282.日の出の塔14階
14階に上がると、また風景が一変した。
「すごーい、雲の上だ!!」
この階へ登る階段が、まるで雲の中を通るような階段だったのだが、
階段を登ると、雲海が広がっていた。
そしてこの階も、やはり風が吹いている。
「ねえ、兄ちゃん。この雲、乗れるよ」
「まじか!」
雲の上を楽しそうに歩くエレナとヒルダ。
まるで天使のようだ。
そして同じように楽しそうにはしゃいでるアヤ。
まるでガキだな。
「危ないから、あまり端っこに行くなよ」
「はーい」
ほんとうに大丈夫なんだろうか?
「ねえ兄ちゃん、これ、落ちたら何処へ行くの?
下の階?」
「分からん、ちょっと試してみるか」
「ちょっ、兄ちゃん、何をする気なの?」
「まあ、見てろって」
俺は、足元を確かめつつ、雲のギリギリのところまで行き、インベントリから取り出した石を下に放り投げてみた。
石は、遥か下まで落下し、急に消えてしまった。
「石が消えちゃいましたね」
いつの間にか隣まで来ていたエレナがそうつぶやく。
「それなりの高さがありそうだし、消えた後どうなるかもわからないから、十分に気をつけることにしよう」
「はーい」「「はい」」
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ちょっとふわふわする雲の道の、なるべく真ん中辺を通って行くと……。
だんだん雲行きが悪くなってきた。
「だいぶ雲が出てきたね」
そう、足元の雲とは明らかに違う雲が、モクモクと辺りを包み始めてきたのだ。
「魔物の反応があるから、みんな気をつけろよ!」
俺が、そう言ったのと同時に、
雲の一部が、急に俺たちめがけて伸びてきた。
「アヤ!」
「まかせて!」
アヤが、伸びてきた雲をナイフで切る。
しかし、雲をつかむようなものだ。相手が雲だけに!
「なにこれ!」
アヤのナイフは、雲を素通りして空を切る。
【鑑定】してみると『雲入道』という魔物らしい。
体が雲でできているそうだ。
「物理攻撃は効かないっぽい。魔法で攻撃するんだ」
「「はい!」」
アヤは、風の魔法で攻撃。
エレナは、水で壁を作って敵の攻撃を防ぎ。
ヒルダは、炎で攻撃を加えている。
一番効いているのがヒルダの炎だった。
雲は、炎にあぶられると、面白いようにかき消えていき、簡単に倒すことが出来た。
「ヒルダが一番活躍したな」
「えへへ」
頭をなでなでしてやると、ヒルダは嬉しそうにてれてみせた。
「兄ちゃん私は?」
「さっき覚えた【ダウンバースト】をやってみたらいいんじゃないのか?」
「【ダウンバースト】? だって、地面がないから落とせないよ?」
「雲は上昇気流で出来上がるものだろ?
じゃあ、その逆をしたら?」
「あ、そうか!」
まあ、そんなに単純な話ではないんだけどね~。
なんか、ダンジョン攻略というより……。
まるで勉強を教えているみたいだな。
「セイジ様、私は?」
「エレナは、さっきの感じでいいよ」
「え? どうしてですか?」
「エレナが率先して防御を買って出てくれるおかげで、後の二人が心置きなく攻撃に集中できるんだ」
「分かりました!」
エレナが小さく気合を入れなおした。
かわええな~。
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しばらく進むと、『雲入道』の団体さんが現れた。
「みんな気をつけろよ!」
「「はい!」」
雲入道たちの攻撃を、エレナの水の壁が防ぐ。
その隙にヒルダが雲入道の周りに炎の柱を何本も出現させていく。
まるで、炎の柱で出来た『檻』の様だ。
雲入道は、しゃべりはしないものの、炎に怯えて右往左往している。
檻から逃げ出そうとする雲入道は、俺がバリアで防いでやる。
「アヤ、ダウンバーストするんじゃないのか?」
「今からしようとしてたの!」
アヤは風の魔法を使って、ヒルダが巻き起こした炎で暖められた空気を雲入道の上空で一つにまとめていく……。
「圧縮、圧縮、風を圧縮……」
「おい、アヤ、何をやっているんだ!」
「もう集中してるんだから話しかけないで!
いくよ! ダウゥゥン、バァァーストォ!!!」
なに必殺技みたいにシャウトしてんだ。
熱々にねっせられた風は、アヤによって圧縮され、
それがものすごい下降気流となって、雲入道たちを直撃した。
雲入道たちは、下降気流に巻き込まれるように吸い込まれ、そして溶けて消えていった。
「やった!! 大成功!!!」
アヤは、エレナとヒルダの手をとり、ぴょんぴょん飛び跳ねて喜んでいる。
まあ、わざわざあんな大げさな魔法を使わなくても、ヒルダの炎をそのままぶつけてやれば終わりだったのだが……。
おそらくアヤの顔を立てるために、ヒルダが気を使ってくれたのだろう。
なんというデキる娘。後でなでなでしてやろう。
その後は、敵が出ることもなく、順調に雲の上を進んでいったのだが、
道中、アヤがダウンバーストの時のポーズを色々考えたりしていた、とってもウザかった。
そんなことをしながら歩いていると、雲から落ちるぞ!
しばらく進むと、上の階へ続く階段をすんなり見つけることができた。
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階段を登ると15階も、雲海だった。
しかし今度は、山の頂上と言った感じの風景で、
雲海の上に、山の頂上だけが浮かんで島のようになっている。
「この階もいい眺めだね~
ここも風が強いけど」
そう、ここも風が強い。
なんか、風が強いフロアが続くな~。
そんなことを考えていると――。
「セイジ様! あれ!!」
エレナが大声を上げて、上空を指差した。
キィーーーー!!
巨大な鳴き声とともに現れたソレは……。
超巨大な鳥だった。
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