314.見つけた!
土曜と日曜で北の森を探索しまくり、
けっきょく『悪魔族の街』は見つからなかった。
その翌日の月曜日、
追跡用ビーコンの遠隔操作で悪魔族の街を探しつつ、
普通に出社した。
「丸山君、朝一番で悪いが、
ジュエリーナンシーからお呼びだ。
すぐに向かってくれ」
「あ、はい」
出社直後に部長から言われてしまった。
俺、SEなんだけど、
営業さんっぽい感じになってないか?
急いで向かうと、
ジュエリーナンシーの周辺は、報道陣でごった返していた。
「あなた、ジュエリーナンシーの関係者ですか?」
気の強そうな女性レポーターに、いきなりマイクを突きつけられる。
なんだこれは!?
先週おきたテロ事件の取材が、まだ続いているのか?
「アーク・ゴールドが、
ジュエリーナンシーに対する嫌がらせの為に、
テロ組織にお金を渡していたことについて、
なにかご存知ありませんか?」
なるほど、そういう『新しい情報』が出たのか。
何処かの週刊誌がスクープ記事でも書いたのかな?
「すいません、ちょっとわかりません」
俺は、何も知らないふりをして報道陣をかき分け、
なんとかジュエリーナンシーに入ることができた。
「あ、セイジ、いらっしゃい」
「ナンシー、呼ばれたから来たけど、
何か用か?
いくら俺でも、報道陣をどかしたりは出来ないよ?」
「あ、用があるのはママの方よ」
俺は、ママさんがいる奥の部屋に通された。
「ママさんこんにちは、
来ましたけど、何のようですか?」
「実は私、日本を離れることになったから、
ナンシーを頼みますね」
「え? ずいぶん急ですけど、どこに行くんですか?」
「ちょっと『ブータン』へ」
「あー、【ヌルポ石】の関連ですか」
「え? なんで知ってるの?」
「この前、書類が置いてあったから見ちゃったんですよ。
かってに見ちゃったのは申し訳ないですけど、
重要な書類を置きっぱなしにしておくのは、良くないですよ?」
まあ、社外の人間に書類整理の手伝いをさせている時点で、情報管理がガバガバなんだけどね。
「そんなことじゃなくて、
アレを読めたの?」
「アレ??
ああ、『ゾンカ語』でしたっけ?
ええ、読めますよ」
『ゾンカ語』は、ブータンの公用語で、
この前見ちゃった書類は『ゾンカ語』で書かれていたんだよね。
「もしかして……セイジ、
ゾンカ語を話せたりもする?」
「え?
ええ、話せますけど……」
この話の流れ……。
何か嫌な予感がする。
「セイジ、あなた通訳として同行しない?」
やっぱりそう来たか!
「仕事があるので無理です」
「そんなこと言わないで、来てよ~
通訳がいなくて困ってるのよ~」
「俺は通訳じゃないですよ」
「じゃあ、通訳じゃなければいいのね?」
「ん??
それって、どういう事ですか?」
この流れはマズそうな予感。
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「あー、丸山君、
急で済まないが、『ブータン』へ出張に行ってくれ」
「は?」
会社に帰ると、部長にとんでもないことを言われた。
おのれママさん、手を回しやがったな。
「いきなり、何ですか!
イヤですよ」
「そんなことを言わずに、
頼むよ。
ブータンの宝石採掘所の在庫管理システムを受注出来るかもしれないんだ。
社長からも、是非宜しく頼むと言われていてね。
私の出世もかかっているんだよ!」
「部長の出世は、俺には関係ないですよ?」
「特別ボーナスも出るそうだから!」
ボ、ボーナスか……
会社の命令とあれば、従わざるをえない。
ブータンへは、前からちょっと興味があったし……
まあ、【瞬間移動】で、自分で簡単に行けるんだけどね。
「えーと、ビザの手続とかはどうするんですか?」
「それは、ジュエリーナンシー側で手を回してくれるそうだから、安心していいよ」
なんという手際の良さ。
というわけで、お盆期間中に出張が決まってしまった。
しかし、ナンシーママは、こんなに急いで何しにブータンに行くんだろう?
ブータンで何かあったのかな?
出張先からでも異世界には行けるけど、
その前に悪魔族の件は解決しておきたいな。
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ということで、
俺はパスポートの手続きなどのために、色々動き回っていた。
「腹が、へった……」
俺は、牛丼屋に入り、
孤独に牛丼を食っていた。
牛丼、たまに食べたくなるんだよね~
「あ! 見つけた!」
俺は、牛丼屋のカウンター席で、牛丼を片手に持ちながら、思わず大声を上げて立ち上がる。
そして、牛丼屋にいたお兄さんやおじさんたちに注目されてしまった。
「す、すいません……」
俺は、おずおずと席に座り直した。
で、
何を見つけたかというと、
北の森の探索をさせていた【追跡用ビーコン】の一つに、【悪魔族】が映っているのを発見したのだ。
【悪魔族】は、20人位の団体で北に向かっている。
その悪魔族の団体は、
人族を3人ほど連れていて、
その3人は、両手を後ろで縛られ、クビに縄をかけられて、死んだような目で連れて行かれている。
悪魔族め!
あいつら、まだこんなことをしていたのか……。
助けたいけど……
まだ就業時間中なんだよな~
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仕事を定時であがり、
帰宅すると、
「兄ちゃん、待ってたよ、
悪魔族に捕まった人を助けに行くんでしょ?」
「ああ」
メールで先に知らせてた事もあって、
アヤ、エレナ、ヒルダは準備万端だ。
「お兄さん、今回はボクも参加させてもらうよ」
久しぶりに、ボクっ子ロリ空手家の舞衣さんも来ていた。
「よし! それじゃあ、悪魔族退治に行くぞ!」
「「おー!!」」
俺達5人は、【瞬間移動】で異世界へ飛んだ。
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