291.ゴールド
面接をした4人が帰った後、
俺たちは打ち合わせをしていた。
「というわけで、めぐみとりんごは最後の人がいいと思うわけね?」
「はい」
「私の『人を見る目』は確かよ」
まあ、めぐみちゃんの『人を見る目』は、確かじゃないんだけどね……。
「なあ、ナンシー、
あの最後の人は、やめておいたほうがいいぞ」
「なんで?
あの人が一番、優秀っぽかったじゃない」
「まあ、そうなんだけど……」
うーむ、説明がしづらい。
まだ何もしてないし……。
しいて言えば、あの『火山あい』という名前が『偽名』だってことくらいかな。
しかし、どうして偽名だと分かったかを聞かれたら答えられないしな~。
「セイジが、反対するとは思わなかったな~
ま、とりあえず、全員雇うことにしよう」
「え?
4人の内1人を選ぶんじゃなかったのかよ!」
「まあ、人手はぜんぜん足りてないしね」
最終的な判断の権限はナンシーにあるわけだから、俺がともかく言えない。
しかし、心配だ。
偽名を使って面接を受けるような危険な人物。
何をされるかわかったもんじゃないな。
とりあえず、『火山あい』には【追跡用ビーコン】を取り付けておいたけど、
安全のために、りんごとめぐみちゃんにも【追跡用ビーコン】をつけておこう。
あ、ついでにママさんにもつけておかなくっちゃ。
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『打ち合わせ』と称する『お茶会』で、ナンシーたちが世間話をしている間、
俺は、『火山あい』のビーコンの様子を、こっそり覗いていた。
『火山あい』は、キョロキョロと辺りを警戒し、『アーク・ゴールド』というアクセサリーショップに裏口からこっそり入っていった。
他のアクセサリーショップの人だったのか、
産業スパイとかそんな感じなことを企んでいるのかな?
『ゴールド様、行ってまいりました』
ゴールド?
『様』づけで呼んでいるということは、こいつが親玉か?
英語で話をしているので、日本人ではないのだろう。
『ジュエリー・ナンシーの様子はどうだ?』
会話の相手は、悪趣味な金のアクセサリーをジャラジャラ身につけた、東洋人ぽい悪人顔のおっさんだった。
『ちょろいもんですよ、ナンシーと子供2人と通訳しかいませんでしたが、
すっかり信用されちゃいました』
俺の事は通訳だとおもったのか。
『そうかそうか、
上手く例の情報を調べるのだぞ?』
『お任せ下さい!』
何かの情報を調べるために、潜入しようということか。
『アーク・ゴールド』、いったいどんな奴らなんだろう?
「ナンシー、つかぬことを聞くけど、
『アーク・ゴールド』って知ってる?」
「セイジの口からその名前を聞くとは思わなかったよ、
セイジって、けっこうアクセサリに詳しいのかい?」
「そんな事はない、ちょっと小耳に挟んだだけだよ」
「まあいいか、
『アーク・ゴールド』は、最近アメリカで急成長してきたジュエリーブランドなんだけど……」
「けど?」
「ママに言わせると、あんなのはジュエリーじゃないって言うんだ」
まあ、あんなキンキラキンの趣味が悪い装飾品は、ジュエリーとしても評価が低いのだろう。
とか思ったのだが……。
「アレは、税金対策用の、
『身に付ける金』なんだってさ」
「身に付ける金??」
ナンシーの話によると、
ラスベガスなどのショウビジネスをしている会社が、
儲けの大部分を、現金ではなく『身に付ける金』に変えてしまうのだという。
なんでそんなことをするかというと、
ダンサーにとってアクセサリは商売道具の一部だということで、
『身に付ける金』は、『経費』として計算される。
黒字分を全て『経費』として計算してしまえば、黒字は限りなく0に近づく。
その分、税金を払わなくて済むということだそうだ。
しかも、『身に付ける金』は、金をふんだんに使っていて金そのものの価値があるため、潰して金に戻してしまえば、元の値段に近い金額で換金できるのだ。
「そんなの、ただの脱税じゃないか」
「まあ、そうなんだけどね。
色々なところに裏から手を回して、けっこうギリギリの事をやっている…らしい」
なるほど、そういう奴らなのか。
「ところで、ナンシー。
ママさんがそんな風に悪口を言うということは、
『ジュエリーナンシー』と『アーク・ゴールド』は、仲が悪いのか?」
「そうね、けっこう仲が悪いかも、
何度もちょっかいを出してきていて、そのたびにママと向こうの社長が大げんかをしたりしてる
あ、そう言えば、『アーク・ゴールド』の社長も、いま日本に来ているみたいね」
社長自ら乗り込んできているのか。
あの金ピカのおっさんが『アーク・ゴールド』の社長なのだろう。
「ちょっとトイレ」
俺は、トイレの個室に入り、
忍者マンに変身し、
【光の魔法】の【透明化】を使用して姿を消し、
火山あいのいる場所へ【瞬間移動】した。
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『いやーん、ゴールド様のエッチ~』
『良いではないか、良いではないか、ぐへへへ~』
うわぁ、嫌な場所に出くわしてしまった……。
俺は透明化しているので、とうぜん気づかれていない。
俺は、変なシーンをあまり見ないようにしながら、
親玉の『ゴールド』に【追跡用ビーコン】を取り付けた。
ご感想お待ちしております。
※アメリカの税金に関することは、よく知らないので適当ですm(_ _)m




