313.日本語習得
俺は、夕食を食べながら、
悪魔族の街を探索している【追跡用ビーコン】の様子を見ていた。
「兄ちゃん、けっきょく悪魔族の街、見つからなかったけど、どうするの?」
「平日は仕事があるから、【追跡用ビーコン】での調査だけになっちゃうな」
「私が調査しようか?」
「アヤ、お前は【瞬間移動の魔石】で、ここに帰って来れないだろ?
もしものことがあったら、どうするんだ?」
「ぐぬぬ」
【瞬間移動の魔石】の鑑定結果によると、
【時空魔法】のスキルを持っていると、消費MPを抑えることが出来るはず。
アヤ達にも【時空魔法】を習得させられないか、
『トキ』に聞いてみるかな。
夕食を食べ終わった後、
俺は自分の部屋で『トキ』を召喚した。
「む? 戦闘中では無いようだが、
人族のセイジよ、何用か?」
「実は、仲間に【時空魔法】を習得させたいんだけど、
許可を貰いたくて」
「……」
どうしたんだろう、『トキ』は考えこんでしまった。
「おそらく、無理だろう」
「無理? どういう事ですか?」
「お前は、時間と空間について研究したりした経験があるのだろう?」
うーむ、時間と空間の研究?
そういえば、仕事でそういった調査は、よくしているな。
『時間』に関しては、
処理が完了するまでのパフォーマンスをテストすることはよくやってる。
あと、夜間のバッチ処理で、時間内に大量のデータを処理したり、
処理速度向上の為に、データベースの設計を見なおしたり、
処理そのもののロジックを見なおしたり……。
『空間』に関しては、
地図情報とGPSに関連したシステムを担当したことがあった。
あとは、3Dのポリゴン表示だとかについても勉強したことがあったな。
「もしかして、そういった事を研究したことがないと【時空魔法】は習得できないのか?」
「そうです」
そうなのか~。
これは、ちょっとアヤたちには無理そうだな。
『トキ』は申し訳無さそうに、帰っていった。
まあ、無理なものはしょうがない。
アヤのMPが3000を超えるまでは、向こうで単独行動させるのは許可しないようにしよう。
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さて、気持ちを入れ替えて、
俺は『トキ』の次に『オラクルちゃん』を召喚した。
「わーい、セイジの世界だ~。
またインターネットやってもいい?」
「魔石作りに協力してくれた後ならな」
「わーい」
こいつ、ネットの面白さを知ってから、急に扱いやすくなったな。
「それで、今日は何の魔石を作るの?」
「今日は、試しに【言語習得の魔石】を作ってみようと思ってる」
「はーい」
【言語習得】は、『習得する言語』と『習得レベル』の2つの要素を指定して実行する。
コレを魔石にしたら、両方の要素が固定されるのか? それとも、違うのか。
そこら辺を確かめるのが今回の目的だ。
「【言語習得】って、一度習得している言語でも、もう一回習得できるんだっけ?」
「できるよ~」
「よし、じゃあ、日本語習得で試してみるか」
オラクルちゃんにヌルポ魔石に入ってもらい、
『日本語』のレベル5習得を実行した。
┌─<鑑定>────
│【言語習得の魔石】
│魔力を込めると、
│特定の言語を習得できる。
│情報魔法のスキルを持っていると、
│消費MPを抑えることが出来る。
│レア度:★★★★★★
└─────────
完成した。
コレをエレナとヒルダに使わせれば、
二人の日本語のレベルが上がるはず。
さっそく試してみよう。
「エレナ、ヒルダ、新しい魔石を作ったから試してみてくれ」
「「はい」」
まずはじめに、エレナに魔石を渡した。
MPがどれくらい消費されるかわからないからな。
先ずはMPが多いエレナからだ。
「あー、オラクルちゃん来てたんだ。
いらっしゃい」
アヤも話を聞きつけて部屋から出てきた。
「よし、それじゃあ、十分気をつけて、
魔石を使ってみてくれ」
「はい!」
エレナは、気を引き締めて、魔石に魔力を込めた。
魔石は問題なく作動し、エレナはレベル5の日本語を習得した。
鑑定してみたところ、消費したMPは2000だった。
俺が使う場合より、消費MPが2倍になっている。
これはエレナの情報魔法のレベルが低いせいかな?
「エレナどうだ?
何か変化はないか?」
「えーと、とくには……、
セイジ様、この魔石は何の魔石だったのですか?」
「そういえば、何の魔石かを言うの忘れてた!
これは【言語習得の魔石】だよ。
上手く言っていれば、日本語のレベルが5になっているはず」
「え?」
エレナは、いつも勉強している科学などの本を開いて読み始めた。
「セイジ様、難しい漢字もスラスラ読めます!」
「そうか! 成功だな。
じゃあ、字を書く方はどうだ?」
「やってみます」
エレナは、ノートを取り出し、字を書き始めた。
「どれどれ……、
って、字がめっちゃ上手い!」
「はい、なんだか字が上手にかけるようになりました!」
言語習得に、字をうまく書く能力もあったのか!
しらなかった。
ん? 待てよ?
俺も試しに、ノートに字を書いてみた。
「あ、兄ちゃんってこんなに字がうまかったっけ?」
「いや、今さっきうまくなった」
「どういうこと?」
どうやら、俺の日本語レベルは、5に達していなかったようだ。
日本人なのに……。
まあ、難しい言語だから仕方ないよね!
アヤに説明してやると、
「私も!!」
と、エレナから魔石を奪い取って、勝手に魔力を込め始めた。
「う、頭が……」
「魔力の使いすぎだ」
調べてみると、アヤのMPは1700ほど減っていた。
アヤの情報魔法のレベルは2だから、
レベルにあわせてエレナの時より若干消費MPが減ったみたいだ。
その後、ヒルダにも使わせて、
俺達4人は、日本語レベルを5に上げる事に成功した。
「ねえねえ、兄ちゃん。
英語習得の魔石も作ってよ!」
「勉強しろ!」
「そ、そんな~」
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