333.本当の山賊
「忍者マン、只今参上!!」
俺は、4千人の山賊と、100人の村人の間に割って入った。
『何だあいつは!』
「あれは、先ほどの!」
両方とも、俺の出現に驚いている。
『かまわん、殺れ!』
山賊の一人がそう言うと、隣りにいた男がライフルを構えて――。
パンッ!
いきなり撃ってきた。
ふつう、話も聞かずに攻撃するか? 頭おかしいんじゃないのか?
パシッ!
俺は、その弾丸を手で捕まえてみせた。
『バ、バカな……』
『お前たち、俺を攻撃したな?』
『だ、だからどうした!』
『自分の身を守るために、お前たちを【皆殺し】にしないといけないみたいだけど……
そういう認識で合っているか?』
『ははは、たった一人で我らに勝てるとでも思っているのか?』
『はぁ?
4千人程度で、俺に勝てると思っているの?』
……話を聞いても意味なかったな。
『全員、撃て!』
山賊のリーダーがそう叫ぶと、
100人程度のライフルを持った山賊が、銃を構えた。
どうやら、銃を全員に持たせるほど用意できなかったらしい。
バリバリバリッ!!!
銃声の代わりに、激しい炸裂音が鳴り響き、
銃を構えていた100人の頭上に、【雷】が落ちた。
『何事だ!』
『わ、わかりません。いきなり落雷が』
上空を見上げると、オラクルちゃんと雷精霊がいた。
オラクルちゃんが銃を持った奴の位置を正確に把握し、
雷精霊がその場所に正確に【雷】を落としたのだろう。
連携攻撃とは、やるな!
『くそう、こうなったら総攻撃だ。
全員突撃!!』
『『わー』』
あまり統率の取れていない感じで、わらわらと進んでくる。
そして、素直に俺を攻撃してきたのは、
サーベルを持った3人だけだった。
スパスパスパッ!
3人のサーベルを持つ手を、ミスリルソードで切り落とす。
3本のサーベルと、それを持っていた3本の手が地面に落ちる。
『『ウギャー!!』』
3人の悲鳴を聞いた奴らは、俺に近づくのを嫌がり立ち止まった。
しかし、状況を理解できていない後ろの方の奴らが、そのまま進もうとしたため。
半数近くの山賊が将棋倒しになってしまった。
なんかこいつら、ぜんぜん統率が取れていないぞ。
『なにをしている! 回りこんで攻撃するんだ!』
リーダーが指示を飛ばす。
まずは、あいつを潰すか。
俺は、将棋倒しになった山賊たちの上を踏み越えて、
リーダーのところへゆっくり歩み寄った。
『うわ、こっち来たぞ。
何をしている、早く守らんか!』
リーダーの横にいた二人が、しぶしぶ俺に戦いを挑んできた。
しかし、本当に嫌そうだな。
士気もかなり低そうだ。
俺は、そいつらの上をジャンプで飛び越え、
いっきにリーダーのもとに駆け寄り、
リーダーの首元にミスリルソードを押し当てた。
『チェックメイトだ。さっさと撤退しろ』
『ひーっ、わ、分かった撤退する。
命だけはおたすけを~』
リーダーは、すんなり負けを認めた。
弱い、弱すぎる……。
なんか拍子抜けだな。
しかし。
そんな俺に向かって、急に【攻撃予想範囲】が表示された。
『なっ!』
俺は【瞬間移動】で、とっさに攻撃をかわした。
パンパンパンッ!
周りの数人の山賊が、発砲したのだ。
ドサッ。
崩れ落ちる、リーダー。
そう、
こいつら、リーダーがいるのもお構いなしに、撃ったのだ。
ひでえ奴らだ。
そして、リーダーは息絶えていた。
『やったか?』
『死んだぞ』
ばかめ、死んだのはお前たちのリーダーだ。
『今のうちだ!』
数人の山賊が、リーダーに群がる。
ん? 何をするつもりだ?
何をするのかと思ったら、死んだリーダーの持ち物を奪っているのだ。
そして、そのまま逃げていってしまった。
あぜんとする俺。
あんたらのリーダーじゃないの??
あまりの出来事に呆けていると、
リーダーを失った山賊たちが、こんどは村に向けて勝手に進軍を始めた。
リーダーをやったのに、なぜ勝手に動くんだ!?
俺は素早く村のところまで戻った。
『さっさと金目の物を奪ってずらかるぞ!』
『俺は、女を探すぜ!』
……。
俺は、勘違いしていたようだ。
てっきり、『山賊』に扮した軍隊的な奴らなのかと思っていたのだが……。
本当に『山賊』だった。
じゃあ…皆殺しに、してもいいか。
数分後、
村の周りに、1000個近い粗大ごみが散らばっていた。
他の奴らは、撤退したようだ。
「本当に、つまらないものを斬ってしまった……」
俺は、深い溜息をついた。
「あ、あの……、
ニンジャマンさん」
ニマちゃんが、村長さんとともに、恐る恐る近づいてきた。
「すまない……」
「え!? 何がですか?」
「村の周りを汚してしまった」
「何をおっしゃいます! 村を救ってくださってありがとうございました」
ああ、虚しい戦いだったが。
ニマちゃんや村の人たちを救えたから良しとしよう。
「何かお礼を……」
ガタッ!
ニマちゃんが…俺に…お礼を……。
いかん! 変なことを考えている状況じゃないだろ!
「悪いが、俺は逃げた奴らを追いかけねばならん」
「し、しかし」
「本当に申し訳ないが、
後片付けを頼む」
「はい! それはもちろん!」
本当なら、インベントリにしまってどこかに捨ててくれば済むんだけど、
あまりそういうのを見せるのも良くないしね。
「それでは、サラバだ!」
俺は、かっこ良くジャンプして、その場を立ち去った。
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森の中で、オラクルちゃんと雷精霊の二人と合流した。
「サラバだ!…… だって~」
「見てたのか!」
オラクルちゃんがからかってくる。
「セイジは、自分自身にも【追跡用ビーコン】をつけてるでしょ」
あ、そうか、
オラクルちゃんは、情報魔法精霊だから、全部見えるのか。
「そういえば、オラクルちゃんと雷精霊の連携攻撃もいい感じだったな」
不都合な話題は、別の話題で話を逸らすのが大人というものだ。
「でしょ~、私、雷ちゃんのこと大好き~」
「あたいだって、オラクルの姉御のこと、大好きです」
『オラクルの姉御』?
オラクルちゃんの方がガキっぽいけど、
精霊同士だと、オラクルちゃんのほうが年上っぽい関係なのかな?
雷精霊がオラクルちゃんにだきついて、
オラクルちゃんが雷精霊の頭をなでなでしてあげている。
急に仲良くなったな。
やはり、一緒に戦うと友情が芽生えるのかな?
「ところでオラクルちゃん、他のビーコンの様子はどうだ?」
二人のラブラブを見ていてもしょうがないので、話を振ってみた。
「えーと、他の村も無事で、
山賊の生き残りは逃げ帰ったみたい」
「逃げ帰った奴らは?」
「北の方に逃げてる」
北か……国境を超えて逃げるつもりだな。
ここは一つ、二度と山賊なんてやらないように、
こっぴどく懲らしめておいてやるか。
俺が、重い腰を上げて歩き出そうとした、
その時!
追跡用ビーコンが『危険』を知らせてきた。
「誰が危険なんだ!?」
「ナンシーママさんみたい」
オラクルちゃんが素早く答える。
「なに!?」
追跡用ビーコンの映像を確認してみると、
ナンシーママとリリィさんが、山賊に取り囲まれていた。
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