲子の脇を素早く通り抜けて、

 立ちすくんでいた女の子をそっと抱えて、安全なところへ移動させた。



「くそう!」

 犯人は苛立ち紛れにナイフで威嚇する。


 どうしよう、殴ってもいいかな?



 と、その時。


 また、小さな女の子が、

 トコトコ歩いて近づいてくる。


 なぜまた女の子が!?



 と思ったら……。


「玲子くん、こんなところで何をしているんだい?」

 舞衣さんだった。


「河合舞衣!!!?」

 西村玲子は、怒りに満ちた瞳で舞衣さんを睨みつけている。



「大会の役員たちに事情は聞いたよ、

 残念というしか無いよ‥‥」

 舞衣さんは、そう言って悲しそうな表情を浮かべている。



「……お前のせいで……私は‥‥

 お前のせいで!!!!」

 西村玲子は激昂して舞衣さんに殴りかかる。


パシッ。


「ずいぶん…弱くなったね……」

 舞衣さんは、西村玲子の拳を手のひらで軽く受け止め、

 悲しそうにつぶやく。


「ボクはね、君との試合が楽しみだったんだよ。

 去年の決勝戦は、楽しかったね……

 でも……今の君は……」

「誰がお前なんかと試合をするか!

 バケモノめ!!」


「……そうか」

 舞衣さんは、ものすごく悲しそうな顔をしている……。


 なんて酷いことを言うんだ……。

 信じられない。



 ん?


 廊下の向こうから、何やらものすごい殺気が近づいてくる……。

 なんだろう?


「きさま!!

 今、私の(・・)部長に対して、なんと言った!!」

 近づいてきていたのは、

 周囲にどす黒いオーラを纏った、般若のような顔をした『百合恵さん』だった。


 あれ、マズイんじゃないか?



「あんた誰? 関係ないやつは引っ込ん……」


ガッ!


 百合恵さんは、いつの間にか近づき、

 西村玲子の頭を、むんずと掴んでいた。


「ひぃ!」

 流石の西村玲子も、いきなりのことで、かなりビビっている。


 百合恵さんを包んでいるどす黒いオーラが集中し、

 まるで二本のどす黒い角のようになってきた。


「『私の(・・)愛しい部長』に対する暴言は、万死に値する。

 永遠の悪夢の世界に送ってやる」


 ヤバイ!

 とっさに止めに入ろうとしたが……。


「止めるんだ、百合恵くん!」

 俺より先に、舞衣さんが割ってい入り、

 二人を引き離した。


「部長どいて、そいつ○せない」

 おい!!


 百合恵さんは、どす黒いオーラを更に増加させ、

 周囲に禍々しいオーラが爆発的に広がった。



「ヒィィィ……」

ビシャビシャ~。


 西村玲子の悲鳴とともに、

 何かの音がした。


 なんだろうと、皆の視線が音のした方に集まる。



 皆の視線が集まる中、西村玲子は……、

 暖かそうな水たまりの上で、尻餅をついて恐怖におののいていた。



 ゴブリンのような匂いが、周囲に満ちていった。


----------


 その後、犯人Aと西村玲子、有沙ちゃんは、

 大勢の一般人に目撃されながら、警察に連行されていった。


 また、西村玲子と有沙ちゃんは、失格となり、

 西村玲子は、無期限出場禁止の重い処分がくだされた。


 さらに、舞衣さんの階級を裏で勝手に変えてしまった大会役員の内通者が2名発覚し、その人たちも処分された。



 空手大会は、舞衣さんとアヤの優勝で幕を閉じた。


 【軽量級】は、とりあえず2位の人が優勝ってことになったけど、

 後で揉めそうだな。


~~~~~~~~~~


「さんざんな大会だったな」

「まったくよ」

 俺たちは、二人の優勝を祝うため焼肉屋に来ていた。


 本当なら、お祝いをするところなのだが、

 あんなことがあったあとなので、みんな静かになってしまっている。



「まあでも、次はリオだ。

 ふたりとも(一応)頑張れよ」

「うん」「ああ」


 まあ、頑張るのは『手加減』の方だとは思うけどね。



「しかし、舞衣さんはリオでも【重量級】に出るのか?」

「ああ、今回はリオでの世界大会の出場資格のための大会だったからね」

 世界大会でも、大きな選手を舞衣さんが倒しまくるのか……。


「目立ちすぎるんじゃないか?」


「ボクとしては、そのほうが都合がいい」


 都合がいい?


「何か、目的があるの?」

「ボクは、空手部の強い企業に入りたくてね」


 なるほど実業団か。



「ボクは、体がこんなだろ。

 どこの企業も雇ってくれなくてね~

 本当は、自衛官や警察官になりたかったんだけど、

 身長制限で無理だったんだ」


 うーむ舞衣さんも、いろいろ苦労していたんだな……。


 アニメや漫画とかだと、子供にしか見えない学校の先生とかたまに見かけるけど、実際にはそんなことありえないもんな~


 幼稚園の先生とかだったら大丈夫そうだけど……、


 いや駄目だ! きっと園児に間違われてしまう。


「お兄さん、何か失礼なことを考えてないかい?」

「な、何のことかな~(すっとぼけ)」



「というわけで、世界大会で優勝して、

 就職に役立てたいんだ」

「なるほど、

 リオに遊びに行きたいからじゃなかったのか」


「そうだよ兄ちゃん!

 私も部長のお手伝いのために、出場するんだよ!」

 いや、違うな、

 アヤは遊びに行きたいから手伝っているに違いない!



 まあ、アヤはともかく、


 そういう事情があるなら、

 来週の世界大会も頑張って応援するかな~


ご感想お待ちしております。

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― 新着の感想 ―
[一言] こう言う大問題を大会役員が犯せば 現会長は引責辞任になり、理事も引責辞任だから 西村家の父も会社を辞めだよ? 被害者に私産を売って、示談にするには妹は 私立に通ってたら自主退学だね! 西村家…
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