310.ローラー作戦
俺は、新たな【情報魔法】を手に入れて、浮かれていた。
さて、この新たな力で何をしよう!
俺は、いろんな想像を巡らせていた。
「あ、兄ちゃん、見つけた」
アヤたちがやって来た。
「アヤ、どうしたんだ?
下で待ってろって言っただろ」
「兄ちゃんが、なかなか戻ってこないから、
死んじゃったのかと思って様子を見に来たの!」
「セイジ様、
アヤさんは、とても心配していたのですよ」
「ちょっとエレナちゃん、
私は、心配なんかしてないでしょ!」
まったくだ、アヤが俺の心配なんてするはずがない、
大方、アヤが紛らわしい行動でもしたのだろう。
「あ、あなたたちが
アヤちゃん、エレナちゃん、ヒルダちゃんね。
会いたかったわ」
オラクルちゃんが、3人に話しかける。
「え? この子だれ?
ちっちゃいし!」
「ちっちゃくないよ!
精霊の中では大きい方なんだから!」
「精霊様でしたか!」
精霊と聞いて、エレナとヒルダはその場に跪いた。
「そう!
私は【情報魔法】の精霊。
魔法少女オラクルちゃんですよ~」
「オラクルちゃん、ちっちゃくて可愛い!
その服ってセーラー服?」
「ちっちゃくないって言ってるでしょ!
この服は、あなた達の世界の服を参考にして作ったのよ~」
エレナとヒルダが跪いているというのに、
アヤは、ずいぶん馴れ馴れしいな。
「エレナちゃんやヒルダちゃんみたいに尊敬されるのもいいけど、
アヤちゃんみたいに、友達みたいに話しかけてくれるのもいいわね」
「もしかしてオラクルちゃん、友達少ないの?」
「誰がボッチだ!」
「じゃあ、私がオラクルちゃんの友達になってあげる」
「アヤちゃん、私の話聞いてないでしょ?
まあ、友達に…なってあげてもいいわよ」
エレナとヒルダは、そんなアヤの行動を唖然とした表情で見つめていた。
「それじゃあ、あなた達もマナ結晶を参拝しなさい」
「いいんですか?」
「あなた達は、セイジの世界でスマフォを買ってもらって、使っているわよね?
そんな風に情報を身近に使っているあなた達だったら、きっと【情報魔法】を習得できるわ」
「は、はい、きっとご期待にお応えいたします」
エレナ、硬いぞ。
こんなギャル風の精霊に、そんなかしこまらなくてもいいのに。
そんなこんなで、3人はマナ結晶に参拝し、
アヤはレベル2、
エレナとヒルダはレベル1の【情報魔法】を習得した。
これで、3人共【警戒】魔法を覚えることができた。
これはいいかも。
「さて、みんな【情報魔法】を習得したところで、
オラクルちゃん、
百合恵さんの件を教えてくれないか?」
「そうね、教えてあげよう!
実はあの黒い奴は、精霊を閉じ込める魔道具なのよ」
「精霊を閉じ込める?
じゃあ、何かの精霊が閉じ込められているのか?」
「そうだよ、
何の精霊が閉じ込められていると思う?」
そこまで聞けば簡単に予想がつく、
「『闇』だろ?」
「そう、その通り、
あの黒い奴は、『闇の精霊』が閉じ込められている。
【鑑定】を無効化したのは、『闇の精霊』の力よ」
精霊を捕まえて利用するなんて、
悪魔族、けっこう厄介な奴らだな。
「つまり、その閉じ込められている『闇の精霊』を
解放すれば、百合恵さんは元に戻るのか?」
「ええ、そういうこと~」
「どうすれば、解放できるんだ?」
「それは、色々と手順を踏む必要があるの。
悪魔族の本拠地に『闇の祭壇』というものがあるはずよ。
先ずは、それを見つけてからね」
「悪魔族の本拠地か、
たしか、悪魔族は北の方に住んでいるんだよな?」
「そうよ、
でも、私も北の方としか、わからないのよ」
うーむ、悪魔族の本拠地、事前に見つけておけばよかった。
まあ、いまさら言ってもしょうがない。
「走って探すか」
「兄ちゃん、私も手伝う」
「私も手伝います!」「私も!」
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という訳で、俺達は、
行ったことのある場所の中で一番北に位置している場所へ来ていた。
そこは、『スカベ村』。
忘れているひとが多いだろう。
ここは、魔王軍に滅ぼされたと思われていたけど、
本当はゴブリンたちによって占領されていた村だ。
「兄ちゃん、ここから悪魔族の街を探すの?」
「そうだ、1kmくらい離れて、
一斉に北に向かって捜索をする。
ローラー作戦だ」
本当は、【追跡用ビーコン】の遠隔操作でやりたいところだけど、
【追跡用ビーコン】の移動速度は、歩く速度と同じくらいなので、時間がかかってしまう。
「なにか見つけたら、
ハンカチを取り出して振って知らせてくれ、
俺が、すぐに駆けつけるからな。
それでは、捜索開始だ!」
「「はい」」
俺は、それぞれを、スタート地点に送り、
4人で、北に向かってローラー作戦を開始した。
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ローラー作戦が開始されたが、4人の速度にばらつきがあった。
一番早いのは、とうぜん俺だ。
【電光石火】を使っているので、かなりの速度が出ている。
二番手は、アヤだ。
それなりに頑張ってはいるものの、
速度は、俺の半分といったところだろうか。
エレナとヒルダは、同じくらいの速度で、
アヤの速度のさらに半分といったところ。
森の中を女の子を一人で行動させるのは気が引けるが、
この森の魔物はそれほど強くないし、
みんな、かなりレベルも上がっているし、大丈夫だろう。
そんなことを考えていると、アヤが虎のような魔物と戦っている。
大丈夫か?
アヤは、余裕で虎の魔物を倒して、魔物の死体を【格納の腕輪】にしまっていた。
大丈夫そうだな。
しばらく捜索を続けていると、
エレナが急に立ち止まり、ハンカチを取り出して振っているのが見える。
俺は、捜索を中断してエレナの所へ駆けつけた。
「エレナどうかしたのか?」
「セイジ様、コレを見て下さい」
エレナの指差す地面を見てみると、
何やら見覚えのある葉っぱが……。
コレなんだっけ?
【鑑定】してみると……、
┌─<鑑定>────
│【マンドレイク】
│根が様々な薬の材料となる植物
│根をとりわけ、乾燥させて使用する
│レア度:★★★★
└─────────
エリクサーの材料の中で、ボトルネックになっていた素材だ。
しかも、その【マンドレイク】が、かなりの数『群生』している。
【大地の魔石】を使って【マンドレイク】を育てれば、エリクサー作り放題?
いい発見をしたエレナには、
いっぱい頭をなでなでしてあげた。
しかし、
結局その日の捜索では悪魔族の本拠地を見つけることは出来なかった。
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