315.角無しのメス
「やーやー、われこそはアヤだぞ~
そこの悪魔族ども!
シンミョウにおなわにつけ~」
アヤが、悪魔族たちに後ろから呼びかける。
「なんだ? なんだ?」
「『角無し』のメスだ!
『角無し』のメスが言葉を話しているぞ!」
北に向かって移動中だった悪魔族たちは、
立ち止まって振り返り、
何事かと様子をうかがっている。
ちなみに悪魔族たちが言っている『角無し』とは、人族の事だ。
「何事かと思えば、角無しのメスが4匹じゃねえか。
『角無し』のくせに言葉を話すとは生意気な、
ついでだ、あいつらも捕まえて奴隷にするぞ」
「「おお!」」
一番偉そうな奴が、命令をすると、
悪魔族たちは、警戒もせずに、
のこのことアヤたちに近づく。
「こんな『ガキ』を連れて行っても役に立ちそうもないですよ」
あ、その人に『ガキ』とか言ったら……、
「誰がガキだ!」
ドカッ!
『ガキ』と呼ばれた舞衣さんが、その悪魔族を思いっきり殴りつけ、
殴られた悪魔族は、吹き飛んで少し離れた大木にぶち当たり、気をうしなった。
「うわ!
こ、こいつ、強いぞ!」
悪魔族たちは、3歩下がって、
警戒態勢を取った。
てか、なめすぎ。
疑問に思っている人もいるだろう、
なぜアヤたちが悪魔族語を話せるのか。
その訳は、『悪魔族語』レベル2を習得できる【言語習得の魔石】を作って、みんなに習得させたからだ。
そして俺は、というと……、
姿を消して潜んでいるのだ。
俺、忍者だし!
「あくぎゃくひどうの悪魔族め!
この、ぷりてーアヤ様に恐れをなしたか!
臆病者め!!」
「ぐぬぬ、言わせておけば角無しのメスごときが、
調子に乗りやがって!!」
おお、悪魔族が挑発にひっかかってる。
俺は、この隙に……。
「腰抜けの悪魔族どもめ!
そっちがビビってるなら、私から行くぞ!」
「くそう、こうなったら、
あの角無しの奴隷どもを盾に使うんだ!」
「はい!」
……
「た、大変です!!」
「どうした!?」
「角無しの奴隷どもが…いません!」
「な、なんだと!!!」
まあ、あいつらがアヤばっかりを警戒している間に、俺が助けだしたんだけどね。
「アヤ、助けだしたからもういいぞ」
「了解~」
俺は、助けだした人たちを森のなかに隠し、
アヤたちと合流した。
「やばい、角なしのオスが現れたぞ!
あいつは、全身真っ黒で強そうだ」
確かにこの中じゃ俺が一番強いけどさ~
強そうかどうかの基準が、黒いかどうかなのか?
悪魔族の感覚はよく分からんな。
「お前ら、ビビってるんじゃない!
総攻撃でアイツをやっつけろ!」
リーダーっぽいやつが、そう命令すると、
悪魔族たちは、一斉に襲いかかってきた。
30秒後……、
リーダー以外の20人ほどいた悪魔族は、
全員、俺達にボコられて気を失っていた。
「ひぃ!
ば、化物め!」
リーダーの悪魔族は、一目散に逃げていってしまった。
「あーあ、逃げちゃった~」
「ちゃんと【追跡用ビーコン】を付けておいたから大丈夫だよ」
これで、しばらくしたら悪魔族の街が発見できる…はず。
アイツが逃げる途中で、くたばったりしなければね。
さて、倒した悪魔族と人質だった人たちはどうしようかな~?
人質だった人たちは、
最初は、死んだような目をして何も話さなかったが、
【呪い治癒薬】で、【奴隷の首輪】を外してあげると、
途端に元気になり、話し始めた。
全員シンジュの街の人だそうなので、
彼らをシンジュの街に送り届けることにした。
ついでに悪魔族たちはリルラに引き渡せばいいか。
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「リルラ、夜遅くにすまん」
「セ、セイジ!
どうしたのだ、こんな時間に、
も、もしかして、私と……」
「リルラ、兄ちゃんとナニをする気?」
アヤが俺の後ろから顔を出す。
「げ、お前はアヤ、
お前もいたのか!」
まったく、いつまでたってもリルラとアヤは仲が悪いな。
「今日は、悪魔族を捕まえたから、それの引き渡しに来たんだ」
「悪魔族…だと!
最近は、おとなしかったのに!」
俺はリルラに状況を説明した。
「分かった、他の街にも情報を流しておく、
でも、セイジ、
本当にお前たちだけで悪魔族の街に攻めこむつもりなの?」
「攻めこむってわけじゃないんだけど、
結果的にそうなってしまう可能性は高いな」
俺がそう答えると、
リルラは、なにか考えこんでしまった。
そして、
「セイジ、
悪魔族の街に攻め入る時は‥‥、
私も行く!」
「はぁ!?
リルラ、おまえなに言ってるの?
お前は、シンジュの街の領主を任されてるんだろ?
最前戦に出てどうする」
「だ、だって……」
ゴブリンプリンスとの戦いの時は、怖がって震えていたのに……。
リルラも成長しているんだな。
「まあ、その話は悪魔族の街を見つけた後だ」
「うん」
俺達は、捕まえた悪魔族たちをリルラに任せ、
日本に帰還した。
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