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時空魔法で異世界と地球を行ったり来たり  作者: かつ
ブータン編
340/438

330.囚われの女性救出

 ブータン北の山奥、山賊から聞き出したアジトへ、俺は一人向かっていた。


「キャー!」


 絹を裂くような女性の悲鳴が聞こえた。


 最大速度で悲鳴のした方に向かう。


「やめて! 近付かないで!!」


 洞窟から悲鳴が聞こえる。

 急いで入ってみると、大勢の男たちが、一人の女性を取り囲み、

 今まさに手をかけようとしている真っ最中だった。



『きさまらーーー!!』


 思わず割って入って、襲おうとしていた男の手を……

 下から上に模造刀で切り上げた。


スパッ。


 切断された男の手首が宙を舞って、ポトリと女性の目の前に落ちた。


「ギャーー!!」


 女性は驚いた拍子にしりもちをつき、そのまま気を失ってしまった。


 手首を切られた男は、痛さにのたうち回っている。



『何だお前は!』


 山賊たちも驚きまくっている。


 俺は、目の前で女性が襲われそうになっていたのを見て、だいぶ頭に血がのぼっていた。


『銃だ! 銃を持って来い!』


 銃を手に取ろうとしていた3人ほどの山賊に素早く駆け寄り、

 模造刀の背でそいつらの顔面を殴りつけた。


 3人は、俺に顔面を殴られ、縦方向に2回転半して脳天から地面にたたきつけられ、そのまま動かなくなった。



『こいつ強いぞ、全員で取り囲むんだ!』


 俺は、山賊たちに囲まれてしまった。


『もう逃げられないぞ、おとなしく殺されろ!』


 リーダーっぽいやつがそう言いながら、拳銃を取り出す。


パンッ!

 そいつは、いきなり引き金を引きやがった。


スッ。

 俺は、少しだけ横に移動し、拳銃の弾を避けてみせた。


『バ、バカな! こいつ、拳銃の弾を避けたぞ』


 俺としては、なんの躊躇もなく引き金を引くことのほうが、よっぽど驚きだよ。



『お前たち、殺れ!』


 ボスがそう叫ぶと、5人の大男が一歩前に出て、中国拳法の構えをとった。

 素手の相手に武器を使うわけには行かないので、模造刀をインベントリにしまった。


 5人の男たちは、急に刀が消えてびっくりしていたが、

 俺が素手で構えをとったのを見て、バカにしたような表情を浮かべた。


『くくく、バカが!』


 一人が、突撃してきた。

 それなりに強いやつらしく、かなりの連続攻撃をしてくる。

 俺は、それをひょいひょい避ける。


『なにをしている、さっさと始末しろ!』


 ボスに急かされ、後ろで唖然としていた4人も攻撃に加わる。


 しかし、中国拳法ができるだけの普通の人が俺にかなうわけもなく、

 一人ずつ倒していった。


 しかし、俺が戦っているスキに、

 後ろの方のやつが、人質の女性に手を出そうとしているのが見えた。


 俺が見てないとでも思っているのか?


 ナイフを取り出し、投げて腕にぶっさしてやった。


『痛ーーーぇ!!!』


 そいつは、痛さにあたりを転げまわっていた。

 見てないと思ってコソコソ卑怯なことをするから、そんな目に合うんだぞ!


 それを見た数人が、手強いと判断して逃げようとし始めた。

 まあ、妥当な判断だな。



 逃さない(・・・・)けどね!!


『痛っ! なんだ、見えない壁があるぞ!』

 逃げ道は、バリアで塞いでありますよ~。



 そして俺は、ゆっくり時間をかけて、そいつらをひとりずつ倒していった。



『や、やめろ! た、助けてくれ……』


 最後の一人となったボスが命乞いをしてきた。

 まあ、他の奴らも殺してはいないけどね。


『お前は、あの女性が助けを求めたとき、助けてやったのか?』

『そ、それは……』

『じゃあ、お前には助けてもらう資格はないな』


『おのれー!!! 俺たちにこんなことをして、ただで済むと思うなよ。

 俺たちのバックには……』

『バックにはなんだ?

 どこかの組織がバックにいるとでも言うのか?』

『そ、それは……』


 うーむ、裏に何かありそうだな。


『死ね!』

 ボスは、最後の悪あがきで突撃してきた。


 一瞬、もっと情報を聞き出そうかとも思ったけど、

 めんどくさくなって【電撃】の魔法でとどめを刺してやった。


「ふう」

 怒りのあまり、少々ハッスルしすぎてしまった。



 山賊たちを縛り上げたあと、

 気を失っている女性を優しく抱き上げると、

 女性は、急に目をさましてしまった。


「あ、あれ? あなたは? 山賊は?」


 気づかれずに村に返そうと思ったけど仕方ない。

「山賊は倒しました。もう安全ですよ」


「え?」


 女性は、辺りを見回し、山賊たちが縛り上げられているのを見た。


「あ、あなた一人で倒したんですか?」


「そんなことより、早く村にもどりましょう」

「は、はい……」


 女性は、お姫様抱っこをされながら、俺にしっかりと抱きついてきた。

 まあ、運ぶにはそのほうが楽だけど……。

 ちょっと強く抱きつき過ぎじゃないかな?


 俺は、なるべく揺れないように、しかしなるべく素早く、

 女性を抱えて村に戻った。

----------


 村に戻ると、村の男性たちが山賊のところへ向かう準備をしている真っ最中だった。

 農具やスコップなどを手にしている。そんなもので戦うつもりだったのか?


「あ、○○!」


 村の人達が、俺たちに気がついて駆け寄ってくる。


「それでは、お別れです」

 俺が、女性をおろして帰ろうとすると、


「あ、ありがとうございました。

 あ、あの…… お名前は?」

「ニンジャマン……」

 俺はそう言い残して、高い木の枝にジャンプで飛び乗り、

 そのまま姿を消した。

----------


 忍者の衣装を脱ぎ、宿泊施設に【瞬間移動】で戻ってきた。


 【追跡用ビーコン】で、俺がいない間の様子を確認してみたが、

 どうやら、バレずにすんだみたいだ。



 さて、夜もふけてきているし、ちょっと疲れたし、一眠りするか……。


 そう思って、ベッドに潜ろうとした、ちょうどそのとき!


ドンドンドン!


 ドアを叩く音が、けたたましく鳴り響く。


「なんだ?」



 ドアを開けると、

 隣の部屋のリリィさんも顔を出してきている。


 そして、ドアの前にいたのは、



 『ニマちゃん』だった。


ご感想お待ちしております。

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