311.オラクル召喚
夕飯の時間になり、俺達は帰ってきた。
けっきょく、悪魔族の街は見つからずじまいだ。
「兄ちゃん!
なんで帰ってきちゃったの?
見つかるまで頑張ろうよ!」
「夜の森を女の子一人で探索させるのは、
流石にダメだろ」
「私は大丈夫だもん!」
「じゃあ、アヤは一人で探索を続けるか?」
「ひ、一人?
……やっぱ、やめとく」
なんだよ、やっぱり一人は怖いのか?
まだまだ、子供だな~。
「さっき【追跡用ビーコン】を飛ばしておいたから、
俺達が探索してない間は、ビーコンが探索してくれるよ」
「あれ? ビーコンって飛ばせるの?」
「マナ結晶を参拝して、飛ばせるようになったんだ。
他にも色々出来ることが増えたんだぞ」
「へー、どんなことが出来るようになったの?」
よーし、ここは俺の凄い所を見せてやろう!
「見とけよ見とけよ~
【オラクル召喚】!」
「セイジ!
さっそく私を呼んでくれたの……
って! ここはセイジたちの世界じゃない!!
わ、わ、すごい!!」
召喚した途端、オラクルちゃんは部屋中を飛び回り、大騒ぎだ。
「あ! オラクルちゃん!
ようこそ、私のお家へ!」
「あ、アヤちゃん!
この世界、凄いね!!」
「そうでしょ、そうでしょ!」
なんでアヤがドヤ顔なんだ?
「そんな事より、魔石づくりを手伝ってくれるんじゃないのか?」
「えー、インターネットっていうのを見せてよ~」
「後でな」
「けちー」
「セイジ様、オラクル様、
魔石を、作るんですか!?」
「そうよ~」
「すごいです!!」
「そうでしょ、そうでしょ」
今度はオラクルちゃんがエレナにドヤ顔をしている。
なんか、アヤが二人に増えたみたいな感じだな……。
「それで、どうやって魔石を作るんだ?」
「ヌルポ魔石は持ってるわよね?」
「ああ」
俺は、ヌルポ魔石を取り出す。
「まず、私がその【ヌルポ魔石】の中に入るから、
そしたら、その魔石を持って、記録したい魔法を使ってね」
「わかった」
どうやら、記録方式のようだ。
オラクルちゃんが、【ヌルポ魔石】の中に入ったのを確認し、
俺は、その魔石を持って【瞬間移動】で、1mほど前に移動した。
「魔法を使ったぞ」
「はーい」
オラクルちゃんが【ヌルポ魔石】の中から飛び出してくると、
【ヌルポ魔石】が光りだした。
「おお」
光が収まると、ヌルポ魔石は透明度が増して、凄く綺麗な魔石に変化していた。
【鑑定】してみると……
┌─<鑑定>────
│【瞬間移動の魔石】
│魔力を込めると、
│特定の場所に瞬間移動できる。
│時空魔法のスキルを持っていると、
│消費MPを抑えることが出来る。
│レア度:★★★★★★
└─────────
できた!
って、
……あれ?
『特定の場所』?
気になって、その魔石を何度か使用してみたのだが……。
何度使っても、同じ場所に【瞬間移動】してしまう。
「なあ、オラクルちゃん、
この魔石って、もしかして移動先が固定なのか?」
「そうだよ~、
『絶対参照』で記録したから、
絶対位置が固定になっているよ」
なるほど、そういう仕組みか。
「それじゃあ『相対参照』もあるのか?」
「お、さすがセイジ、わかってるね~
でも、『相対参照』で【瞬間移動】を記録するのはやめておいたほうがいいよ」
「そんなことしないさ、
ヘタしたら『石の中にいる』になりかねないもんな」
「そういうこと~」
俺とオラクルちゃんが、そんな会話をしていると、
「お兄ちゃんが、何を言っているかわからない件……」
どうやら、アヤには難しすぎたらしいな。
「セイジ様、よくわかりませんでしたけど、
魔石は完成したのですか?」
「ああ、完成した。
しかし、俺の【瞬間移動】がそのまま使えるわけじゃなくて、
移動先が、この部屋に固定されているみたいなんだ」
「それじゃあ、その魔石を持っていれば、いつでも直ぐにここに帰って来られるんですね!」
「ああ、そうだ」
俺は、同じ魔石を3人分作って、1つずつ配った。
「やったー、これで短大からの帰りが楽ちんだ!!
兄ちゃん、兄ちゃん、短大に行ける魔石も作ってよ」
「ダメに決まってるだろ!」
「なんでよ~!」
「魔法で急に現れたら、魔法が使えることがバレるだろ」
「あ、そうか~」
あ、そうか~じゃないよ!
アヤがここまでバカだったとは……。
我が妹ながら情けない。
まあ、【透明化】の魔石を作れば、見つからずに【瞬間移動】出来るんだけど、
バカなアヤは、気づくまい。
「セイジ様、質問があります」
「なんだいエレナ?」
「その【瞬間移動の魔石】は、
ドレアドス王国に行けるようにも出来ますか?」
そうか……。
エレナ、なんだかんだ言って父親の王様のことが恋しいのか……。
「ああ、出来るよ」
「それでは、王都の教会の孤児院に行ける魔石を作ってはいただけないでしょうか?」
違った! 王様じゃなかった!
「よし、分かった!
エレナの頼みならいくらでも作ってやるぞ!」
エレナは、いい娘や!
王様は、蚊帳の外だけど!
「ヒルダは、作って欲しい魔石はないのか?」
「めぐみちゃんのお家へ行ける魔石は、ダメなんですよね?」
「ああ、ダメだ」
「それじゃあ~
レイチェルさん、ミーシャさん、カサンドラさんの誰かの所へ行ける魔石はいいですか?」
「それならいいぞ、
ヒルダには特別に3つ作ってやろう」
「セイジお兄ちゃん、ありがとうございます!」
「もう! ふたりともずるーい。
なんで私だけダメなのよ!」
アヤは、お菓子を買ってもらえなかった子供みたいに、
寝っ転がって手足をバタつかせて駄々をこねていた。
完全に子供だ……。
俺達がそんな会話をしている間、
オラクルちゃんが何をしていたかというと……、
パソコンにへばり付いて、いろんなサイトを見まくってニヤニヤしていたのだった。
エロサイトを漁る男子中学生かよ!
ご感想お待ちしております。




